IDWR 2012年第27号＜発生動向総覧＞2012年第27週（2012年7月2日～7月8日）

注意：PDF版よりピックアップして掲載しています。

　発生動向総覧

〈第27週コメント〉　7月11日集計分

◆全数報告の感染症

注意：これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。

注意：感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。

1類感染症：

報告なし

2類感染症：

結核 427例

3類感染症：

細菌性赤痢4例
	菌種：S. flexneri （B群）2例＿感染地域：インドネシア1例、ベトナム/カンボジア1例 S. sonnei （D群）2例＿感染地域：大阪府1例、スペイン1例

腸管出血性大腸菌感染症98例（有症者77例、うちHUS 1例）

感染地域：国内94例、韓国2例、フランス1例、国内・国外不明1例
国内の多い感染地域：福岡県15例、埼玉県7例、東京都7例、広島県7例、佐賀県7例、千葉県5例、群馬県4例、宮城県3例、京都府3例、大阪府3例、兵庫県3例、鹿児島県3例、神奈川県2例、
岡山県2例、山口県2例、愛媛県2例、大分県2例、宮崎県2例
年齢群：0歳（1例）、1歳（6例）、2歳（3例）、3歳（1例）、4歳（4例）、5歳（2例）、6歳（3例）、7歳（1例）、8歳（2例）、9歳（2例）、10代（16例）、20代（14例）、30代（10例）、40代（8例）、50代（6例）、60代（8例）、70代（7例）、80代（3例）、90代（1例）
血清型・毒素型：O157 VT1・VT2（32例）、O157 VT2（20例）、O26 VT1（14例）、O157 VT不明（7例）、O26 VT不明（4例）、O121 VT2（3例）、O26 VT1・VT2（2例）、O121 VT不明（2例）、O157 VT1（2例）、O103 VT1（1例）、O111 VT1（1例）、O124 VT1・VT2（1例）、O145 VT2（1例）、その他・不明（8例）
累積報告数：1,022例（有症者638例、うちHUS 21例．死亡2例）

4類感染症：

A型肝炎1例（感染地域：大分県）
つつが虫病4例（感染地域：青森県2例、宮城県1例、長野県1例）

デング熱7例
	感染地域：インドネシア2例、フィリピン2例、タイ1例、ベトナム1例、ブラジル1例

日本紅斑熱1例（感染地域：千葉県）
マラリア2例（熱帯熱2例＿感染地域：ガーナ1例、南スーダン1例）
ライム病1例（感染地域：北海道）

レジオネラ症24例（肺炎型23例、ポンティアック型1例）

感染地域：大阪府4例、神奈川県2例、石川県2例、愛知県2例、青森県1例（温泉）、宮城県1例、埼玉県1例、千葉県1例、山梨県1例、静岡県1例、山口県1例、愛媛県1例、鹿児島県1例、国内（都道府県不明）2例、中国2例、台湾1例
年齢群：40代（1例）、50代（4例）、60代（10例）、70代（7例）、80代（2例）

5類感染症：

アメーバ赤痢19例（腸管アメーバ症12例、腸管外アメーバ症5例、腸管及び腸管外アメーバ症2例）
	感染地域：東京都2例、北海道1例、福島県1例、神奈川県1例、岐阜県1例、岡山県1例、国内（都道府県不明）9例、国内（都道府県不明）/韓国1例、キリバス1例、タイ/インド1例感染経路：性的接触6例（異性間5例、同性間1例）、経口感染4例、不明9例

ウイルス性肝炎1例
	B型＿感染経路：性的接触（異性間）

急性脳炎2例
	病原体不明2例＿年齢群：2歳（1例）、9歳（1例）

クロイツフェルト・ヤコブ病2例
	孤発性プリオン病古典型2例

後天性免疫不全症候群13例（AIDS 5例、無症候7例、その他1例）
	感染地域：国内11例、韓国1例、国内・国外不明1例感染経路：性的接触13例（異性間3例、同性間7例、異性/同性間3例）

ジアルジア症1例（感染地域：エチオピア）
髄膜炎菌性髄膜炎1例（感染地域：福岡県）
梅毒5例（早期顕症I期3例、早期顕症II期1例、無症候1例）
破傷風1例（年齢群：60代）

バンコマイシン耐性腸球菌感染症4例
	遺伝子型：VanB 1例＿検出検体：膿遺伝子型：VanC 3例＿検出検体：血液2例、腹水1例

風しん75例（検査診断例53例、臨床診断例22例）

感染地域：東京都28例、神奈川県9例、兵庫県9例、大阪府8例、埼玉県1例、千葉県1例、福井県1例、愛知県1例、国内（都道府県不明）17例
年齢群：1歳（1例）、3歳（1例）、10～14歳（1例）、15～19歳（10例）、20～24歳（11例）、25～29歳（12例）、30～34歳（9例）、
35～39歳（10例）、40代（15例）、50代（5例）
累積報告数：594例（検査診断例439例、臨床診断例155例）

麻しん14例〔麻しん（検査診断例4例、臨床診断例6例）、修飾麻しん（検査診断例4例）〕

感染地域：栃木県2例、埼玉県2例、東京都2例、兵庫県2例、秋田県1例、千葉県1例、愛知県1例、大阪府1例、長崎県1例、国内・国外不明1例
年齢群：1歳（2例）、5～9歳（1例）、10～14歳（1例）、15～19歳（3例）、35～39歳（4例）、40代（3例）
累積報告数：182例〔麻しん（検査診断例98例、臨床診断例47例）、修飾麻しん（検査診断例37例）〕
遺伝子型別累積報告数（遺伝子型が同定・報告された症例のみ）：55例
D4：5例＿感染地域：千葉県1例、東京都1例、東京都/ベトナム1例、大阪府/英国1例、パキスタン1例
D8：37例＿感染地域：愛知県19例、千葉県5例、岐阜県3例、山梨県2例、都道府県不明6例、タイ1例、タイ/カンボジア1例
D9：8例＿感染地域：岡山県4例、栃木県1例、千葉県1例、東京都1例、フィリピン1例
H1：5例＿感染地域：福島県4例、台湾1例

（補）2012年第26週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例〔菌種：S. sonnei （D群）＿感染地域：タイ〕、オウム病1例（感染地域：群馬県＿感染源：インコ）、デング熱2例（感染地域：インドネシア1例、タイ/マレーシア1例）、ライム病1例（感染地域：北海道）、急性脳炎2例〔病原体不明2例＿年齢群：1歳（2例）〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔60代（1例）、70代（1例．死亡）〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例（遺伝子型：不明＿菌検出検体：血液）などの報告があった。

◆定点把握の対象となる５類感染症（週報対象のもの）

全国の指定された医療機関（定点）から報告され、疾患により小児科定点（約3,000 カ所）、インフルエンザ（小児科・内科）定点（約5,000 カ所）、眼科定点（約600 カ所）、基幹定点（約500 カ所）に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。 cpeg

インフルエンザ：定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県（9.67）、鹿児島県（1.06）、宮崎県（0.17）、熊本県（0.14）が多い。

小児科定点報告疾患：RSウイルス感染症の報告数は345例と減少した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約81%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では佐賀県（1.74）、新潟県（1.18）、福岡県（0.85）が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期（前週、当該週、後週）と比較してやや多い。都道府県別では埼玉県（3.13）、福井県（3.09）、山形県（3.00）が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第22週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では宮城県（10.5）、山形県（9.2）、大分県（7.9）が多い。水痘の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別では長野県（2.19）、福島県（1.92）、北海道（1.90）が多い。手足口病の定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では福井県（4.86）、青森県（4.49）、新潟県（4.45）が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では高知県（1.33）、長野県（0.76）、山形県（0.73）が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では高知県（0.40）、鹿児島県（0.18）、富山県（0.14）が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では宮崎県（8.75）、群馬県（8.13）、大分県（7.03）が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大分県（2.06）、岩手県（1.48）、山形県（1.27）が多い。

基幹定点報告疾患：マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では群馬県（4.38）、栃木県（2.86）、沖縄県（2.57）、愛知県（2.50）が多い。