IDWR 発生動向総覧 2012年第6週(第6号)
発生動向総覧
〈第6週コメント〉 2月15日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: | 報告なし | ||||||||||||||||||||||||
2類感染症: | 結核 337例 | ||||||||||||||||||||||||
3類感染症: |
パラチフス1例(感染地域:インド) |
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4類感染症: |
マラリア1例(原虫種不明_感染地域:マリ)
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5類感染症: |
クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型2例)
梅毒13例(早期顕症I期1例、早期顕症II期7例、晩期顕症1例、無症候4例)
(補)2012年第5週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢3例〔菌種:S. flexneri(B群)1例_感染地域:マダガスカル.菌種:S. sonnei(D群)2例_感染地域:国内(都道府県不明)1例、フィリピン1例〕、E型肝炎1例(感染地域:東京都_感染源:豚のレバー)、デング熱3例(感染地域:インド3例)、急性脳炎2例(インフルエンザウイルスA型1例_年齢群:10代.病原体不明1例_年齢群:60代)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔60代(1例)、90代(1例)〕などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では大分県(60.88)、石川県(53.92)、岩手県(52.63)、宮崎県(52.15)、鹿児島県(52.09)、埼玉県(50.04)、秋田県(50.00)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は1,393例と第51週以降減少が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約76%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では新潟県(0.73)、佐賀県(0.70)、福岡県(0.60)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では富山県(5.59)、大分県(5.25)、福井県(4.95)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では大分県(18.1)、福井県(14.1)、宮崎県(11.9)が多い。水痘の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では宮崎県(2.78)、佐賀県(2.52)、徳島県(2.48)が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では滋賀県(0.84)、富山県(0.69)、石川県(0.62)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では鳥取県(1.16)、長野県(0.76)、島根県(0.57)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では高知県(0.13)、沖縄県(0.12)、広島県(0.06)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では徳島県(0.09)、岩手県(0.08)、高知県(0.07)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では鳥取県(1.47)、徳島県(1.35)、新潟県(1.27)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(3.43)、青森県(2.67)、栃木県(2.57)が多い。
〈1月コメント〉
◆性感染症について 2012年2月10日集計分 性感染症定点数:963
(産婦人科・産科・婦人科:462、泌尿器科:405、皮膚科83、性病科13)
●月別推移
2012年1月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が1.92(男0.94、女0.98)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.74(男0.31、女0.43)、尖圭コンジローマが0.44(男0.25、女0.20)、淋菌感染症が0.87(男0.67、女0.19)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男性では、性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで増加し、淋菌感染症で微減した。女性では、性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で増加した(27~30ページ「グラフ総覧」参照)。過去5年間の同時期と比較すると、女性では性器クラミジア感染症がかなり少なく、淋菌感染症がかなり多かった(図2)。 |
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(1月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群別(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は25~29歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は35~39歳の年齢群、尖圭コンジローマは25~29歳の年齢群、淋菌感染症は25~29歳の年齢群であった。女性では、性器クラミジア感染症は20~24歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25~29歳の年齢群、尖圭コンジローマは20~24歳の年齢群、淋菌感染症は20~29歳の2つの年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15~19歳の年齢群の報告があり、また男性の尖圭コンジローマ、女性の性器クラミジア感染症で10~14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患の報告は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上は僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、年齢群分布においての明らかな変化は見られておらず、この基準の周知徹底とともに、遵守されているかの検討なども今後必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、性器クラミジア感染症では15~29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15~34歳、40~44歳、70歳以上の6つの年齢群、尖圭コンジローマでは15~24歳の2つの年齢群という比較的低い年齢層を中心に女性が男性より多く、他の年齢群は同値あるいは男性が多かった。淋菌感染症ではすべての年齢群で男性が女性より多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較については各地域におけるそれらの比率等の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられた後、2009~2010年はほぼ横ばいで推移したが、2011年以降は再び減少している。女性では2003年以降減少傾向がみられていたが、2011年以降は横ばいである。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年以降微減傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいで推移している。女性では2006年以降微減傾向がみられたが、2010年にやや増加した後、2011年以降は再び減少している。尖圭コンジローマは男女共に2006年以降微減傾向がみられたが、男性では2011年以降はほぼ横ばいで、女性では2010年以降はほぼ横ばいで推移している。淋菌感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられ、2010年に増加傾向がみられたが、2011年以降は再び減少している。女性では2004年以降微減傾向がみられた後2007年以降は横ばいで推移していたが、2011年以降は微増している。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で同値、尖圭コンジローマで同値、淋菌感染症で増加であった。女性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で増加であった。
◆薬剤耐性菌について (2月10集計分) |
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基幹定点数(1月):464. |
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●月別 |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 |
●年齢階級別 |
MRSA感染症 |
●性別:女性を1 として算出した男/女比 |
MRSA感染症…男:女=1.7:1 |
●都道府県別 |
MRSA感染症 |