発生動向総覧
〈第20週コメント〉 5月21日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核406例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢6例
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菌種:S. sonnei (D群)6例_感染地域:東京都1例、インド3例、ペルー/ブラジル2例
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腸管出血性大腸菌感染症31例(有症者25例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内30例、国内・国外不明1例 国内の感染地域:大阪府4例、愛知県3例、三重県3例、秋田県2例、岐阜県2例、兵庫県2例、山形県1例、栃木県1例、埼玉県1例、東京都1例、新潟県1例、岡山県1例、福岡県1例、熊本県1例、沖縄県1例、不明5例 年齢群:0歳(1例)、3歳(2例)、4歳(1例)、7歳(1例)、8歳(2例)、9歳(1例)、10代(10例)、20代(2例)、30代(3例)、40代(1例)、50代(3例)、60代(2例)、70代(1例)、80代(1例) 血清型・毒素型:O26 VT1(9例)、O157 VT1・VT2(7例)、O157 VT2(5例)、O103 VT1(2例)、O157 VT不明(2例)、O91 VT1(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、O111 VT1(1例)、O111 VT不明(1例)、その他・不明(2例) 累積報告数:359例(有症者250例、うちHUS 12例.死亡1例)
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腸チフス1例(感染地域:ネパール) |
4類感染症: |
E型肝炎2例
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感染地域(感染源):静岡県1例(猪肉)、国内(都道府県不明)1例(不明)
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A型肝炎10例
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感染地域:福岡県3例、東京都1例、島根県1例、広島県1例、佐賀県1例、長崎県1例、国内(都道府県不明)1例、ネパール1例
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Q熱1例〔感染地域:国内(都道府県不明)_感染源:不明〕
重症熱性血小板減少症候群2例
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感染地域:宮崎県2例 年齢群:70代(1例.死亡)、80代(1例.死亡)
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つつが虫病5例
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感染地域:青森県1例、宮城県1例、福島県1例、富山県1例、三重県1例
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デング熱5例(感染地域:インドネシア3例、スリランカ1例、タイ1例) 日本紅斑熱2例(感染地域:千葉県1例、鹿児島県1例) マラリア1例(三日熱_感染地域:パキスタン)
レジオネラ症10例(肺炎型8例、ポンティアック型2例)
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感染地域:神奈川県3例、秋田県1例、石川県1例、岐阜県1例、愛知県1例、岡山県1例、山口県1例、国内(都道府県不明)1例 年齢群:60代(3例)、70代(2例)、80代(4例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢16例(腸管アメーバ症15例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:京都府2例、福岡県2例、福井県1例、岐阜県1例、滋賀県1例、大阪府1例、兵庫県1例、鹿児島県1例、国内(都道府県不明)4例、タイ1例、国内・国外不明1例 感染経路:性的接触3例(同性間2例、異性間・同性間不明1例)、経口感染3例、不明10例
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ウイルス性肝炎3例 |
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B型3例_感染経路:性的接触2例(異性間2例)、不明1例
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急性脳炎2例 |
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インフルエンザウイルスB型1例_年齢群:2歳 病原体不明1例_年齢群:4歳
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
後天性免疫不全症候群15例(AIDS 4例、無症候11例) |
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感染地域:国内11例、米国1例、南アフリカ共和国1例、国外(国不明)1例、国内・国外不明1例 感染経路:性的接触14例(異性間5例、同性間7例、異性/同性間2例)、不明1例
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ジアルジア症1例〔感染地域:国内(都道府県不明)〕
侵襲性インフルエンザ菌感染症5例(菌検出検体:血液4例、髄液1例) |
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年齢群:30代(1例)、60代(1例)、70代(2例)、80代(1例)
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侵襲性肺炎球菌感染症45例(菌検出検体:血液36例、血液・髄液6例、髄液3例) |
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年齢群:0歳(3例)、1歳(4例)、2歳(1例)、3歳(1例)、5歳(2例)、20代(1例)、30代(1例)、40代(2例)、50代(1例)、60代(10例.うち1例死亡)、70代(7例)、80代(9例.うち2例死亡)、90代(3例)
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梅毒14例(早期顕症I期1例、早期顕症II期5例、無症候8例) 破傷風3例〔年齢群:70代(1例)、80代(2例)〕
風しん1例(検査診断例1例)
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感染地域:徳島県 年齢群:40代 累積報告数:196例(検査診断例125例、臨床診断例71例)
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麻しん9例〔麻しん(検査診断例5例、臨床診断例2例)、修飾麻しん2例〕
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感染地域:和歌山県5例、愛知県1例、国内(都道府県不明)1例、中国1例、国内・国外不明1例 年齢群:0歳(3例)、1歳(1例)、4歳(1例)、5~9歳(1例)、10~14歳(1例)、20~24歳(1例)、25~29歳(1例) 累積報告数:338例〔麻しん(検査診断例250例、臨床診断例46例)、修飾麻しん42例〕
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(補)2013年第20週から2014年第19週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢2例〔菌種:S. flexneri (B群)1例_感染地域:インド.菌種:S. sonnei (D群)1例_感染地域:インド〕、デング熱1例(感染地域:タイ)、日本紅斑熱2例(感染地域:三重県1例、高知県1例)、急性脳炎5例〔ヒトヘルペスウイルス1例_年齢群:50代.病原体不明4例_年齢群:0歳(2例)、1歳(2例)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例〔70代(1例)、80代(1例.死亡)、90代(1例)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

インフルエンザ:定点当たり報告数は第17週以降減少が続いている。都道府県別の上位3位は沖縄県(8.05)、山形県(4.25)、長野県(2.08)である。基幹定点からのインフルエンザ入院サーベイランスにおける報告数は32例と前週と比較して減少した。16都道府県から報告があり、年齢別では1~9歳(15例)、30代(1例)、40代(1例)、50代(2例)、60代(2例)、70代(6例)、80歳以上(5例)であった。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は299例と増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約84%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は富山県(1.76)、鹿児島県(1.65)、宮崎県(1.19)である。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は新潟県(5.44)、山形県(4.73)、鳥取県(4.37)である。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は愛媛県(15.62)、福井県(15.59)、大分県(13.81)である。水痘の定点当たり報告数は第17週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は福井県(2.73)、新潟県(2.70)、福岡県(2.23)である。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は熊本県(2.22)、宮崎県(2.14)、大分県(1.17)である。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は熊本県(0.08)、宮崎県(0.06)、沖縄県(0.06)、鹿児島県(0.05)である。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別の上位3位は熊本県(2.40)、佐賀県(1.09)、大分県(0.75)である。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は富山県(2.00)、高知県(1.13)、青森県(1.00)、長野県(1.00)である。感染性胃腸炎(ロタウイルスに限る)の定点当たり報告数は増加した。43都道府県から314例報告があり、年齢別では0歳(38例)、1~4歳(224例)、5~9歳(43例)、10代(4例)、30代(2例)、40代(1例)、60代(1例)、70歳以上(1例)であった。
〈4月コメント〉 ◆性感染症について(5月12日集計分、20~23ページ「グラフ総覧」参照) 4つの性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症)は性感染症定点医療機関(全国約1,000カ所)から毎月報告される。2014年4月分の報告を行った性感染症定点医療機関数は970(産婦人科・産科・婦人科:470、泌尿器科:403、皮膚科:85、性病科:12)であった。
●発生動向の概要
2014年4月は、対象4疾患の中では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。以下疾患毎に、定点当たり報告数、過去5年間の同時期との比較(図2)、男女別・年齢群(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)別患者報告数又は定点当たり報告数(図3:PDF参照)の概要を示す。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(4月) |

性器クラミジア感染症:定点当たり報告数2.08(男性1.01、女性1.07) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、女性でやや少なかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では20~24歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男性では0歳、女性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
性器ヘルペスウイルス感染症:定点当たり報告数0.73(男性0.28、女性0.46) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では40~44歳の年齢群、女性では25~29歳の年齢群であった。男女ともに50代以降の報告が少なくないが、これらの報告の中には再発例が含まれている可能性がある。
尖圭コンジローマ:定点当たり報告数0.48(男性0.26、女性0.21) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、女性でやや多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では30~34歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
淋菌感染症:定点当たり報告数0.77(男性0.64、女性0.13) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、女性でやや少なかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では20~24歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男性では0歳、女性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
●若年層における定点当たり報告数推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられた後、男性では2009年以降、女性では2010年以降は減少が鈍化していた。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年から減少傾向だが、2010年以降はほぼ横ばいであり、女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2009年以降は増減を繰り返し、ほぼ横ばいであった。尖圭コンジローマは男女ともに2006年以降減少傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいであった。淋菌感染症は男性では2003年以降、女性では2004年以降減少傾向がみられた後、男女ともに2007年以降はほぼ横ばいであった。
◆薬剤耐性菌について (5月12日集計分、24~25ページ「グラフ総覧」参照) 4つの薬剤耐性菌感染症〔メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症、薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症、薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症〕は、2次医療圏毎に1カ所以上定められた病床数300以上の基幹定点医療機関(全国約500カ所)から毎月報告される。2014年4月分の報告を行った基幹定点医療機関数は474であった。
●発生動向の概要 MRSA:定点当たり報告数3.15 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の65%を占めていた(図1:PDF参照)。
PRSP:定点当たり報告数0.45 定点当たり報告数は、2012年以降、以前の冬から初夏に多い傾向は認められていない。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は小児と高齢者に多く、5歳未満が全体の36%を占める一方、70歳以上が全体の37%を占めていた(図2:PDF参照)。
MDRP:定点当たり報告数0.03 定点当たり報告数は、例年夏から秋にかけて多い。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の80%を占めていた(図3:PDF参照)。
MDRA:定点当たり報告数0.01 定点当たり報告数は、報告数が極めて少ないため傾向の把握が困難である。今月の報告は男性が3例、女性が1例であった(図4:PDF参照)。
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