デング熱
更新日 (last updated):2025年7月24日
概要
デング熱はデングウイルスを病原体とする感染症である。主な感染経路は蚊の刺咬である。発熱や眼窩痛、関節痛、筋肉痛、発疹などの症状を呈し、まれに出血傾向やショックなどの重篤な症状を伴い死亡することがある。
病原体
デングウイルスはフラビウイルス科オルソフラビウイルス属に属する1本鎖RNAウイルスで、1型から4型の4つの血清型が存在する。
疫学
世界の熱帯や亜熱帯地域で流行しており、東南アジア、南アジア、中南米で患者の報告が多い。日本では海外からの輸入例が毎年報告されており、2014年には東京の代々木公園を中心とした国内感染事例が報告されている。
感染経路
主な感染経路は、ウイルスを保有したネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊に刺されることによる。ヒトからヒトへの直接的な感染はない。
臨床像
潜伏期間は2から14日(通常3から7日)。発熱や眼窩痛、関節痛、筋肉痛、発疹などの症状を呈し、出血傾向やショックなどの重篤な症状を伴い死亡することがある。
病原体診断
血液からのウイルスの分離・同定、ウイルス遺伝子や抗原の検出、血清学的検査による。
治療
特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。
予防法・ワクチン
蚊に刺されないことが重要である。忌避剤の使用や肌の露出を避けるといった対策が推奨される。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法における四類感染症に定められている。
関連情報
- 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)
- 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第3版)
- デング熱トップページ
- デング熱 マニュアル・ガイドライン等
- デング熱・チクングニア熱・ジカウイルス感染症等の媒介蚊対策<緊急時の対応マニュアル>
- デング熱(詳細版)
IDWR関連記事
記事を表示する
IASR関連記事
- 名古屋市のデング熱に対する取り組み
- デング熱の実験室診断
- 日本におけるデングウイルス媒介蚊について
- デング熱の臨床症状と診療
- 海外におけるデング熱の流行状況
- デング熱ワクチンの現状について
- 日本の輸入デング熱症例の動向について(2018年4月~2024年3月診断症例)
- 海外渡航者へのデング熱予防に関する情報提供
- ボルバキアを用いた疾病媒介蚊制御の歴史的経緯と現状
- IASR Vol.45, No.8 (No.534), August 2024 デング熱・デング出血熱 2019~2023年
記事を表示する