ウエストナイル熱(ウエストナイル脳炎含む)
更新日 (last updated):2025年12月25日
概要
ウエストナイル熱(ウエストナイル脳炎含む)はウエストナイルウイルスを病原体とする感染症である。主な感染経路は蚊の刺咬である。発熱・頭痛・筋肉痛・発疹などの症状を呈し、重症化すると脳炎や脊髄炎による麻痺や意識障害、昏睡を呈し、死亡することがある。
病原体
ウエストナイルウイルスはフラビウイルス科オルソフラビウイルス属に属する1本鎖RNAウイルスである。
疫学
世界ではアフリカ・欧州・中東・北米などで報告されており、近年欧州での報告数の増加が報告されている。
日本国内では、2005年に米国からの輸入例が1例報告されているほかは、患者の報告はない。
感染経路
主な感染経路はウイルスを保有した蚊に刺されることによる。自然界では鳥と蚊の間で感染環が維持されている。通常ヒトからヒトへの直接的な感染はない。
臨床像
潜伏期は3日から15日。多くは無症状だが、発熱・頭痛・筋肉痛・発疹などを呈する。特に高齢者では髄膜炎や脳炎など重篤化し、死亡することがある。
病原体診断
血清や脳脊髄液からのウイルス分離・同定、ウイルス遺伝子検出、血清学的検査による。
治療
特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。
予防法・ワクチン
蚊に刺されないことが重要である。流行地では忌避剤の使用や肌の露出を避けるといった対策が推奨される。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法における、四類感染症に定められている。
