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ブルーリ潰瘍

更新日 (last updated):2025年5月23日

概要

ブルーリ潰瘍は、Mycobacterium ulceransおよび M. ulcerans subsp. shinshuense による皮膚感染症である。熱帯・亜熱帯を中心に、日本を含む33か国以上から報告がある。感染した部位に痛みのない皮膚病変を作り、直接の死因となることはまれであるが、進行すると骨や関節に影響が及び、機能障害などの後遺症を残すことがある。

病原体

原因菌はM. ulceransおよびM. ulcerans subsp. shinshuenseである。土中や水中などの環境中に生息すると考えられている。マイコラクトンという毒素を産生し、壊死と免疫抑制を引き起こす。

疫学

当初はアフリカ大陸から報告されていたが、その後熱帯・亜熱帯地域を中心として33か国以上から年間約2,000例が報告されており、日本でも発生が報告されている。

感染経路

感染経路は解明されていない。川や池、湿地などの周辺の住民に患者が多いことが知られている。ヒトからヒトへの感染は確認されていない。

臨床像

初期症状は四肢に好発する紅斑や丘疹であり、早期治療がなされない場合は無痛性結節を経て潰瘍に進行する。発熱の頻度は少なく、通常全身状態は良好である。治療が遅れると骨や関節に影響が及び、瘢痕や関節拘縮などの後遺症を残すことがある。

病原体診断

臨床症状と遺伝子の検出による。菌の培養・同定には数ヶ月を要する場合がある。

治療

複数の抗菌薬の併用療法を行う。重症例ではデブリドマンや皮膚移植を含めた外科的な治療を行うこともある。

予防法・ワクチン

感染源が不明であり、明確な予防法はないことから、早期発見と迅速な治療が重要である。

法的取り扱い

感染症法、学校保健安全法では定められていない。

より詳細な情報

ブルーリ潰瘍(詳細版)

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