重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
更新日 (last updated):2025年6月19日
概要
重症熱性血小板減少症候群(SFTS:Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は、SFTSウイルスによる感染症である。発熱や消化器症状などを呈し、重症例では出血傾向や意識障害を伴い、死亡することがある。
病原体
原因ウイルスはSFTSウイルスである。SFTSウイルスはフェニュイウイルス科バンダウイルス属に属する1本鎖RNAウイルスである。
疫学
中国にて2011年に初めて報告されて以来、東アジアや東南アジアで患者が確認されている。日本では2013年以降、西日本を中心に患者が確認され、近年は年間100例以上の報告があり、高齢者に多い傾向にある。
感染経路
主な感染経路は、ウイルスを保有するマダニの刺咬、感染動物や患者の血液・体液との接触である。地域により媒介するマダニの種類が異なり、日本では少なくともフタトゲチマダニとキチマダニがヒトへの感染に関与している。
臨床像
潜伏期間は6から14日(通常7から10日)。発熱や消化器症状などを呈し、重症例では出血傾向や意識障害を伴い、死亡することがある。
病原体診断
血液や尿、咽頭ぬぐい液を用いたウイルスの分離・同定、ウイルス遺伝子検出、血清学的検査による。
治療
抗ウイルス薬による治療が行われる。
予防法・ワクチン
マダニに刺されないために忌避剤の使用や肌の露出を避ける、感染した野生動物やペット、患者の体液との接触を避ける。
承認されたワクチンはない。
法的位置づけ
感染症法では四類感染症に定められている。
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