発生動向総覧
〈第15週コメント〉 4月17日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核361例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例
|
|
菌種:S. sonnei(D群)3例_感染地域:神奈川県1例、国内(都道府県不明)1例、インドネシア1例
|
腸管出血性大腸菌感染症12例(有症者7例、うちHUS なし) |
|
感染地域:国内11例、ニュージーランド1例 国内の感染地域:東京都2例、福岡県2例、青森県1例*、岐阜県1例、兵庫県1例、不明4例 * 第13週から報告されている焼肉店における食中毒(O157 VT1・VT2) 年齢群:1歳(1例)、4歳(1例)、10代(3例)、20代(3例)、30代(2例)、60代(1例)、70代(1例) 血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(6例)、O157 VT2(3例)、O26 VT1(2例)、O91 VT1(1例) 累積報告数:188例(有症者128例、うちHUS 7例.死亡なし)
|
腸チフス1例(感染地域:インドネシア) パラチフス1例(感染地域:パキスタン) |
4類感染症: |
E型肝炎3例
|
|
感染地域:東京都1例_感染源:豚肉 感染地域:熊本県1例_感染源:シカ刺身 感染地域:国内(都道府県不明)1例_感染源:不明
|
A型肝炎3例
|
|
感染地域:富山県1例、国内(都道府県不明)1例、インドネシア1例
|
オウム病2例(感染地域:香川県2例_感染源:インコ2例)
重症熱性血小板減少症候群1例
|
|
感染地域:佐賀県(2012年6月発症) 年齢群:60代.死亡
|
デング熱2例(感染地域:インドネシア1例、タイ1例) ブルセラ症1例(感染地域:京都府_感染源:不明)
レジオネラ症7例(肺炎型6例、ポンティアック型1例)
|
|
感染地域:宮崎県2例、福島県1例、愛知県1県、滋賀県1例、兵庫県1例、韓国1例 年齢群:50代(2例)、60代(2例)、80代(3例)
|
|
5類感染症: |
アメーバ赤痢13例(腸管アメーバ症11例、腸管及び腸管外アメーバ症2例) |
|
感染地域:茨城県2例、北海道1例、神奈川県1例、三重県1例、大阪府1例、愛媛県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)3例、タイ1例、国内・国外不明1例 感染経路:経口感染2例、性的接触6例(異性間4例、同性間1例、異性間・同性間不明1例)、不明5例
|
ウイルス性肝炎3例 |
|
B型2例_感染経路:性的接触2例(異性間1例、同性間1例) サイトメガロウイルス1例_感染経路:不明
|
劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例 |
|
年齢群:30代(1例)、40代(1例.死亡)、50代(1例)
|
後天性免疫不全症候群16例(AIDS 2例、無症候10例、その他4例) |
|
感染地域:国内15例、国内(都道府県不明)/台湾1例 感染経路:性的接触14例(異性間4例、同性間10例)、不明2例
|
ジアルジア症2例(感染地域:長野県1例、タイ1例)
侵襲性インフルエンザ菌感染症1例(菌検出検体:血液) |
|
年齢群:90代.死亡
|
侵襲性髄膜炎菌感染症1例(菌検出検体:血液・髄液) |
|
感染地域:国内(都道府県不明) 年齢群:70代
|
侵襲性肺炎球菌感染症9例〔うち、髄膜炎1例、肺炎3例(重複なし)_菌検出検体:血液8例、血液・髄液1例〕 |
|
年齢群:0歳(1例)、3歳(1例)、50代(1例)、60代(2例)、70代(3例)、80代(1例)
|
梅毒14例(早期顕症I期2例、早期顕症II期3例、晩期顕性1例、無症候8例)
風しん495例(検査診断例319例、臨床診断例176例)
|
|
感染地域:東京都102例、大阪府85例、神奈川県31例、兵庫県28例、埼玉県21例、千葉県17例、鹿児島県14例、京都府12例、静岡県9例、福岡県8例、広島県7例、愛知県6例、熊本県5例、茨城県4例、長野県3例、北海道2例、栃木県2例、群馬県2例、三重県2例、和歌山県2例、宮城県1例、山形県1例、福島県1例、石川県1例、山梨県1例、奈良県1例、島根県1例、徳島県1例、愛媛県1例、大分県1例、国内(都道府県不明)122例、米国1例 年齢群:0歳(1例)、1歳(9例)、2歳(1例)、3歳(2例)、4歳(2例)、5~9歳(7例)、10~14歳(12例)、15~19歳(29例)、20~24歳(64例)、25~29歳(85例)、30~34歳(65例)、35~39歳(79例)、40代(98例)、50代(35例)、60代(6例) 累積報告数:4,068例(検査診断例2,974例、臨床診断例1,094例)
|
麻しん13例〔麻しん(検査診断例4例、臨床診断例7例)、修飾麻しん2例〕
|
|
感染地域:埼玉県3例、神奈川県3例、兵庫県2例、東京都1例、愛知県1例、国内(都道府県不明)3例 年齢群:15~19歳(2例)、20~24歳(2例)、30~34歳(1例)、35~39歳(1例)、40代(5例)、50代(2例) 累積報告数:103例〔麻しん(検査診断例34例、臨床診断例45例)、修飾麻しん24例〕
|
(補)2012年第15週から2013年第14週までに診断されたものの報告遅れとして、腸チフス1例(感染地域:インド/ネパール/ベトナム/フィリピン)、E型肝炎1例(感染地域:新潟県_感染源:不明)、ウイルス性肝炎4例〔B型肝炎4例_感染経路:性的接触(異性間)3例、不明1例(死亡)〕、急性脳炎3例〔インフルエンザウイルスA型1例_年齢群:2歳.病原体不明2例_年齢群:2歳(1例)、8歳(1例)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(70代.死亡)などの報告があった。
|
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

インフルエンザ:定点当たり報告数は第5週以降減少が続いている。都道府県別では石川県(7.48)、岐阜県(5.66)、秋田県(5.05)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は607例と増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約82%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(1.08)、福岡県(0.83)、山形県(0.63)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では鳥取県(4.53)、石川県(4.48)、富山県(4.00)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大分県(14.58)、島根県(13.35)、長野県(10.33)が多い。水痘の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では宮崎県(2.50)、大分県(2.25)、山口県(2.09)が多い。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では沖縄県(4.94)、島根県(2.52)、福岡県(1.90)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では富山県(0.72)、岩手県(0.23)、新潟県(0.22)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では高知県(0.10)、大分県(0.06)、岡山県(0.04)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第12週以降増加が続いている。都道府県別では長崎県(0.68)、沖縄県(0.24)、福岡県(0.20)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では福井県(1.27)、秋田県(0.89)、佐賀県(0.70)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では富山県(1.60)、埼玉県(1.40)、石川県(1.20)が多い。
〈3月コメント〉 ◆性感染症について 2012年4月12日集計分 性感染症定点数:969 (産婦人科・産科・婦人科:462、泌尿器科:410、皮膚科85、性病科12)
●月別推移 2013年3月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.09(男性1.01、女性1.08)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.76(男性0.32、女性0.44)、尖圭コンジローマが0.46(男性0.28、女性0.18)、淋菌感染症が0.74(男性0.59、女性0.14)であった。対象4疾患の中では、男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で減少であった。女性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で減少した(27~30ページ「グラフ総覧」参照)。過去5年間の同時期と比較すると、男性では性器ヘルペスウイルス感染症がかなり多く、尖圭コンジローマがやや多かった。女性では性器ヘルペスウイルス感染症がやや多かった(図2)。
|
|
図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(3月) |
 ●男女別・年齢階級別 年齢群別(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は25~29歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は30~34歳の年齢群、尖圭コンジローマは30~39歳の2つの年齢群、淋菌感染症は20~24歳の年齢群であった。女性では、性器クラミジア感染症は20~24歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25~29歳の年齢群、尖圭コンジローマは20~24歳の年齢群、淋菌感染症は20~24歳の年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15~19歳の年齢群の報告があり、男性、女性ともに性器クラミジア感染症と淋菌感染症でそれぞれ10~14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患の報告は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上は僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。届出基準では「明らかな再発例は除外する」と明示されているが、これらの報告の中には再発例が含まれている可能性がある。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、性器クラミジア感染症では15~29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15~39歳、50~59歳、65~69歳の8つの年齢群、尖圭コンジローマでは15~24歳の2つの年齢群という比較的低い年齢層を中心に女性が男性より多く、他の年齢群は同値あるいは男性が多かった。淋菌感染症ではすべての年齢群で男性が女性より多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較については各地域におけるそれらの比率等の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられた後、男性では2009年以降、女性では2010年以降は減少が鈍化している。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2003年から減少傾向だが、2010年以降はほぼ横ばいである。女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2009年以降は増減を繰り返し、ほぼ横ばいである。尖圭コンジローマは男性では2006年以降減少傾向がみられた後、2011年以降は減少が鈍化している。女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいである。淋菌感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられた後、2009年以降はほぼ横ばいである。女性では2004年以降減少傾向がみられた後、2007年以降はほぼ横ばいである。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で減少であった。女性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で減少であった。
◆薬剤耐性菌について (4月12集計分)
|
基幹定点数(3月):470. (31~32ページ「グラフ総覧」参照)
|
●月別
|
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 3.37(前月3.37、前年同月4.10) 定点当たりの報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。今月は前月と比較し横ばいで、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。 ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症 0.43(前月0.46、前年同月0.60) 定点当たりの報告数は、2011年までは春から初夏(4~6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7~9月)に少なく推移していたが、2012年は年間を通じて報告数が少なく、季節性の変動が明確でなかった。今月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。 薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症 0.03(前月0.05、前年同月0.11) 定点当たりの報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向があったが、2012年は年間を通じてほぼ一定であった。今月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。 薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症 -(前月-、前年同月-) 定点当たりの報告数は、報告数が極めて少ないため傾向の把握が困難である。今月は報告が無かった。
|
●年齢階級別
|
MRSA感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の67%を占めている(図1:PDF参照)。 PRSP感染症 小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の41%を占める一方、70歳以上が全体の33%を占めている(図2:PDF参照)。 MDRP感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の67%を占めている(図3:PDF参照)。 MDRA感染症 今月は報告が無かった(図4:PDF参照)。
|
●性別:女性を1 として算出した男/女比
|
MRSA感染症…男:女=1.8:1 PRSP感染症…男:女=1.3:1 MDRP感染症…男:女=6.5:1 MDRA感染症…男:女=今月は報告が無かった。
|
●都道府県別
|
MRSA感染症 定点当たりの報告数は愛知県(7.00)、新潟県(6.77)、山口県(6.56)が多い。 PRSP感染症 定点当たりの報告数は栃木県(1.71)、山口県(1.44)、千葉県(1.33)が多い。 MDRP感染症 報告総数が15例にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。 MDRA感染症 今月は報告が無かった。
|
|