野兎病
概要
野兎病は野兎病菌による感染症である。主な感染経路は、病原体を保有する野生動物との接触や、病原体を保有するマダニ等による刺咬などである。突然の発熱や悪寒などを呈し、重症化すると肺炎や敗血症を起こす。無治療では重症化すると死亡することがある。
病原体
原因菌は野兎病菌(Francisella tularensis)である。3亜種のうち、日本に分布するのはF. tularensis subsp. holarcticaである。
疫学
世界では北半球の北米・アジア・ヨーロッパに広く分布し、散発的に流行する。
日本国内では主に東北や関東で発生していたが、現在はまれである。
感染経路
主な感染経路は、ノウサギなどの野生動物の剥皮作業や肉の調理の際に、病原体を含んだ血液や臓器に触れることで感染する。病原体を保有するマダニなどの節足動物による刺咬、病原体に汚染された飲料水や食物の摂取による経口感染、病原体を含む粉塵の吸入による呼吸器感染の報告もある。通常ヒトからヒトへの感染はない。
臨床像
潜伏期間は3日から7日程度。突然の高熱や悪寒、頭痛、筋肉痛などの全身症状が現れ、リンパ節の腫脹、膿瘍化、潰瘍を形成する。まれに蕁麻疹様の皮疹が出ることもある。重症化すると肺炎や敗血症を起こし、無治療では死亡することがある。
病原体診断
リンパ節穿刺液、病巣部拭い液、口腔液、血液からの菌の分離・同定、遺伝子検出、抗原検出、血清学的検査による。
治療
抗菌薬による治療が行われる。
膿瘍に対する穿刺排膿など、外科的な治療を行うこともある。
予防法・ワクチン
流行地では野生動物との接触、生水や生の食品の摂取、粉塵の吸引を避ける。マダニなどに刺されないために、忌避剤の使用や肌の露出を避けるといった対策が推奨される。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法における、四類感染症に定められている。
