発生動向総覧
〈第28週コメント〉 7月18日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 423例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢2例
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菌種:S. sonnei (D群)2例_感染地域:長崎県1例、インドネシア1例
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腸管出血性大腸菌感染症94例(有症者62例、うちHUS 1例) |
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感染地域:国内93例、トルコ1例 国内の多い感染地域:福岡県11例、滋賀県7例、東京都6例、京都府6例、佐賀県6例、千葉県5例、岐阜県5例、愛知県4例、北海道3例、埼玉県3例、富山県3例、石川県3例、大阪府3例、香川県3例、宮城県2例、群馬県2例、長野県2例、鹿児島県2例 年齢群:0歳(2例)、1歳(2例)、2歳(3例)、3歳(2例)、4歳(3例)、5歳(3例)、6歳(3例)、7歳(1例)、8歳(1例)、9歳(1例)、 10代(14例)、20代(14例)、30代(14例)、40代(10例)、50代(7例)、60代(8例)、70代(5例)、80代(1例) 血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(35例)、O157 VT2(17例)、O26 VT1(12例)、O121 VT2(5例)、O157 VT不明(4例)、O26 VT1・VT2(2例)、O26 VT不明(2例)、O146 VT1・VT2(2例)、O88 VT1・VT2(1例)、O91 VT1(1例)、O111 VT1(1例)、O145 VT2(1例)、O145 VT不明(1例)、O157 VT1(1例)、O165 VT2(1例)、その他・不明(8例) 累積報告数:1,129例(有症者704例、うちHUS 23例.死亡2例)
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腸チフス1例(感染地域:ミャンマー) |
4類感染症: |
E型肝炎2例
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感染地域:国内(都道府県不明)1例_感染源:不明 感染地域:中国1例_感染源:不明
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つつが虫病2例(感染地域:青森県1例、鹿児島県1例) デング熱2例(感染地域:シンガポール)
日本紅斑熱4例
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感染地域:熊本県2例、島根県1例、愛媛県1例
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レジオネラ症18例(肺炎型18例)
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感染地域:神奈川県3例(うち1例温泉)、福岡県2例(温泉2例)、茨城県1例、千葉県1例、富山県1例、石川県1例、岐阜県1例、愛知県1例、京都府1例、大阪府1例、兵庫県1例、佐賀県1例、宮崎県1例、国内(都道府県不明)1例(温泉)、中国1例 年齢群:50代(4例)、60代(11例)、70代(2例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢10例(腸管アメーバ症8例、腸管外アメーバ症2例) |
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感染地域:宮城県1例、千葉県1例、東京都1例、富山県1例、愛知県1例、京都府1例、大阪府1例、大分県1例、国内(都道府県不明)1例、インド1例 感染経路:性的接触3例(異性間2例、異性間・同性間不明1例)、経口感染2例、不明5例
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ウイルス性肝炎1例 |
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B型_感染経路:性的接触(同性間)
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急性脳炎4例 |
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水痘1例_年齢群:2歳 単純ヘルペスウイルス1型1例_年齢群:60代 病原体不明2例_年齢群:1歳(1例)、3歳(1例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病3例 |
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孤発性プリオン病古典型3例
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例 |
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年齢群:60代(1例)、80代(1例.死亡)
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後天性免疫不全症候群16例(AIDS 1例、無症候14例、その他1例) |
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感染地域:国内15例、インドネシア1例 感染経路:性的接触16例(異性間6例、同性間9例、異性/同性間1例)
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梅毒8例(早期顕症I期2例、早期顕症II期5例、無症候1例) 破傷風1例(年齢群:20代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例
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遺伝子型:不明_菌検出検体:カテーテル尿
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風しん60例(検査診断例48例、臨床診断例12例)
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感染地域:東京都10例、大阪府8例、埼玉県6例、兵庫県4例、神奈川県3例、愛知県3例、滋賀県3例、京都府2例、群馬県1例、福井県1例、長野県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)17例 年齢群:2歳(2例)、15~19歳(4例)、20~24歳(10例)、25~29歳(7例)、30~34歳(9例)、35~39歳(12例)、40代(12例)、50代(3例)、60代(1例) 累積報告数:692例(検査診断例515例、臨床診断例177例)
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麻しん14例〔麻しん(検査診断例6例、臨床診断例6例)、修飾麻しん(検査診断例2例)〕
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感染地域:神奈川県8例、東京都2例、千葉県1例、国内(都道府県不明)1例、国内・国外不明2例 年齢群:1歳(1例)、4歳(1例)、5~9歳(1例)、15~19歳(1例)、20~24歳(1例)、25~29歳(4例)、30~34歳(1例)、35~39歳(2例)、40代(2例) 累積報告数:194例〔麻しん(検査診断例103例、臨床診断例50例)、修飾麻しん(検査診断例41例)〕 遺伝子型別累積報告数(遺伝子型が同定・報告された症例のみ):55例 D4:5例_感染地域:千葉県1例、東京都1例、東京都/ベトナム1例、大阪府/英国1例、パキスタン1例 D8:37例_感染地域:愛知県19例、千葉県5例、岐阜県3例、山梨県2例、都道府県不明6例、タイ1例、タイ/カンボジア1例 D9:8例_感染地域:岡山県4例、栃木県1例、千葉県1例、東京都1例、フィリピン1例 H1:5例_感染地域:福島県4例、台湾1例
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(補)2012年第27週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎2例〔感染地域:千葉県1例_感染源:井戸水、感染地域:国内(都道府県不明)1例_感染源:不明〕、エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道)、日本紅斑熱1例(感染地域:和歌山県)、ライム病1例(感染地域:北海道)、レジオネラ症1例〔感染地域:長野県(温泉)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:腹部膿瘍)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(15.10)、鹿児島県(0.94)、宮崎県(0.12)、長崎県(0.11)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では佐賀県(1.43)、鹿児島県(1.24)、徳島県(0.91)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第25週以降減少が続いている。都道府県別では宮崎県(3.22)、山形県(3.17)、福井県(2.91)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第22週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では大分県(8.6)、山形県(7.7)、宮崎県(7.0)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福島県(1.85)、山形県(1.80)、千葉県(1.77)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では福井県(9.86)、新潟県(7.18)、青森県(5.73)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では高知県(0.97)、長野県(0.72)、岩手県(0.68)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では高知県(0.43)、岩手県(0.13)、徳島県(0.13)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では宮崎県(10.78)、群馬県(8.85)、埼玉県(8.33)、大分県(8.08)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では大分県(1.67)、山形県(1.37)、岐阜県(1.23)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では栃木県(3.71)、福島県(3.43)、青森県(3.00)、群馬県(2.38)が多い。
〈6月コメント〉 ◆性感染症について 2012年7月13日集計分 性感染症定点数:972 (産婦人科・産科・婦人科:472、泌尿器科:403、皮膚科85、性病科12)
●月別推移 2012年6月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.23(男1.02、女1.21)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.77(男0.29、女0.47)、尖圭コンジローマが0.47(男0.28、女0.19)、淋菌感染症が0.73(男0.57、女0.16)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男性では、性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で減少した。女性では、性器クラミジア感染症で 増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で増加した(26~29ページ「グラフ総覧」参照)。過去5年間の同時期と比較すると、男性では、性器クラミジア感染症がやや少なく、淋菌感染症がかなり少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(6月) |
●男女別・年齢階級別 年齢群別(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は20~24歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は20~39歳の4つの年齢群、尖圭コンジローマは30~34歳の年齢群、淋菌感染症は25~29歳の年齢群であった。女性では、4疾患すべてで20~24歳の年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15~19歳の年齢群の報告があり、また男性の性器クラミジア感染症および尖圭コンジローマ、女性の性器クラミジア感染症および淋菌感染症で10~14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患の報告は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上は僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、年齢群分布においての明らかな変化は見られておらず、この基準の周知徹底とともに、遵守されているかの検討なども今後必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、性器クラミジア感染症では10~29歳の4つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15~39歳、55~64歳、70歳以上の8つの年齢群、尖圭コンジローマでは15~24歳の2つの年齢群という比較的低い年齢層を中心に女性が男性より多く、他の年齢群は同値あるいは男性が多かった。淋菌感染症では15~19歳の年齢群で同値で、他のすべての年齢群で男性が女性より多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較については各地域におけるそれらの比率等の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられた後、2009~2010年はほぼ横ばいで推移したが、2011年以降は再び減少している。女性では2003年以降減少傾向がみられた後、2011年はほぼ横ばいであったが、2012年は再び減少している。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年以降微減傾向がみられた後、2010年はほぼ横ばいで推移し、2011年から再び微減している。女性では2006年以降微減傾向がみられた後2010年にやや増加したが、2011年は再び減少し、2012年は微増している。尖圭コンジローマは男性では2006年以降微減傾向がみられている。女性では2006年以降微減傾向がみられたが、2010年以降ほぼ横ばいで推移している。淋菌感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられた後2010年にやや増加したが、2011年以降は再び減少している。女性では2004年以降微減傾向がみられた後2007年以降は横ばいで推移していたが、2011年は微増し、2012年は微減している。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で同値であった。女性では性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で増加した。
◆薬剤耐性菌について (7月13集計分)
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基幹定点数(6月):468. (30~31ページ「グラフ総覧」参照)
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 3.59(前月:3.85、前年同月:4.28) 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。6月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。 ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症 0.66(前月:0.66、前年同月:0.97) 定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4~6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7~9月)に少なく推移していたが、2012年は5~6月の報告数増加が認められていない。6月は前月と同値で、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。 薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症 0.05(前月:0.08、前年同月:0.07) 定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。6月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。 薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症 -(前月:0.00、前年同月:0.00) 今月は報告がなかった。2011年2月の報告開始であるため、傾向の分析や過去との比較は未だできない。
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●年齢階級別
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MRSA感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の63%を占めている(図1:PDF参照)。 PRSP感染症 小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の48%を占める一方、70歳以上が全体の29%を占めている(図2:PDF参照)。 MDRP感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の67%を占めている(図3:PDF参照)。 MDRA感染症 今月は報告がなかった(図4:PDF参照)。
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.8:1 PRSP感染症…男:女=1.8:1 MDRP感染症…男:女=3.8:1 MDRA感染症…今月は報告がなかった。
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●都道府県別
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MRSA感染症 定点当たり報告数は沖縄県(8.14)、福島県(7.86)、滋賀県(7.57)が多い。 PRSP感染症 定点当たり報告数は大分県(3.18)、山口県(2.00)奈良県(1.83)が多い。 MDRP感染症 報告総数が24例にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。 MDRA感染症 今月は報告がなかった。
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