IDWR 2012年第42号＜発生動向総覧＞2012年第42週（2012年10月15日～10月21日）

注意：PDF版よりピックアップして掲載しています。

　発生動向総覧

〈第42週コメント〉　10月24日集計分

◆全数報告の感染症

注意：これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。

注意：感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。

1類感染症：

報告なし

2類感染症：

結核 374例

3類感染症：

細菌性赤痢7例
	菌種：S. flexneri （B群）2例＿感染地域：フィリピン1例、インド1例 S. sonnei （D群）5例＿感染地域：愛知県2例、東京都1例、インド2例

腸管出血性大腸菌感染症121例（有症者76例、うちHUS 1例

感染地域：国内120例、国内/ハワイ1例
国内の多い感染地域：東京都21例*、岩手県8例、埼玉県8例、北海道7例、青森県6例**、宮城県6例、千葉県6例、熊本県6例、広島県5例、鹿児島県5例、秋田県4例、静岡県4例、長崎県4例
* 保育所における集団発生（O26 VT1）を含む
** 第40週に起きた幼稚園における集団発生（O157 VT2）
年齢群：1歳（3例）、2歳（3例）、3歳（9例）、4歳（7例）、5歳（7例）、6歳（4例）、7歳（4例）、8歳（2例）、9歳（4例）、10代（20例）、20代（20例）、30代（11例）、40代（5例）、50代（4例）、60代（12例）、70代（4例）、80代（2例）
血清型・毒素型：O157 VT1・VT2（51例）、O26 VT1（22例）、O157 VT2（18例）、O157 VT1（6例）、O26 VT2（4例）、O103 VT1（3例）、O111 VT1・VT2（2例）、O26 VT1・VT2（1例）、O91 VT1（1例）、O111 VT1（1例）、O121 VT2（1例）、O126 VT1（1例）、O128 VT2（1例）、O145 VT1・VT2（1例）、O146 VT1（1例）、O157 VT不明（1例）、O165 VT1・VT2（1例）、その他・不明（5例）
累積報告数：3,350例（有症者2,125例、うちHUS 82例．死亡8例）

腸チフス1例（感染地域：ミャンマー/ベトナム/タイ）

4類感染症：

A型肝炎4例
	感染地域：大阪府2例、ウズベキスタン1例、エジプト1例

チクングニア熱1例（感染地域：インドネシア）

つつが虫病5例
	感染地域：福島県1例、石川県1例、山梨県1例、岐阜県1例、長崎県1例

デング熱5例
	感染地域：インド2例、グアム1例、ケニア/アラブ首長国連邦1例、タイ/マレーシア/ラオス1例

日本紅斑熱5例（感染地域：長崎県2例、熊本県2例、広島県1例）

マラリア3例
	三日熱1例＿感染地域：インド熱帯熱1例＿感染地域：ガーナ/トーゴ/ベナン Plasmodium knowlesi 1例＿感染地域：マレーシア

レジオネラ症23例（肺炎型23例）

感染地域：北海道3例、栃木県2例、兵庫県2例（うち1例温泉）、福岡県2例（うち1例温泉）、宮城県1例、群馬県1例、埼玉県1例、千葉県1例、新潟県1例、長野県1例（温泉）、静岡県1例、愛知県1例、島根県1例（温泉）、岡山県1例、香川県1例、国内（都道府県不明）2例、ドイツ1例
年齢群：40代（1例）、50代（3例）、60代（7例）、70代（9例）、80代（2例）、90代（1例）

5類感染症：

アメーバ赤痢6例（腸管アメーバ症5例、腸管外アメーバ症1例）
	感染地域：埼玉県1例、京都府1例、福岡県1例、国内（都道府県不明）3例感染経路：性的接触1例（異性間）、不明5例

ウイルス性肝炎2例
	B型2例＿感染経路：性的接触2例（異性間2例）

急性脳炎2例
	病原体不明2例＿年齢群：5歳（1例）、10代（1例）

クロイツフェルト・ヤコブ病2例
	孤発性プリオン病古典型2例

後天性免疫不全症候群19例（AIDS 3例、無症候13例、その他3例）
	感染地域：国内16例、インドネシア1例、国内・国外不明2例感染経路：性的接触19例（異性間4例、同性間14例、異性/同性間1例）

ジアルジア症1例
	感染地域：国内（都道府県不明）1例、カザフスタン1例、シンガポール/ベトナム/マレーシア1例

先天性風しん症候群1例（感染地域：兵庫県）
梅毒8例（早期顕症II期5例、無症候3例）
破傷風1例（年齢群：40代）

バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例
	遺伝子型：Van C＿菌検出検体：胆汁

風しん35例（検査診断例22例、臨床診断例13例）

感染地域：東京都9例、大阪府4例、兵庫県4例、神奈川県3例、宮城県2例、長野県1例、三重県1例、和歌山県1例、国内（都道府県不明）9例、ハワイ1例
年齢群：10～14歳（2例）、15～19歳（9例）、20～24歳（6例）、25～29歳（7例）、30～34歳（1例）、35～39歳（2例）、40代（7例）、60代（1例）
累積報告数：1,889例（検査診断例1,392例、臨床診断例497例）

麻しん3例〔麻しん（検査診断例1例）、修飾麻しん（検査診断例2例）〕

感染地域：東京都1例、愛知県1例、国内（都道府県不明）1例
年齢群：20～24歳（1例）、40代（1例）、60代（1例）
累積報告数：274例〔麻しん（検査診断例139例、臨床診断例67例）、修飾麻しん（検査診断例68例）〕
遺伝子型別累積報告数（遺伝子型が同定・報告された症例のみ）：64例
D4：6例＿感染地域：東京都2例、千葉県1例、東京都/ベトナム1例、大阪府/英国1例、パキスタン1例
D8：43例＿感染地域：愛知県19例、千葉県5例、宮崎県5例、岐阜県3例、山梨県2例、都道府県不明6例、タイ2例、タイ/カンボジア1例
D9：8例＿感染地域：岡山県4例、栃木県1例、千葉県1例、東京都1例、フィリピン1例
H1：7例＿感染地域：福島県4例、東京都1例、中国1例、台湾1例

（補）2012年第41週までに診断されたものの報告遅れとして、エキノコックス症1例（多包条虫＿感染地域：北海道）、日本紅斑熱9例（感染地域：三重県7例、和歌山県2例）、急性脳炎4例〔病原体不明4例＿年齢群：2歳（1例）、4歳（1例）、5歳（1例）、6歳（1例）〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症4例〔40代（1例．死亡）、50代（2例）、70代（1例．死亡）〕などの報告があった。

◆定点把握の対象となる5類感染症（週報対象のもの）

全国の指定された医療機関（定点）から報告され、疾患により小児科定点（約3,000 カ所）、インフルエンザ（小児科・内科）定点（約5,000 カ所）、眼科定点（約600 カ所）、基幹定点（約500 カ所）に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。 cpeg

インフルエンザ：定点当たり報告数は第38週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県（1.81）、滋賀県（0.19）、岐阜県（0.17）が多い。

小児科定点報告疾患：RSウイルス感染症の報告数は3,757例と増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約75%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では佐賀県（1.09）、宮崎県（0.64）、鹿児島県（0.51）が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では山口県（2.96）、山形県（2.13）、北海道（2.06）が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期（前週、当該週、後週）と比較してやや多い。都道府県別では福岡県（7.43）、兵庫県（7.26）、沖縄県（6.97）が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では山形県（1.27）、宮城県（1.00）、徳島県（1.00）が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では秋田県（3.57）、岩手県（3.33）、宮崎県（3.33）が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では岐阜県（0.21）、岩手県（0.20）、徳島県（0.17）が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県（0.18）、沖縄県（0.12）、広島県（0.10）が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第35週以降減少が続いている。都道府県別では香川県（0.70）、秋田県（0.49）、愛媛県（0.46）が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大分県（2.53）、岩手県（1.60）、山形県（1.47）が多い。

基幹定点報告疾患：マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では群馬県（5.13）、青森県（4.50）、栃木県（3.57）、岩手県（3.21）が多い。