腸炎ビブリオ感染症
更新日 (last updated):2025年12月25日
概要
腸炎ビブリオ感染症は腸炎ビブリオを病原体とする感染症である。主な感染経路は病原体に汚染された魚介類の摂取による経口感染である。激しい腹痛や水様性や粘液性の下痢などの症状を呈する。
病原体
原因菌は腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)で、ビブリオ属の好塩性のグラム陰性短桿菌である。
疫学
世界中で報告されている。
日本国内では、1980年代前半まで細菌性食中毒の半数を占めたが、ここ数年は年間数件から数十件程度である。
感染経路
主な感染経路は、病原体に汚染された魚介類やその加工品の摂取による経口感染である。加熱加工した食品でも、汚染した水や器具によって二次汚染されたと考えられる事例もある。
臨床像
潜伏期間は12時間前後。激しい腹痛と水様性や粘液性の下痢が主症状で、しばしば発熱や嘔吐・吐き気を伴う。
病原体診断
糞便からの菌の分離・同定による。
治療
脱水の補正や抗菌薬による治療が行われる。
予防法・ワクチン
魚介類等の食品の低温保存、食品の十分な加熱、調理器具や手指などを介した二次汚染防止等の衛生管理の徹底、手洗いの励行が重要である。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法において、五類感染症の定点把握対象疾患に定められている「感染性胃腸炎」の一部として、届出の対象となる。
学校保健安全法において、条件によって第三感染症の「その他の感染症」に定められている。
腸炎ビブリオは食品衛生法における、食中毒の病因物質に定められている。
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