発生動向総覧
〈第28週コメント〉 7月16日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核413例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例 |
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菌種:S. sonnei (D群)3例_感染地域:インド1例、インドネシア1例、マダガスカル1例 |
腸管出血性大腸菌感染症154例(有症者109例、うちHUS 6例.死亡1例) |
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感染地域:国内153例、国内・国外不明1例
国内の多い感染地域:東京都16例、埼玉県14例、千葉県8例*、神奈川県8例、愛知県7例、熊本県7例**、茨城県6例、長野県6例、岡山県6例、大阪府5例、福岡県5例、栃木県4例、広島県4例、鹿児島県4例 * 飲食店における食中毒患者を含む(O157 VT2) ** 保育園における食中毒患者を含む(O111 VT1) 年齢群:0歳(1例)、1歳(11例)、2歳(8例)、3歳(3例)、4歳(4例)、5歳(4例)、6歳(2例)、7歳(1例)、8歳(2例)、9歳(3例)、10代(29例)、20代(18例)、30代(14例)、40代(9例)、50代(18例)、60代(16例)、70代(7例)、80代(4例) 血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(55例)、O26 VT1(19例)、O157 VT2(18例)、O103 VT1(8例)、O157 VT不明(7例)、O157 VT1(6例)、O111 VT1・VT2(5例)、O111 VT1(5例)、O121 VT2(5例)、O145 VT2(5例)、O55 VT1(1例)、O91 VT1(1例)、O121 VT1(1例)、O121 VT不明(1例)、O145 VT1(1例)、O153 VT不明(1例)、その他・不明(15例) 累積報告数:1,198例(有症者856例、うちHUS 37例.死亡2例)
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腸チフス1例(感染地域:タイ) |
4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:兵庫県_感染源:不明) A型肝炎1例(感染地域:北海道)
重症熱性血小板減少症候群5例 |
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感染地域:愛媛県3例、山口県1例、徳島県1例 年齢群:60代(3例)、80代(2例)
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つつが虫病5例 |
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感染地域:秋田県1例、山形県1例、千葉県1例、神奈川県1例、熊本県1例
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日本紅斑熱3例(感染地域:三重県1例、愛媛県1例、宮崎県1例)
マラリア2例 |
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熱帯熱1例_感染地域:コートジボワール 三日熱1例_感染地域:パキスタン
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レジオネラ症24例(肺炎型24例) |
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感染地域:茨城県3例、福島県2例、栃木県2例、千葉県2例、新潟県2例、北海道1例、群馬県1例、埼玉県1例、東京都1例、神奈川県1例、三重県1例、大阪府1例、島根県1例、岡山県1例、広島県1例、山口県1例、鹿児島県1例、国内(都道府県不明)1例 年齢群:40代(1例)、50代(3例)、60代(15例)、70代(3例)、80代(2例) 累積報告数:570例
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5類感染症: |
アメーバ赤痢22例(腸管アメーバ症17例、腸管外アメーバ症4例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:東京都6例、愛知県3例、埼玉県1例、神奈川県1例、静岡県1例、京都府1例、兵庫県1例、大分県1例、国内(都道府県不明)6例、米国1例 感染経路:性的接触7例(異性間1例、同性間5例、異性間・同性間不明1例)、経口感染5例、不明10例
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ウイルス性肝炎1例 |
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B型_感染経路:性的接触(異性間) |
急性脳炎3例 |
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インフルエンザウイルスA型1例_年齢群:2歳(死亡) 単純ヘルペスウイルス1例_年齢群:70代 病原体不明1例_年齢群:9歳
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例 |
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孤発性プリオン病古典型 |
劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例 |
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年齢群:50代(1例)、70代(1例) |
後天性免疫不全症候群21例(AIDS 5例、無症候14例、その他2例) |
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感染地域:国内16例、ラオス1例、国外(国不明)1例、国内・国外不明3例 感染経路:性的接触17例(異性間5例、同性間11例、異性/同性間1例)、不明4例
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ジアルジア症2例(感染地域:東京都1例、神奈川県1例)
侵襲性インフルエンザ菌感染症4例(菌検出検体:血液3例、髄液1例) |
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年齢群:0歳(1例)、70代(1例.死亡)、80代(1例)、90代(1例)
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侵襲性髄膜炎菌感染症1例(菌検出検体:血液) |
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感染地域:国内(都道府県不明) 年齢群:70代 |
侵襲性肺炎球菌感染症13例(菌検出検体:血液10例、血液・髄液3例) |
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年齢群:1歳(1例)、2歳(2例)、40代(2例)、60代(3例)、70代(4例)、80代(1例)
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梅毒23例(早期顕症I期8例、早期顕症II期9例、先天梅毒1例、無症候5例) 破傷風5例〔年齢群:60代(1例)、70代(2例)、80代(2例)〕
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例 |
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遺伝子型:不明_菌検出検体:尿 |
風しん6例(検査診断例1例、臨床診断例5例) |
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感染地域:千葉県2例、神奈川県2例、国内(都道府県不明)2例 年齢群:1歳(1例)、5~9歳(1例)、15~19歳(1例)、25~29歳(2例)、30~34歳(1例) 累積報告数:241例(検査診断例149例、臨床診断例92例)
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麻しん6例〔麻しん(検査診断例3例、臨床診断例3例)〕 |
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感染地域:神奈川県3例、愛知県1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)1例 年齢群:5~9歳(1例)、25~29歳(1例)、30~34歳(1例)、35~39歳(2例)、40代(1例) 累積報告数:412例〔麻しん(検査診断例304例、臨床診断例56例)、修飾麻しん52例〕
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(補)他にクロイツフェルト・ヤコブ病1例の報告があったが削除予定。また、2013年第28週から2014年第27週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎1例(感染地域:北海道_感染源:豚内臓肉)、デング熱1例(感染地域:仏領ポリネシア)、急性脳炎7例〔アデノウイルス1例_年齢群:3歳(死亡).単純ヘルペスウイルス1例_年齢群:60代.ヒトヘルペスウイルス6型1例_年齢群:1歳.ヒトヘルペスウイルス6型・7型1例_年齢群:4歳.病原体不明3例_年齢群:1歳(1例)、2歳(1例)、10代(1例)〕、クリプトスポリジウム症6例(感染地域:東京都5例、ブラジル1例)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(80代)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanB _菌検出検体:便)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

インフルエンザ:定点当たり報告数は第17週以降減少が続いている。都道府県別の上位3位は沖縄県(2.34)、鹿児島県(0.10)、岩手県(0.09)、岐阜県(0.09)である。基幹定点からのインフルエンザ入院サーベイランスにおける報告数は6例と前週と比較して増加し、5都道府県から報告があった。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は282例と2週連続で増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約81%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は栃木県(1.58)、長野県(1.56)、北海道(1.55)である。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第23週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別の上位3位は島根県(3.57)、鳥取県(3.16)、福岡県(3.07)である。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第22週以降減少が続いている。都道府県別の上位3位は大分県(8.67)、宮崎県(7.06)、愛媛県(6.54)である。水痘の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別の上位3位は愛媛県(1.65)、福井県(1.59)、鹿児島県(1.51)である。手足口病の定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は宮崎県(3.94)、福岡県(3.93)、大分県(3.44)である。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別の上位3位は大分県(0.25)、山形県(0.17)、鳥取県(0.16)である。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は鳥取県(8.00)、東京都(7.13)、大阪府(7.04)である。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別の上位3位は富山県(1.20)、沖縄県(1.00)、高知県(0.88)である。感染性胃腸炎(ロタウイルスに限る)の定点当たり報告数は第21週以降減少が続いている。15道府県から30例報告があり、年齢別では0歳(3例)、1~4歳(18例)、5~9歳(7例)、10代(1例)、70歳以上(1例)であった。
〈6月コメント〉
◆性感染症について(7月10日集計分、19~22ページ「グラフ総覧」参照) 4つの性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症)は性感染症定点医療機関(全国約1,000カ所)から毎月報告される。2014年6月分の報告を行った性感染症定点医療機関数は976(産婦人科・産科・婦人科:470、泌尿器科:407、皮膚科:87、性病科:12)であった。
●発生動向の概要
2014年6月は、対象4疾患の中では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。以下疾患毎に、定点当たり報告数、過去5年間の同時期との比較(図2)、男女別・年齢群(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)別患者報告数又は定点当たり報告数(図3:PDF参照)の概要を示す。 |
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(6月) |

性器クラミジア感染症:定点当たり報告数2.21(男性1.02、女性1.19)
定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でやや少なかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男女ともに10~14歳の年齢群の報告を認めた。
性器ヘルペスウイルス感染症:定点当たり報告数0.72(男性0.27、女性0.46) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でやや少なかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では40~44歳の年齢群、女性では25~29歳の年齢群であった。また、男性では10~14歳の年齢群の報告を認めた(他に男性の5~9歳の報告があったが削除予定)。男女ともに50代以降の報告が少なくないが、これらの報告の中には再発例が含まれている可能性がある。
尖圭コンジローマ:定点当たり報告数0.52(男性0.34、女性0.19) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でかなり多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では25~29歳の年齢群であった。
淋菌感染症:定点当たり報告数0.83(男性0.63、女性0.20) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、女性でやや多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、女性では5~9歳、10~14歳の年齢群の報告を認めた。
●若年層における定点当たり報告数推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられた後、男性では2009年以降、女性では2010年以降は減少が鈍化していた。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年から減少傾向だが、2010年以降はほぼ横ばいであり、女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2009年以降は増減を繰り返し、ほぼ横ばいであった。尖圭コンジローマは男女ともに2006年以降減少傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいであった。淋菌感染症は男性では2003年以降、女性では2004年以降減少傾向がみられた後、男女ともに2007年以降はほぼ横ばいであった。
◆薬剤耐性菌について (7月10日集計分、23~24ページ「グラフ総覧」参照) 4つの薬剤耐性菌感染症〔メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症、薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症、薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症〕は、2次医療圏毎に1カ所以上定められた病床数300以上の基幹定点医療機関(全国約500カ所)から毎月報告される。2014年6月分の報告を行った基幹定点医療機関数は475であった。
●発生動向の概要
MRSA:定点当たり報告数3.03 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の62%を占めていた(図1:PDF参照)。
PRSP: 定点当たり報告数0.43 定点当たり報告数は、2012年以降、以前の冬から初夏に多い傾向は認められていない。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は小児と高齢者に多く、5歳未満が全体の42%を占める一方、70歳以上が全体の26%を占めていた(図2:PDF参照)。
MDRP: 定点当たり報告数0.06 定点当たり報告数は、例年夏から秋にかけて多い。過去10年間の同月との比較では2012年に次いで少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の79%を占めていた(図3:PDF参照)。
MDRA:定点当たり報告数0.00 定点当たり報告数は、報告数が極めて少ないため傾向の把握が困難である。今月の報告は男性が1例であった(図4:PDF参照)。
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