発生動向総覧
〈第33週コメント〉 8月20日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核388例 |
3類感染症: |
腸管出血性大腸菌感染症231例(有症者143例、うちHUS 3例) |
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感染地域:国内227例、イラン1例、国内・国外不明3例 国内の多い感染地域:大阪府32例*、千葉県23例**、静岡県15例***、長崎県13例#、熊本県12例、東京都11例、福岡県8例、岩手県7例、埼玉県7例##、神奈川県7例、兵庫県6例 * 第32週に報告された保育所における集団感染例を含む(O26 VT1) ** 第32週に報告された保育所における集団感染例を含む(O145 VT1) *** 第31週に報告された冷やしキュウリを原因とした食中毒患者を含む(O157 VT1・VT2) # 第32週に発生した保育所における集団感染例を含む(O103 VT1) ## 第31週に報告された保育所の食中毒関連患者を含む(O157 VT1・VT2) 年齢群:0歳(4例)、1歳(23例)、2歳(20例)、3歳(6例)、4歳(9例)、5歳(10例)、6歳(8例)、7歳(4例)、8歳(3例)、9歳(3例)、10代(30例)、20代(30例)、30代(20例)、40代(22例)、50代(15例)、60代(11例)、70代(10例)、80代(2例)、90代(1例) 血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(85例)、O26 VT1(53例)、O157 VT2(26例)、O145 VT1(22例)、O157 VT不明(12例)、O111 VT1(4例)、O145 VT2(4例)、O26 VT不明(3例)、O103 VT1(3例)、O157 VT1(3例)、O6 VT2(2例)、O1 VT1・VT2(1例)、O26 VT1・VT2(1例)、O91 VT1(1例)、O91 VT不明(1例)、O111 VT不明(1例)、O121 VT2(1例)、その他・不明(8例) 累積報告数:2,387例(有症者1,664例、うちHUS 62例.死亡2例)
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:兵庫県_感染源:不明) A型肝炎1例(感染地域:インド)
重症熱性血小板減少症候群2例
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感染地域:徳島県1例、宮崎県1例 年齢群:70代(1例)、80代(1例)
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つつが虫病2例(感染地域:兵庫県2例) デング熱1例(感染地域:タイ)
日本紅斑熱4例
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感染地域:島根県1例、徳島県1例、熊本県1例、鹿児島県1例
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レジオネラ症14例(肺炎型14例)
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感染地域:静岡県2例、福島県1例、群馬県1例、千葉県1例、東京都1例、富山県1例、石川県1例、兵庫県1例、宮崎県1例、沖縄県1例、国内(都道府県不明)2例、中国1例 年齢群:50代(1例)、60代(2例)、70代(5例)、80代(5例)、90代(1例) 累積報告数:713例
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5類感染症: |
アメーバ赤痢12例(腸管アメーバ症12例) |
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感染地域:北海道1例、栃木県1例、千葉県1例、東京都1例、新潟県1例、長野県1例、静岡県1例、愛知県1例、京都府1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)2例 感染経路:性的接触3例(異性間2例、異性間・同性間不明1例)、経口感染2例、不明7例
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ウイルス性肝炎1例 |
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B型_感染経路:性的接触(異性間)
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急性脳炎5例 |
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ヒトパレコウイルス3型1例_年齢群:0歳 病原体不明4例_年齢群:0歳(1例)、7歳(2例)、60代(1例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病2例 |
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孤発性プリオン病古典型2例
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後天性免疫不全症候群21例(AIDS 5例、無症候14例、その他2例) |
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感染地域:国内18例、米国1例、国内・国外不明2例 感染経路:性的接触19例(異性間2例、同性間16例、異性/同性間1例)、不明2例
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ジアルジア症1例(感染地域:佐賀県)
侵襲性インフルエンザ菌感染症1例(菌検出検体:血液) |
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年齢群:80代
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侵襲性肺炎球菌感染症8例(菌検出検体:血液7例、血液・髄液1例) |
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年齢群:1歳(1例)、40代(1例)、50代(2例)、60代(1例)、70代(1例.死亡)、80代(1例)、90代(1例)
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梅毒18例(早期顕症I期2例、早期顕症II期9例、無症候7例) 破傷風3例〔年齢群:40代(1例)、70代(1例)、80代(1例)〕
風しん1例(臨床診断例)
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感染地域:国内(都道府県不明) 年齢群:1歳 累積報告数:262例(検査診断例164例、臨床診断例98例)
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麻しん6例〔麻しん(検査診断例2例、臨床診断例2例)、修飾麻しん2例〕
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感染地域:鹿児島県2例、埼玉県1例、山梨県1例、国内(都道府県不明)2例 年齢群:2歳(1例)、10~14歳(1例)、15~19歳(1例)、20~24歳(1例)、25~29歳(2例) 累積報告数:433例〔麻しん(検査診断例322例、臨床診断例55例)、修飾麻しん56例〕
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(補)他に梅毒(無症候)1例の報告があったが削除予定。また、2013年第33週から2014年第32週までに診断されたものの報告遅れとして、デング熱1例(感染地域:シンガポール)、日本紅斑熱2例(感染地域:和歌山県1例、広島県1例)、急性脳炎6例〔ヘルペスウイルス1例_年齢群:60代.病原体不明5例_年齢群:1歳(1例)、5歳(1例)、7歳(1例)、30代(1例)、80代(1例)〕、クリプトスポリジウム症1例(感染地域:北海道)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症4例〔60代(1例)、70代(2例)、80代(1例.死亡)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

インフルエンザ:定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は沖縄県(0.64)、香川県(0.12)、岐阜県(0.06)、滋賀県(0.06)である。基幹定点からのインフルエンザ入院サーベイランスにおける報告数は5例と前週と比較して増加し、5道県から報告があった。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は593例と3週連続で増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約84%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別の上位3位は群馬県(1.05)、京都府(0.82)、奈良県(0.79)である。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第23週以降減少が続いている。都道府県別の上位3位は佐賀県(1.09)、福井県(1.05)、島根県(1.04)である。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別の上位3位は大分県(5.86)、宮崎県(5.86)、島根県(5.35)、香川県(5.10)である。水痘の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別の上位3位は福井県(1.64)、宮崎県(1.28)、大分県(1.06)である。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別の上位3位は佐賀県(3.57)、石川県(3.41)、大分県(2.61)である。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別の上位3位は沖縄県(0.15)、千葉県(0.06)、北海道(0.05)、福岡県(0.05)である。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続して減少した。都道府県別の上位3位は新潟県(7.34)、長野県(6.23)、山形県(5.44)である。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別の上位3位は青森県(1.00)、石川県(1.00)、宮城県(0.83)、富山県(0.80)である。感染性胃腸炎(ロタウイルスに限る)の定点当たり報告数は第21週以降減少が続いている。沖縄県から1例報告があり、年齢別では0歳であった。
〈7月コメント〉
◆性感染症について(8月13日集計分、20~23ページ「グラフ総覧」参照) 4つの性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症)は性感染症定点医療機関(全国約1,000カ所)から毎月報告される。2014年7月分の報告を行った性感染症定点医療機関数は976(産婦人科・産科・婦人科:471、泌尿器科:407、皮膚科:86、性病科:12)であった。
●発生動向の概要
2014年7月は、対象4疾患の中では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。以下疾患毎に、定点当たり報告数、過去5年間の同時期との比較(図2)、男女別・年齢群(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)別患者報告数又は定点当たり報告数(図3:PDF参照)の概要を示す。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(7月) |
 性器クラミジア感染症:定点当たり報告数2.32(男性1.10、女性1.22) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、女性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
性器ヘルペスウイルス感染症:定点当たり報告数0.79(男性0.30、女性0.49) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、女性でやや多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では35~39歳の年齢群、女性では25~29歳の年齢群であった。男女ともに50代以降の報告が少なくないが、これらの報告の中には再発例が含まれている可能性がある。
尖圭コンジローマ:定点当たり報告数0.55(男性0.34、女性0.22) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でかなり多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では30~34歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
淋菌感染症:定点当たり報告数0.91(男性0.70、女性0.21) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、女性でやや多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、女性では5~9歳の年齢群の報告を認めた。
●若年層における定点当たり報告数推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられた後、男性では2009年以降、女性では2010年以降は減少が鈍化していた。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年から減少傾向だが、2010年以降はほぼ横ばいであり、女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2009年以降は増減を繰り返し、ほぼ横ばいであった。尖圭コンジローマは男女ともに2006年以降減少傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいであった。淋菌感染症は男性では2003年以降、女性では2004年以降減少傾向がみられた後、男女ともに2007年以降はほぼ横ばいであった。
◆薬剤耐性菌について (8月13日集計分、24~25ページ「グラフ総覧」参照) 4つの薬剤耐性菌感染症〔メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症、薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症、薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症〕は、2次医療圏毎に1カ所以上定められた病床数300以上の基幹定点医療機関(全国約500カ所)から毎月報告される。2014年7月分の報告を行った基幹定点医療機関数は474であった。
●発生動向の概要 MRSA:定点当たり報告数3.21 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の63%を占めていた(図1:PDF参照)。
PRSP:定点当たり報告数0.38 定点当たり報告数は、2012年以降、以前の冬から初夏に多い傾向は認められていない。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は小児と高齢者に多く、5歳未満が全体の35%を占める一方、70歳以上が全体の32%を占めていた(図2:PDF参照)。
MDRP:定点当たり報告数0.05 定点当たり報告数は、例年夏から秋にかけて多い。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の69%を占めていた(図3:PDF参照)。
MDRA:定点当たり報告数- 定点当たり報告数は、報告数が極めて少ないため傾向の把握が困難である。今月の報告は無かった(図4:PDF参照)。
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