エンテロウイルスD68(EV-D68)感染症
概要
エンテロウイルスD68(EV-D68)を病原体とする感染症で、主な感染経路は飛沫感染や接触感染である。発熱や鼻汁、咳などの呼吸器症状を呈し、重症化すると喘息様発作や呼吸困難を伴う肺炎を起こす。
病原体
EV-D68は、ピコルナウイルス科エンテロウイルス属の1本鎖RNAウイルスである。
疫学
北米、欧州、アジアで散発的な流行が報告されている。
日本国内では、検出は夏から秋に増え、乳児と小児での報告が多い。
感染経路
主な感染経路は、飛沫感染と接触感染である。
臨床像
潜伏期間は数日程度と推定される。軽度の発熱・鼻汁・咳などの感冒症状から始まり、喘息様発作や呼吸困難を伴う肺炎など重い下気道炎を起こすことがある。
急性弛緩性麻痺(AFP)を発症した患者の上気道からEV-D68が検出された事例が報告されていることから、EV-D68感染とAFPとの関連が疑われている。
病原体診断
鼻咽頭ぬぐい液などからのウイルス分離・同定、ウイルス遺伝子検出による。
AFPが疑われる場合は、血液、髄液、呼吸器由来検体、便、尿など複数検体で病原体の検出等を行い、他のエンテロウイルス等による麻痺との鑑別を行う。
治療
特異的な治療はなく、対症療法が中心である。
予防法・ワクチン
手洗いや咳エチケットなどの飛沫予防策、接触予防策が有効である。アルコール消毒が効きにくいため、流水とせっけんを用いてしっかり手洗いする必要がある。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法においてEV-D68感染症は届出対象ではない。
ただし、五類感染症である手足口病、ヘルパンギーナ、感染性胃腸炎、無菌性髄膜炎、急性脳炎などでは起因病原体として報告されることがある。
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