IDWR 2012年第35号＜発生動向総覧＞2012年第35週（2012年8月27日～9月2日）

注意：PDF版よりピックアップして掲載しています。

　発生動向総覧

〈第35週コメント〉　9月5日集計分

◆全数報告の感染症

注意：これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。

注意：感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。

1類感染症：

報告なし

2類感染症：

結核 358例

3類感染症：

細菌性赤痢8例
	菌種：S. dysenteriae（A群）1例＿感染地域：インド S. flexneri （B群）1例＿感染地域：北朝鮮 S. sonnei （D群）6例＿感染地域：インド3例、インドネシア1例、ミャンマー1例、モロッコ1例

腸管出血性大腸菌感染症162例（有症者108例、うちHUS 1例）

感染地域：国内162例
国内の多い感染地域：宮城県19例、北海道13例*、福岡県12例、青森県8例**、三重県8例、宮崎県6例、秋田県5例、群馬県5例、岐阜県5例、福島県4例、東京都4例、神奈川県4例、香川県4例、埼玉県3例、千葉県3例、大阪府3例、兵庫県3例、岡山県3例
* 第32週に報告のあった白菜の浅漬けに関連した食中毒（O157VT1・VT2）を含む
** 第34週に報告のあった飲食店で発生した食中毒（O157 VT1・VT2）を含む
年齢群：0歳（3例）、1歳（5例）、2歳（11例）、3歳（6例）、4歳（5例）、5歳（3例）、6歳（5例）、8歳（4例）、10代（27例）、20代（24例）、30代（21例）、40代（11例）、50代（17例）、60代（10例）、70代（5例）、80代（4例）、90代（1例）
血清型・毒素型：O157 VT1・VT2（59例）、O26 VT1（23例）、O157 VT2（21例）、O103 VT1（11例）、O145 VT1（8例）、O121 VT2（6例）、O111 VT1（5例）、O157 VT不明（4例）、O26 VT1・VT2（3例）、O145 VT2（3例）、O91 VT1（2例）、O26VT2（1例）、O111 VT1・VT2（1例）、O121 VT不明（1例）、O153 VT2（1例）、その他・不明
（13例）
累積報告数：2,412例（有症者1,480例、うちHUS 59例．死亡6例）

腸チフス1例（感染地域：福岡県）
パラチフス1例（感染地域：タイ）

4類感染症：

E型肝炎1例（感染地域：大阪府＿感染源：不明）
つつが虫病1例（感染地域：長崎県）

デング熱8例
	感染地域：フィリピン4例、カンボジア2例、ミャンマー1例、インド1例

日本紅斑熱5例
	感染地域：熊本県2例、広島県1例、鹿児島県1例、国内（都道府県不明）1例

マラリア6例
	熱帯熱4例＿感染地域：ナイジェリア2例、ウガンダ1例、ガーナ1例三日熱2例＿感染地域：ナイジェリア1例、リベリア1例

ライム病3例（感染地域：長野県）

レジオネラ症12例（肺炎型12例）
	感染地域：埼玉県2例、秋田県1例、福島県1例（温泉）、茨城県1例、栃木県1例、石川県1例、静岡県1例（温泉）、京都府1例（温泉）、大阪府1例、広島県1例、国内（都道府県不明）1例年齢群：50代（3例）、60代（5例）、70代（2例）、80代（2例）

5類感染症：

アメーバ赤痢7例（腸管アメーバ症7例）
	感染地域：北海道1例、愛知県1例、国内（都道府県不明）4例、インドネシア1例感染経路：性的接触3例（異性間2例、異性間・同性間不明1例）、経口感染1例、経口感染/性的接触1例、不明2例

ウイルス性肝炎3例
	B型3例＿感染経路：性的接触2例（同性間2例）、不明1例

急性脳炎2例
	病原体不明2例＿年齢群：4歳（1例）、8歳（1例）

劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例（年齢群：50代）

後天性免疫不全症候群18例（AIDS 2例、無症候15例、その他1例）
	感染地域：国内14例、国外（国不明）1例、国内・国外不明3例感染経路：性的接触16例（異性間2例、同性間11例、異性/同性間3例）、不明2例

ジアルジア症1例
	感染地域：東京都

髄膜炎菌性髄膜炎1例
	感染地域：熊本県年齢群：50代

梅毒16例（早期顕症I期3例、早期顕症II期8例、晩期顕症1例、無症候4例）
破傷風1例（年齢群：80代）

バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例
	遺伝子型：不明＿菌検出検体：血液

風しん65例（検査診断例53例、臨床診断例12例）

感染地域：東京都12例、大阪府11例、兵庫県8例、三重県6例、千葉県3例、神奈川県3例、北海道2例、茨城県2例、群馬県2例、愛知県2例、京都府2例、福島県1例、栃木県1例、埼玉県1例、岐阜県1例、国内（都道府県不明）7例、愛知県/ブータン1例
年齢群：0歳（2例）、1歳（1例）、10～14歳（1例）、15～19歳（2例）、20～24歳（18例）、25～29歳（9例）、30～34歳（11例）、35～39歳（11例）、40代（6例）、50代（3例）、60代（1例）
累積報告数：1,419例（検査診断例1,047例、臨床診断例372例）

麻しん4例〔麻しん（検査診断例2例、臨床診断例1例）、修飾麻しん（検査診断例1例）〕

感染地域：広島県2例、国内（都道府県不明）1例、タイ1例
年齢群：1歳（1例）、25～29歳（1例）、30～34歳（1例）、40代（1例）
累積報告数：234例〔麻しん（検査診断例125例、臨床診断例57例）、修飾麻しん（検査診断例52例）〕
遺伝子型別累積報告数（遺伝子型が同定・報告された症例のみ）：56例
D4：6例＿感染地域：東京都2例、千葉県1例、東京都/ベトナム1例、大阪府/英国1例、パキスタン1例
D8：37例＿感染地域：愛知県19例、千葉県5例、岐阜県3例、山梨県2例、都道府県不明6例、タイ1例、タイ/カンボジア1例
D9：8例＿感染地域：岡山県4例、栃木県1例、千葉県1例、東京都1例、フィリピン1例
H1：5例＿感染地域：福島県4例、台湾1例

（補）2012年第34週までに診断されたものの報告遅れとして、デング熱3例（感染地域：フィリピン2例、インドネシア1例）、マラリア1例（原虫種不明＿感染地域：韓国）、レジオネラ症1例〔感染地域：山梨県/イタリア（温泉）〕、急性脳炎5例〔単純ヘルペスウイルス2例＿年齢群：30代（1例）、90代（1例）．ヒトヘルペスウイルス6型/7型1例＿年齢群：0歳．病原体不明2例＿年齢群：1歳（1例）、2歳（1例）〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔70代（1例）、80代（1例）〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例（遺伝子型：VanC＿菌検出検体：血液．死亡）などの報告があった。

◆定点把握の対象となる５類感染症（週報対象のもの）

全国の指定された医療機関（定点）から報告され、疾患により小児科定点（約3,000 カ所）、インフルエンザ（小児科・内科）定点（約5,000 カ所）、眼科定点（約600 カ所）、基幹定点（約500 カ所）に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

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インフルエンザ：定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県（17.26）、鹿児島県（1.08）、長野県（0.24）、長崎県（0.21）が多い。

小児科定点報告疾患：RSウイルス感染症の報告数は1,998例と第28週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約76%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では鹿児島県（1.24）、福岡県（0.73）、宮崎県（0.58）が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では北海道（1.55）、山形県（1.33）、宮崎県（1.28）が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では大分県（7.5）、島根県（5.9）、福井県（5.1）が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では高知県（0.80）、宮崎県（0.78）、島根県（0.70）が多い。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では山形県（4.37）、青森県（4.24）、岩手県（3.78）が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では岩手県（0.53）、岐阜県（0.43）、高知県（0.33）が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では高知県（0.27）、群馬県（0.13）、山口県（0.10）が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少した。都道府県別では新潟県（4.40）、山形県（3.27）、青森県（3.15）が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では大分県（1.72）、岩手県（0.93）、宮城県（0.90）が多い。

基幹定点報告疾患：マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期（前週、当該週、後週）と比較してかなり多い。都道府県別では栃木県（5.57）、群馬県（4.25）、埼玉県（3.89）、岐阜県（2.80）が多い。