発しんチフス
更新日 (last updated):2025年12月25日
概要
発しんチフスは発しんチフスリケッチアを病原体とする感染症である。感染経路はコロモジラミの糞便などによる掻き傷の汚染である。高熱や頭痛、脱力感、発疹を呈し、重症化すると精神症状を呈したり、死亡することがある。
病原体
原因菌は発しんチフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)である。
疫学
着衣の交換頻度が低い寒冷な山岳地帯や、アフリカ、中南米、インド、パキスタンなどで報告され、近年はブルンジやエチオピア、ルワンダからの報告が多い。
日本国内では戦前戦中に流行したが、1957年以降発生していない。
感染経路
主な感染経路は、感染したコロモジラミの糞便に含まれるリケッチアが、刺し口や掻き傷に擦りこまれることによる。病原体に汚染された塵埃の吸入による経気道感染も起こり得る。
臨床像
潜伏期間は6日から15日程度(通常約12日)。突然の高熱や頭痛、悪寒、脱力感、悪心・嘔吐に続き、発症2日から5日後に発疹が体幹から全身へ広がる。重症例では幻覚や狂躁など精神神経症状が現れ、未治療の場合の致命率は10%から40%である。
病原体診断
血液からの菌の抗原検出、遺伝子検出、血清学的検査による 。
治療
抗菌薬による治療が行われる。
予防法・ワクチン
着衣(下着を含む)をこまめに交換・洗濯するなど、清潔に保ち、コロモジラミの発生を防ぐことが重要である。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法における、四類感染症に定められている。
