RSウイルス感染症
概要
RSウイルス感染症はRSウイルス(Respiratory syncytial virus)を病原体とする感染症である。主な感染経路は飛沫感染と接触感染である。発熱や咳、鼻水などの症状を呈し、特に生後6か月以下の乳児や高齢者で重症化しやすい。
病原体
RSウイルスはニューモウイルス科オルソニューモウイルス属に属する 1本鎖RNAウイルスである。
疫学
世界中で報告されており、一般的に冬季及び雨季に流行し、乳幼児での感染が多く、都市部を中心に流行が認められる。日本では近年、夏季に流行のピークが認められる。
感染経路
主な感染経路は飛沫感染および接触感染である。乳幼児では家庭内や病院内での感染、高齢者では長期療養施設での集団発生が問題となることがある。
臨床像
潜伏期間は2日から8日(通常4日から6日)。主な症状は、発熱、鼻汁、咳などである。
生後6か月以下の乳児では細気管支炎や肺炎など重症化しやすく、特に生後1か月未満では突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがある。
また、慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者において急性の重症肺炎を起こすことが知られている。
病原体診断
鼻咽頭ぬぐい液などを用いた抗原検査が有用である。血清学的検査、ウイルスの分離・同定も用いられる。
治療
特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。
予防法・ワクチン
手洗いや咳エチケットなどの飛沫予防策、接触予防策が有効である。重症化リスクの高い乳児には抗RSウイルス抗体製剤が予防的に用いられる。
高齢者を対象としたワクチンや、生まれてくる子の予防を目的に妊婦に接種するワクチンが、承認されている。
法的取り扱い
感染症法では五類感染症の定点把握対象疾患に定められている。
学校保健安全法では、条件によっては第三種感染症の「その他の感染症」に定められている。
関連情報
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