発生動向総覧
〈第11週コメント〉 3月19日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核354例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢2例
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菌種:S. sonnei (D群)2例_感染地域:インドネシア2例
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腸管出血性大腸菌感染症7例(有症者6例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内6例、国内・国外不明1例 国内の感染地域:秋田県1例、東京都1例、神奈川県1例、新潟県1例、福岡県1例、不明1例 年齢群:10代(1例)、20代(1例)、30代(2例)、40代(3例) 血清型・毒素型:O121 VT2(2例)、O157 VT1・VT2(2例)、O26 VT1(1例)、O159 VT2(1例)、その他・不明(1例) 累積報告数:70例(有症者48例、うちHUS 3例.死亡なし)
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4類感染症: |
A型肝炎29例
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感染地域:広島県6例、宮崎県3例、神奈川県2例、愛知県2例、愛媛県2例、鹿児島県2例、宮城県1例、群馬県1例、東京都1例、兵庫県1例、島根県1例、福岡県1例、佐賀県1例、国内(都道府県不明)4例、国内・国外不明1例
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つつが虫病1例(感染地域:鹿児島県) デング熱4(感染地域:インドネシア3例、フィジー1例)
レジオネラ症10例(肺炎型10例)
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感染地域:愛知県2例、埼玉県1例、神奈川県1例、富山県1例、長野県1例、長崎県1例、国内(都道府県不明)3例 年齢群:50代(1例)、60代(3例)、70代(3例)、80代(2例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢17例(腸管アメーバ症15例、腸管外アメーバ症2例) |
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感染地域:山形県1例、福島県1例、千葉県1例、東京都1例、長野県1例、愛知県1例、大阪府1例、兵庫県1例、沖縄県1例、国内(都道府県不明)5例、インド1例、韓国1例、ベトナム/ラオス/カンボジア1例 感染経路:性的接触3例(異性間1例、同性間1例、異性/同性間1例)、経口感染4例、不明10例
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ウイルス性肝炎5例 |
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B型3例_感染経路:性的接触2例(異性間1例、同性間1例)、その他(母子水平感染)1例 C型1例_感染経路:性的接触(異性間) サイトメガロウイルス1例_感染経路:不明
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急性脳炎8例 |
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インフルエンザウイルスB型3例_年齢群:2歳(1例)、4歳(1例)、9歳(1例) アデノウイルス1例_年齢群:4歳 ロタウイルス1例_年齢群:4歳 病原体不明3例_年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)、4歳(1例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病3例(孤発性プリオン病古典型3例)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症4例 |
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年齢群:30代(1例)、40代(1例.死亡)、50代(1例.死亡)、80代(1例.死亡)
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後天性免疫不全症候群17例(AIDS 4例、無症候11例、その他2例) |
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感染地域:国内17例 感染経路:性的接触17例(異性間2例、同性間15例)
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ジアルジア症2例〔感染地域:国内(都道府県不明)1例、インド1例〕
侵襲性インフルエンザ菌感染症4例(菌検出検体:血液4例) |
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年齢群:60代(1例)、70代(2例)、90代(1例)
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侵襲性肺炎球菌感染症22例(菌検出検体:血液16例、血液・髄液6例) |
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年齢群:1歳(1例)、2歳(1例)、20代(1例)、50代(2例)、60代(3例)、70代(5例)、80代(7例)、90代(2例)
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梅毒9例(早期顕症I期2例、早期顕症II期3例、晩期顕症1例、無症候3例) 破傷風1例(年齢群:70代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例 |
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遺伝子型:不明_菌検出検体:便
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風しん7例(検査診断例3例、臨床診断例4例)
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感染地域:東京都1例、岐阜県1例、静岡県1例、愛知県1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)2例 年齢群:0歳(1例)、2歳(1例)、4歳(1例)、15~19歳(1例)、25~29歳(2例)、30~34歳(1例) 累積報告数:104例(検査診断例71例、臨床診断例33例)
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麻しん9例〔麻しん(検査診断例4例、臨床診断例4例)、修飾麻しん1例〕
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感染地域:静岡県3例、埼玉県1例、千葉県1例、広島県1例、熊本県1例、国内(都道府県不明)1例、ベトナム1例 年齢群:0歳(1例)、5~9歳(1例)、20~24歳(2例)、30~34歳(2例)、35~39歳(3例) 累積報告数:180例〔麻しん(検査診断例139例、臨床診断例26例)、修飾麻しん15例〕
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(補)2013年第11週から2014年第10週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎3例〔感染地域(感染源):広島県1例(猪肉)、長崎県1例(不明)、宮崎県1例(不明)〕、オウム病1例(感染地域:東京都_感染源:不明)、マラリア1例(三日熱_感染地域:インド)、急性脳炎2例〔インフルエンザウイルスA型2例_年齢群:0歳(1例)、40代(1例)〕、クリプトスポリジウム症1例〔感染地域:国内(都道府県不明)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(20代)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

インフルエンザ:定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は福井県(46.16)、岩手県(41.28)、宮城県(39.83)である。基幹定点からのインフルエンザ入院サーベイランスにおける報告数は591例と前週と比較して減少した。46都道府県から報告があり、年齢別では0歳(28例)、1~9歳(230例)、10代(47例)、20代(9例)、30代(15例)、40代(15例)、50代(24例)、60代(43例)、70代(65例)、80歳以上(115例)であった。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は778例と第5週以降減少が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約77%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別の上位3位は島根県(1.52)、石川県(1.24)、鹿児島県(1.18)である。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別の上位3位は山形県(7.73)、新潟県(5.41)、富山県(4.21)である。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は宮崎県(15.58)、大分県(15.14)、熊本県(14.90)である。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別の上位3位は沖縄県(2.71)、鹿児島県(1.91)、富山県(1.79)、石川県(1.79)である。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は宮崎県(1.31)、熊本県(1.16)、福岡県(0.45)である。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別の上位3位は長崎県(0.14)、沖縄県(0.06)、福岡県(0.05)である。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は佐賀県(0.22)、熊本県(0.14)、福岡県(0.08)である。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別の上位3位は青森県(1.50)、福島県(0.71)、静岡県(0.70)である。感染性胃腸炎(ロタウイルスに限る)の定点当たり報告数は増加した。29都道府県から87例報告があり、年齢別では0歳(12例)、1~4歳(64例)、5~9歳(9例)、10代(1例)、20代(1例)であった。
〈2月コメント〉 ◆性感染症について(3月11日集計分、35~38ページ「グラフ総覧」参照) 4つの性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症)は性感染症定点医療機関(全国約1,000カ所)から毎月報告される。2014年2月分の報告を行った性感染症定点医療機関数は973(産婦人科・産科・婦人科:471、泌尿器科:404、皮膚科:84、性病科:12)であった。
●発生動向の概要
2014年2月は、対象4疾患の中では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。以下疾患毎に、定点当たり報告数、過去5年間の同時期との比較(図2)、男女別・年齢群(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)別患者報告数又は定点当たり報告数(図3:PDF参照)の概要を示す。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(2月) |
性器クラミジア感染症:定点当たり報告数1.94(男性0.95、女性1.00) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、女性でやや少なかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男女ともに10~14歳の年齢群の報告を認めた。
性器ヘルペスウイルス感染症:定点当たり報告数0.68(男性0.27、女性0.41) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では35~39歳の年齢群、女性では25~29歳の年齢群であった。また、女性では1~4歳の年齢群の報告を認めた。男女ともに50代以降の報告が少なくないが、これらの報告の中には再発例が含まれている可能性がある。
尖圭コンジローマ:定点当たり報告数0.43(男性0.23、女性0.20) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では35~39歳、40~44歳の2つの年齢群、女性では25~29歳の年齢群であった。
淋菌感染症:定点当たり報告数0.81(男性0.66、女性0.16) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
●若年層における定点当たり報告数推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられた後、男性では2009年以降、女性では2010年以降は減少が鈍化していた。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年から減少傾向だが、2010年以降はほぼ横ばいであり、女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2009年以降は増減を繰り返し、ほぼ横ばいであった。尖圭コンジローマは男女ともに2006年以降減少傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいであった。淋菌感染症は男性では2003年以降、女性では2004年以降減少傾向がみられた後、男女ともに2007年以降はほぼ横ばいであった。
◆薬剤耐性菌について (3月11日集計分、39~40ページ「グラフ総覧」参照) 4つの薬剤耐性菌感染症〔メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症、薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症、薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症〕は、2次医療圏毎に1カ所以上定められた病床数300以上の基幹定点医療機関(全国約500カ所)から毎月報告される。2014年2月分の報告を行った基幹定点医療機関数は474であった。
●発生動向の概要 MRSA:定点当たり報告数3.19 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の66%を占めていた(図1:PDF参照)。
PRSP:定点当たり報告数0.40 定点当たり報告数は、2012年以降、以前の冬から初夏に多い傾向は認められていない。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は小児と高齢者に多く、5歳未満が全体の33%を占める一方、70歳以上が全体の41%を占めていた(図2:PDF参照)。
MDRP:定点当たり報告数0.04 定点当たり報告数は、例年夏から秋にかけて多い。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の74%を占めていた(図3:PDF参照)。
MDRA:定点当たり報告数- 定点当たり報告数は、報告数が極めて少ないため傾向の把握が困難である。今月の報告は無かった(図4:PDF参照)。
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