発生動向総覧
〈第33週コメント〉 8月22日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 357例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢4例
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菌種:S. sonnei (D群)4例_感染地域:インドネシア2例、インド1例、台湾/ベトナム1例
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腸管出血性大腸菌感染症238例(有症者136例、うちHUS 9例.死亡1例) |
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感染地域:国内236例、インドネシア1例、ベトナム1例 国内の多い感染地域:北海道94例*、長野県43例**、岡山県9例***、宮崎県7例#、茨城県6例、東京都6例、広島県6例、埼玉県5例、山形県4例、大阪府4例、青森県3例、宮城県3例、千葉県3例、富山県3例、三重県3例 * 第32週に報告のあった白菜の浅漬けに関連した食中毒(O157 VT1・VT2)を含む ** 第32週に報告のあった保育所における集団発生(O26 VT1)を含む *** 第32週に報告のあった保育所における集団発生(O26 VT1)を含む #第32週に報告のあった保育所における各々異なった複数の集団発生(O111 VT1・VT2とO103 VT1)を含む 年齢群:0歳(4例)、1歳(6例)、2歳(4例)、3歳(13例)、4歳(12例)、5歳(18例)、6歳(5例)、7歳(6例)、8歳(5例)、10代(23例)、20代(19例)、30代(15例)、40代(17例)、50代(16例)、60代(19例)、70代(11例)、80代(27例)、90代(16例)、100代(2例) 血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(114例)、O26 VT1(55例)、O157 VT2(13例)、O103 VT1(6例)、O121 VT2(6例)、O157 VT1(4例)、O157 VT不明(4例)、O111 VT1(3例)、O26 VT1・VT2( 2例)、O112ac VT1・VT2(2例)、O25 VT不明(1例)、O26 VT不明(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、O111 VT不明(1例)、O145 VT1(1例)、その他・不明(24例) 累積報告数:2,062例(有症者1,237例、うちHUS 47例.死亡6例)
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腸チフス2例〔感染地域:福岡県1例、国内(都道府県不明)1例〕 |
4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:愛知県_感染源:不明 ) A型肝炎3例(感染地域:インドネシア1例、タイ1例、インド1例)
デング熱7例:
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感染地域:タイ2例、カンボジア1例、フィリピン1例、バングラデシュ1例、カンボジア/シンガポール1例、カンボジア/ベトナム/タイ1例
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日本紅斑熱7例
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感染地域:三重県2例、熊本県2例、和歌山県1例、宮崎県1例、鹿児島県1例
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ライム病1例(感染地域:福島県)
レジオネラ症12例(肺炎型12例)
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感染地域:栃木県2例(うち1例温泉)、埼玉県2例、東京都2例、秋田県1例、千葉県1例、岡山県1例、高知県1例、福岡県1例、大分県1例 年齢群:30代(1例)、50代(4例)、60代(1例)、70代(1例)、80代(4例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢8例(腸管アメーバ症8例) |
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感染地域:千葉県1例、大阪府1例、広島県1例、国内(都道府県不明)2例、中国1例、インドネシア1例、米国(ハワイ)1例 感染経路:経口感染4例、性的接触2例(異性間1例、異性間・同性間不明1例)、不明2例
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ウイルス性肝炎4例 |
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B型4例_感染経路:性的接触3例(異性間2例、異性間・同性間不明1例)、不明1例
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急性脳炎3例 |
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病原体不明3例_年齢群:8歳(1例)、9歳(1例)、10代(1例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例 |
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孤発性プリオン病古典型
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後天性免疫不全症候群14例(AIDS 4例、無症候10例) |
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感染地域:国内10例、フィリピン2例、国内・国外不明2例 感染経路:性的接触12例(異性間4例、同性間8例)、不明2例
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ジアルジア症2例 |
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感染地域:大阪府1例、パラグアイ1例
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梅毒8例(早期顕症I期3例、早期顕症II期1例、無症候4例) 破傷風1例(年齢群:40代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症3例
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遺伝子型:VanC 2例_菌検出検体:血液2例 遺伝子型:不明1例_菌検出検体:中心静脈カテーテル
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風しん88例(検査診断例70例、臨床診断例18例)
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感染地域:東京都18例、大阪府16例、神奈川県11例、兵庫県9例、千葉県6例、埼玉県4例、北海道1例、福島県1例、福井県1例、静岡県1例、京都府1例、福岡県1例、熊本県1例、国内(都道府県不明)16例、インドネシア1例 年齢群:1歳(1例)、3歳(1例)、4歳(1例)、5~9歳(1例)、10~14歳(3例)、15~19歳(5例)、20~24歳(13例)、25~29歳(20例)、30~34歳(7例)、35~39歳(11例)、40代(19例)、50代(5例)、60代(1例) 累積報告数:1,239例(検査診断例914例、臨床診断例325例)
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麻しん6例〔麻しん(検査診断例2例、臨床診断例3例)、修飾麻しん(検査診断例1例)〕
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感染地域:埼玉県1例、東京都1例、大阪府1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)2例 年齢群:1歳(1例)、5~9歳(1例)、20~24歳(2例)、30~34歳(1例)、40代(1例) 累積報告数:225例〔麻しん(検査診断例117例、臨床診断例56例)、修飾麻しん(検査診断例52例)〕 遺伝子型別累積報告数(遺伝子型が同定・報告された症例のみ):56例 D4:6例_感染地域:東京都2例、千葉県1例、東京都/ベトナム1例、大阪府/英国1例、パキスタン1例 D8:37例_感染地域:愛知県19例、千葉県5例、岐阜県3例、山梨県2例、都道府県不明6例、タイ1例、タイ/カンボジア1例 D9:8例_感染地域:岡山県4例、栃木県1例、千葉県1例、東京都1例、フィリピン1例 H1:5例_感染地域:福島県4例、台湾1例
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(補)2012年第32週までに診断されたものの報告遅れとして、日本紅斑熱1例(感染地域:和歌山県)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(30代)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

インフルエンザ:定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(17.65)、鹿児島県(0.45)、長崎県(0.27)、宮崎県(0.10)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は978例と第28週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約77%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では鹿児島県(1.25)、熊本県(0.75)、福井県(0.59)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第25週以降減少が続いている。都道府県別では宮崎県(1.28)、北海道(1.16)、福井県(1.05)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第22週以降減少が続いている。都道府県別では大分県(6.1)、島根県(5.2)、宮崎県(5.0)が多い。水痘の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では徳島県(1.26)、愛媛県(1.00)、高知県(0.80)が多い。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では新潟県(5.93)、青森県(5.80)、福井県(2.91)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は第28週以降減少が続いている。都道府県別では岩手県(0.55)、高知県(0.47)、沖縄県(0.27)が多い。百日咳の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では高知県(0.40)、和歌山県(0.16)、大分県(0.11)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では宮崎県(3.28)、新潟県(3.12)、富山県(2.69)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では岩手県(1.50)、岐阜県(1.26)、大分県(1.19)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では群馬県(5.88)、栃木県(4.57)、岐阜県(4.20)、福島県(3.14)が多い。
〈7月コメント〉
◆性感染症について 2012年8月10日集計分 性感染症定点数:969 (産婦人科・産科・婦人科:469、泌尿器科:403、皮膚科85、性病科12)
●月別推移 2012年7月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.32(男1.07、女1.25)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.75(男0.29、女0.46)、尖圭コンジローマが0.46(男0.27、女0.18)、淋菌感染症が0.85(男0.68、女0.18)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で微減、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で増加した。女性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で増加した(33~36ページ「グラフ総覧」参照)。過去5年間の同時期と比較すると、男性では、性器クラミジア感染症、淋菌感染症がやや少なく、女性では、尖圭コンジローマがやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(7月) |

●男女別・年齢階級別
年齢群別(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は20~29歳の2つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25~29歳、35~44歳の3つの年齢群、尖圭コンジローマは25~29歳の年齢群、淋菌感染症は20~29歳の2つの年齢群であった。女性では、性器クラミジア感染症は20~24歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25~29歳の年齢群、尖圭コンジローマは20~24歳の年齢群、淋菌感染症は20~24歳の年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15~19歳の年齢群の報告があり、また、女性の性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマで10~14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患の報告は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上は僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、年齢群分布においての明らかな変化は見られておらず、この基準の周知徹底とともに、遵守されているかの検討なども今後必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、性器クラミジア感染症では15~34歳の4つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15~39歳、50~59歳、65~69歳、70歳以上の9つの年齢群、尖圭コンジローマでは15~24歳の2つの年齢群、淋菌感染症では15~19歳の年齢群という比較的低い年齢層を中心に女性が男性より多く、他の年齢群は同値あるいは男性が多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較については各地域におけるそれらの比率等の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられた後、2009~2010年はほぼ横ばいで推移したが、2011年以降は再び減少している。女性では2003年以降減少傾向がみられた後、2011年はほぼ横ばいであったが、2012年は再び減少している。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年以降微減傾向がみられた後、2010年はほぼ横ばいで推移し、2011年から再び微減している。女性では2006年以降微減傾向がみられた後2010年にやや増加したが、2011年は再び減少し、2012年は微増している。尖圭コンジローマは男性では2006年以降微減傾向がみられている。女性では2006年以降微減傾向がみられたが、2010年以降ほぼ横ばいで推移している。淋菌感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられた後2010年にやや増加したが、2011年以降は再び減少している。女性では2004年以降微減傾向がみられた後2007年以降は横ばいで推移していたが、2011年は微増し、2012年は微減している。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで同値、淋菌感染症で増加であった。女性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで同値、淋菌感染症で減少であった。
◆薬剤耐性菌について 8月10集計分)
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基幹定点数(7月):466. (37~38ページ「グラフ総覧」参照)
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 3.84(前月:3.59、前年同月:4.04) 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。7月は前月より増加し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。 ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症 0.53(前月:0.66、前年同月:0.68) 定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4~6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7~9月)に少なく推移していたが、2012年は5~6月の報告数増加が認められていない。7月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。 薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症 0.06(前月:0.05、前年同月:0.11) 定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。7月は前月より増加し、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。 薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症 -(前月:-、前年同月:0.01) 今月は報告がなかった。2011年2月の報告開始であるため、傾向の分析や過去との比較は未だできない。
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●年齢階級別
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MRSA感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の62%を占めている(図1:PDF参照)。 PRSP感染症 小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の51%を占める一方、70歳以上が全体の26%を占めている(図2:PDF参照)。 MDRP感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の72%を占めている(図3:PDF参照)。 MDRA感染症 今月は報告がなかった(図4:PDF参照)。
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.6:1 PRSP感染症…男:女=1.3:1 MDRP感染症…男:女=2.2:1 MDRA感染症…今月は報告がなかった。
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●都道府県別
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MRSA感染症 定点当たり報告数は沖縄県(9.57)、滋賀県(8.86)、愛知県(7.31)が多い。 PRSP感染症 定点当たり報告数は奈良県(1.83)、東京都(1.74)、千葉県(1.56)が多い。 MDRP感染症 報告総数が29例にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。 MDRA感染症 今月は報告がなかった。
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