天然痘(痘そう)
概要
天然痘(痘そう)は天然痘ウイルスを病原体とする感染症である。主な感染経路は飛沫感染である。高熱と発疹を特徴とし、致命率の高いvariola majorと致命率の低いvariola minorに分類される。患者発生は1977年が最後であり、世界保健機関(WHO)が1980年に世界根絶宣言を行った。
病原体
天然痘ウイルスはポックスウイルス科オルソポックスウイルス属に属する2本鎖DNAウイルスである。
疫学
過去には世界各地で報告されていたが、WHOの根絶計画によるサーベイランスと封じ込めで、1977年ソマリアの患者を最後に根絶され、WHOが1980年に世界根絶宣言を行った。
日本国内では1956年以降報告されていない。
感染経路
主な感染経路は飛沫感染である。患者の体液や汚染されたリネン類を介した接触感染もある。
臨床像
潜伏期間は7日から16日(通常12日程度)。急激な発熱や頭痛で発症し、顔面、頭部を含む全身に発疹が出現する。発疹は紅斑、丘疹、水疱、膿疱、結痂、落屑と規則正しく移行し、瘢痕を残して脱落する。致命率はvariola majorでは20%から50%、variola minorでは1%以下である。
病原体診断
血液や唾液、水疱・膿疱内容物、痂皮などからのウイルス分離・同定、抗原検出、遺伝子検出、電子顕微鏡によるウイルス粒子の直接観察による。
治療
特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。
予防法・ワクチン
手洗いや咳エチケットなどの飛沫予防策と接触予防策が有効である。
痘そうワクチンが有効である。定期接種として利用されていたが、天然痘根絶後の1980年以降、国内での定期接種は廃止されている。
法的取り扱い
感染症法における一類感染症に定められている。
学校保健安全法における第一種感染症に定められている。
