ヒストプラスマ症
更新日 (last updated):2025年5月23日
概要
ヒストプラスマ症は、ヒストプラスマ属の真菌を病原体とする感染症である。主として、病原体を含む土壌の吸引により感染し、肺に病変を生じる。免疫不全がある場合は全身性に病変を生じ、重症化することがある。
病原体
原因真菌はHistoplasma属の真菌である。
疫学
ヒストプラスマ症の流行地域は、世界中の熱帯から亜熱帯の地域が中心である。特に、米国ミシシッピ川流域を中心に報告例が多い。これらの地域の土壌等に生息していることから、同地域での土木工事や洞窟探検などでの集団感染事例も報告されている。現時点で、日本でのヒストプラスマ症は流行地域からの輸入例と考えられ、年間数例である。
感染経路
主な感染経路は病原体を含む土壌やコウモリ・鳥の糞を吸入することによる経気道感染である。
臨床像
急性肺ヒストプラスマ症では7から21日程度の潜伏期ののち、発熱や咳を生じる。自然軽快することが多いが、大量の真菌に曝露された場合は重症化することもある。
慢性肺ヒストプラスマ症は結核に類似した症状や画像所見を示す。
基礎疾患として免疫不全がある場合、播種性ヒストプラスマ症となり、様々な全身症状や多臓器病変を呈することがある。
病原体診断
真菌の分離・同定、遺伝子検出、抗原検出、病理組織学的検査による。感染力が強く、検査室内での取り扱いに注意が必要である。
治療
抗真菌薬による治療が行われる。
予防法・ワクチン
流行地域において、病原体を含む土壌や鳥の糞などへの曝露を避けることが重要である。承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法、学校保健安全法では定められていない。
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