発生動向総覧
〈第37週コメント〉 9月19日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 361例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢7例
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菌種:S. sonnei (D群)7例_感染地域:国内(都道府県不明)1例、トルコ6例* * ツアーによる集団感染
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腸管出血性大腸菌感染症122例(有症者93例、うちHUS 4例.死亡1例) |
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感染地域:国内120例、韓国1例、グアム1例 国内の多い感染地域:千葉県9例、山形県8例*、埼玉県8例、宮城県7例、東京都7例、三重県7例、群馬県5例、兵庫県5例、神奈川県4例、新潟県4例、山梨県4例、愛知県4例、大阪府4例、福岡県4例、佐賀県3例**、大分県3例***、宮崎県3例 * 焼肉店で発生した食中毒(O157 VT2)を含む ** 施設内での集団発生(O157 VT1・VT2) *** 飲食店で発生した食中毒(O157 VT1・VT2) 年齢群:0歳(2例)、1歳(3例)、2歳(4例)、3歳(4例)、4歳(6例)、5歳(3例)、6歳(6例)、7歳(2例)、8歳(4例)、9歳(1例)、10代(27例)、20代(21例)、30代(9例)、40代(10例)、50代(6例)、60代(4例)、70代(7例)、80代(3例) 血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(37例)、O157 VT2(35例)、O26 VT1(13例)、O157 VT不明(8例)、O157 VT1(5例)、O26 VT2(4例)、O111 VT1・VT2(4例)、O26 VT1・VT2(3例)、O26 VT不明(3例)、O103 VT1(2例)、O111 VT1(2例)、O91 VT1(1例)、O145 VT2(1例)、その他・不明(4例) 累積報告数:2,708例(有症者1,700例、うちHUS 66例.死亡7例)
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腸チフス1例(感染地域:インド) パラチフス1例(感染地域:バングラデシュ) |
4類感染症: |
E型肝炎1例
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感染地域:国内(都道府県不明)_感染源:不明
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デング熱7例(デング熱5例、デング出血熱2例)
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感染地域:フィリピン2例、カンボジア/中国2例、マレーシア1例、ラオス1例、タイ/中国1例
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日本紅斑熱4例
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感染地域:和歌山県2例、熊本県1例、鹿児島県1例
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マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ブルキナファソ)
レジオネラ症19例(肺炎型18例、ポンティアック型1例)
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感染地域:長野県2例、山形県1例、千葉県1例、新潟県1例、石川県1例、愛知県1例、大阪府1例、岡山県1例、山口県1例、高知県1例、福岡県1例(温泉)、長崎県1例、大分県1例、国内(都道府県不明)5例(うち1例温泉) 年齢群:40代(2例)、50代(5例)、60代(4例)、70代(3例)、80代(4例)、90代(1例)
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レプトスピラ症1例(感染地域:宮崎県_感染源:不明) |
5類感染症: |
アメーバ赤痢15例(腸管アメーバ症11例、腸管外アメーバ症3例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:千葉県2例、東京都2例、青森県1例、栃木県1例、神奈川県1例、京都府1例、国内(都道府県不明)5例、カンボジア1例、タイ1例 感染経路:経口感染3例、性的接触2例(異性間2例)、経口感染/性的接触(異性間)1例、不明9例
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急性脳炎1例 |
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ヒトヘルペスウイルス7型_年齢群:2歳
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クロイツフェルト・ヤコブ病3例 |
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孤発性プリオン病古典型3例
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例 |
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年齢群:80代(2例.うち1例死亡)
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後天性免疫不全症候群17例(AIDS 5例、無症候11例、その他1例) |
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感染地域:国内16例、国内・国外不明1例 感染経路:性的接触17例(同性間14例、異性間2例、異性間・同性間不明1例)
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梅毒6例(早期顕症II期2例、無症候4例)
破傷風3例
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年齢群:60代(1例)、70代(1例)、90代(1例)
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風しん54例(検査診断例38例、臨床診断例16例)
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感染地域:東京都13例、大阪府6例、愛知県4例、埼玉県3例、神奈川県2例、三重県2例、京都府2例、兵庫県2例、茨城県1例、千葉県1例、静岡県1例、島根県1例、熊本県1例、国内(都道府県不明)15例 年齢群:0歳(1例)、2歳(3例)、10~14歳(1例)、15~19歳(6例)、20~24歳(5例)、25~29歳(9例)、30~34歳(7例)、35~39歳(7例)、40代(12例)、50代(2例)、60代(1例) 累積報告数:1,598例(検査診断例1,182例、臨床診断例416例)
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麻しん7例〔麻しん(検査診断例3例)、修飾麻しん(検査診断例4例)〕
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感染地域:宮崎県3例、埼玉県1例、東京都1例、神奈川県1例、福岡県1例 年齢群:3歳(1例)、5~9歳(1例)、10~14歳(1例)、25~29歳(1例)、30~34歳(1例)、35~39歳(1例)、40代(1例) 累積報告数:261例〔麻しん(検査診断例135例、臨床診断例63例)、修飾麻しん(検査診断例63例)〕 遺伝子型別累積報告数(遺伝子型が同定・報告された症例のみ):56例 D4:6例_感染地域:東京都2例、千葉県1例、東京都/ベトナム1例、大阪府/英国1例、パキスタン1例 D8:37例_感染地域:愛知県19例、千葉県5例、岐阜県3例、山梨県2例、都道府県不明6例、タイ1例、タイ/カンボジア1例 D9:8例_感染地域:岡山県4例、栃木県1例、千葉県1例、東京都1例、フィリピン1例 H1:5例_感染地域:福島県4例、台湾1例
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(補)2012年第36週までに診断されたものの報告遅れとして、エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道)、コクシジオイデス症1例(感染地域:米国)、デング熱1例(感染地域:フィリピン)、日本紅斑熱7例(感染地域:三重県7例)、マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ケニア)、レプトスピラ症1例(感染地域:鹿児島県_感染機会:飼犬)、急性脳炎2例(エンテロウイルス1例_年齢群:7歳.病原体不明1例_年齢群:4歳)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanB_菌検出検体:胆汁)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

インフルエンザ:定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(12.40)、鹿児島県(2.11)、長崎県(0.41)、宮崎県(0.41)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は3,789例と第28週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約72%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では宮崎県(1.28)、熊本県(0.90)、鹿児島県(0.89)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では山口県(1.96)、宮崎県(1.86)、富山県(1.76)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第34週以降増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では島根県(8.0)、大分県(7.4)、宮崎県(5.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では長崎県(1.00)、宮崎県(0.92)、徳島県(0.83)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第34週以降増加が続いている。都道府県別では山形県(5.50)、宮城県(5.29)、宮崎県(4.69)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では岩手県(0.48)、徳島県(0.30)、愛媛県(0.24)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では大分県(0.14)、岐阜県(0.09)、新潟県(0.08)、広島県(0.08)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では新潟県(3.27)、青森県(2.80)、秋田県(2.66)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大分県(1.89)、佐賀県(1.48)、三重県(1.04)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では栃木県(5.29)、群馬県(4.25)、愛知県(3.79)、岐阜県(3.60)が多い。
〈8月コメント〉 ◆性感染症について 2012年9月10日集計分 性感染症定点数:963 (産婦人科・産科・婦人科:465、泌尿器科:402、皮膚科84、性病科12)
●月別推移 2012年8月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.25(男1.10、女1.14)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.75(男0.26、女0.49)、尖圭コンジローマが0.50(男0.29、女0.21)、淋菌感染症が0.87(男0.70、女0.17)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で増加した。女性では、性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で微減であった(25~28ページ「グラフ総覧」参照)。過去5年間の同時期と比較すると、男性では、性器ヘルペスウイルス感染症、淋菌感染症がやや少なく、女性では、性器ヘルペスウイルス感染症がやや多く、性器クラミジア感染症がやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(8月) |

●男女別・年齢階級別 年齢群別(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は25~29歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は30~34歳の年齢群、尖圭コンジローマは30~34歳の年齢群、淋菌感染症は20~29歳の2つの年齢群であった。女性では、性器クラミジア感染症は20~24歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25~29歳の年齢群、尖圭コンジローマは20~29歳の2つの年齢群、淋菌感染症は20~24歳の年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15~19歳の年齢群の報告があり、また、女性の性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症で10~14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患の報告は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上は僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、年齢群分布においての明らかな変化は見られておらず、この基準の周知徹底とともに、遵守されているかの検討なども今後必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、性器クラミジア感染症では10~29歳の4つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15~44歳、60~64歳、70歳以上の8つの年齢群、尖圭コンジローマでは15~29歳の3つの年齢群という比較的低い年齢層を中心に女性が男性より多く、他の年齢群は同値あるいは男性が多かった。淋菌感染症ではすべての年齢群で男性が女性より多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較については各地域におけるそれらの比率等の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられた後、2009~2010年はほぼ横ばいで推移したが、2011年以降は再び減少している。女性では2003年以降減少傾向がみられた後、2011年はほぼ横ばいであったが、2012年は再び減少している。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年以降微減傾向がみられた後、2010年はほぼ横ばいで推移し、2011年から再び微減している。女性では2006年以降微減傾向がみられた後2010年にやや増加したが、2011年は再び減少し、2012年は微増している。尖圭コンジローマは男性では2006年以降微減傾向がみられている。女性では2006年以降微減傾向がみられたが、2010年以降ほぼ横ばいで推移している。淋菌感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられた後2010年にやや増加したが、2011年以降は再び減少している。女性では2004年以降微減傾向がみられた後2007年以降は横ばいで推移していたが、2011年は微増し、2012年は微減している。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで同値、淋菌感染症で増加であった。女性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で増加であった。
◆薬剤耐性菌について(9月10集計分)
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基幹定点数(8月):461. (29~30ページ「グラフ総覧」参照)
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 3.98(前月:3.84、前年同月:4.60) 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。8月は前月より増加し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。 ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症 0.46(前月:0.53、前年同月:0.67) 定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4~6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7~9月)に少なく推移していたが、2012年は5~6月の報告数増加が認められていない。8月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。 薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症 0.07(前月:0.06、前年同月:0.10) 定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。8月は前月より増加し、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。 薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症 0.00(前月:-、前年同月:0.01) 報告数は1例であった。2011年2月の報告開始であるため、傾向の分析や過去との比較は未だできない。
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●年齢階級別
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MRSA感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の62%を占めている(図1:PDF参照)。 PRSP感染症 小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の46%を占める一方、70歳以上が全体の30%を占めている(図2:PDF参照)。 MDRP感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の79%を占めている(図3:PDF参照)。 MDRA感染症 50~54歳で1例報告されている(図4:PDF参照)。
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.6:1 PRSP感染症…男:女=1.4:1 MDRP感染症…男:女=2.1:1 MDRA感染症…男性で1例が報告されている。
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●都道府県別
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MRSA感染症 定点当たり報告数は福島県(8.57)、愛知県(7.85)、徳島県(7.20)が多い。 PRSP感染症 定点当たり報告数は千葉県(2.56)、山形県(1.50)、大分県(1.18)が多い。 MDRP感染症 報告総数が34例にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。 MDRA感染症 1例のみの報告であるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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