発生動向総覧
〈第37週コメント〉 9月17日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核393例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢2例
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菌種:S. sonnei (D群)2例_感染地域:ベトナム1例、カンボジア/ベトナム1例
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腸管出血性大腸菌感染症86例(有症者59例、うちHUS 4例) |
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感染地域:国内85例、ドイツ1例 国内の多い感染地域:長崎県13例*、長野県7例、愛知県7例、神奈川県6例、埼玉県5例、大阪府5例、東京都4例、福岡県4例、宮城県3例、広島県3例 * 保育所における集団感染例を含む(O26 VT1) 年齢群:0歳(1例)、1歳(8例)、2歳(11例)、3歳(2例)、4歳(6例)、5歳(2例)、6歳(2例)、7歳(1例)、8歳(1例)、9歳(1例)、10代(9例)、20代(15例)、30代(9例)、40代(4例)、50代(4例)、60代(6例)、70代(4例) 血清型・毒素型:O26 VT1(29例)、O157 VT1・VT2( 22例)、O157 VT2(7例)、O157 VT不明(6例)、O157 VT1(5例)、O26 VT不明(3例)、O103 VT1(2例)、O91 VT1・VT2(1例)、O91 VT1(1例)、O145 VT2(1例)、その他・不明(9例) 累積報告数:3,226例(有症者2,305例、うちHUS 81例.死亡2例)
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腸チフス2例(感染地域:岩手県1例、ネパール1例) |
4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:千葉県_感染源:不明) A型肝炎3例(感染地域:滋賀県1例、鹿児島県1例、ベトナム/カンボジア1例)
重症熱性血小板減少症候群2例
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感染地域:徳島県1例、高知県1例 年齢群:70代(1例.死亡)、80代(1例)
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デング熱41例
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感染地域:東京都34例、千葉県1例、フィリピン4例、インドネシア1例、マレーシア/シンガポール1例
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日本紅斑熱11例
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感染地域:広島県5例、三重県1例、兵庫県1例、徳島県1例、佐賀県1例、長崎県1例、鹿児島県1例
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マラリア4例
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熱帯熱2例_感染地域:ナイジェリア2例 三日熱1例_感染地域:パプアニューギニア 病型不明1例_感染地域:インド
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レジオネラ症21例(肺炎型21例)
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感染地域:神奈川県5例、愛知県2例、宮城県1例、茨城県1例、埼玉県1例、千葉県1例、石川県1例、山梨県1例、三重県1例、滋賀県1例、兵庫県1例、愛媛県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)2例、タイ1例 年齢群:40代(1例)、50代(5例)、60代(7例)、70代(1例)、80代(5例)、90代(2例)
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レプトスピラ症1例
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感染地域:沖縄県_感染源:カヤック/トレッキング
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5類感染症: |
アメーバ赤痢13例(腸管アメーバ症10例、腸管外アメーバ症1例、腸管及び腸管外アメーバ症2例) |
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感染地域:大阪府3例、東京都2例、神奈川県1例、兵庫県1例、国内(都道府県不明)3例、国内(都道府県不明)/韓国1例、シンガポール/マレーシア1例、国内・国外不明1例 感染経路:性的接触6例(異性間5例、同性間1例)、経口感染1例、不明6例
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ウイルス性肝炎3例 |
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B型3例_感染経路:性的接触2例(異性間2例)、針等の鋭利なものの刺入による感染1例
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急性脳炎4例 |
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病原体不明4例_年齢群:1歳(1例)、2歳(1例)、3歳(1例)、8歳(1例)
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例 |
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年齢群:20代(1例)、40代(1例)、70代(1例)
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後天性免疫不全症候群18例(AIDS 5例、無症候13例) |
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感染地域:国内15例、タイ1例、ニュージーランド1例、国内・国外不明1例 感染経路:性的接触16例(異性間2例、同性間14例)、不明2例
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ジアルジア症1例〔感染地域:国内(都道府県不明)〕
侵襲性インフルエンザ菌感染症1例(菌検出検体:血液) |
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年齢群:80代
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侵襲性肺炎球菌感染症10例(菌検出検体:血液7例、血液・髄液3例) |
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年齢群:1歳(1例)、2歳(1例)、20代(1例)、30代(1例)、60代(2例)、70代(2例.うち1例死亡)、80代(1例)、90代(1例)
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梅毒26例(早期顕症I期5例、早期顕症II期9例、晩期顕症1例、先天梅毒1例、無症候10例) 破傷風4例〔年齢群:60代(1例)、70代(1例)、80代(2例)〕
風しん5例(検査診断例3例、臨床診断例2例)
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感染地域:東京都1例、京都府1例、兵庫県1例、長崎県1例、国内(都道府県不明)1例 年齢群:0歳(1例)、4歳(1例)、15~19歳(1例)、25~29歳(1例)、60代(1例) 累積報告数:283例(検査診断例176例、臨床診断例107例)
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麻しん1例〔麻しん(検査診断例)〕
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感染地域:フィリピン 年齢群:40代 累積報告数:446例〔麻しん(検査診断例343例、臨床診断例35例)、修飾麻しん68例〕
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(補)2013年第37週から2014年第36週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例〔菌種:S. flexneri (B群)_感染地域:インド〕、腸チフス2例〔感染地域:東京都1例、国内都道府県不明)1例〕、E型肝炎3例〔感染地域(感染源):北海道1例(不明)、千葉県1例(不明)、国内(都道府県不明)1例(レバーの可能性)〕、重症熱性血小板減少症候群1例(感染地域:徳島県_年齢群:80代)、デング熱9例(感染地域:東京都8例、インドネシア1例)、マラリア3例(熱帯熱3例_感染地域:ナイジェリア1例、リベリア1例、ベナン/南アフリカ1例)、ライム病1例(感染地域:福島県)、急性脳炎7例〔単純ヘルペスウイルス1例_年齢群:0歳.ムンプスウイルス1例_年齢群:9歳.ヒトパレコウイルス1例_年齢群:0歳.ヒトヘルペスウイルス6型/7型1例_年齢群:1歳.病原体不明3例_年齢群:0歳(2例)、10代(1例)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(80代.死亡)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

インフルエンザ:定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別の上位3位は沖縄県(1.16)、島根県(0.47)、高知県(0.33)である。基幹定点からのインフルエンザ入院サーベイランスにおける報告数は5例と前週と比較して増加し、4道県から報告があった。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は2,982例と第31週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約74%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別の上位3位は群馬県(1.52)、三重県(1.40)、沖縄県(1.18)である。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別の上位3位は島根県(2.00)、福井県(1.91)、大分県(1.89)である。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は大分県(7.94)、熊本県(5.90)、宮崎県(5.33)である。水痘の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別の上位3位は福井県(1.36)、宮崎県(1.36)、大分県(1.22)、福岡県(0.91)である。手足口病の定点当たり報告数は第34週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は石川県(4.90)、宮崎県(2.72)、佐賀県(2.65)である。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位2位は大分県(0.06)、沖縄県(0.06)、青森県(0.05)である。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は福島県(6.24)、新潟県(5.48)、宮城県(5.05)である。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は富山県(2.00)、岩手県(1.16)、高知県(0.88)である。感染性胃腸炎(ロタウイルスに限る)の定点当たり報告数は減少した。4道県から4例報告があり、年齢別では0歳(2例)、1~4歳(2例)であった。
〈8月コメント〉
◆性感染症について(9月11日集計分、19~22ページ「グラフ総覧」参照) 4つの性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症)は性感染症定点医療機関(全国約1,000カ所)から毎月報告される。2014年8月分の報告を行った性感染症定点医療機関数は975(産婦人科・産科・婦人科:469、泌尿器科:407、皮膚科:87、性病科:12)であった。
●発生動向の概要
2014年8月は、対象4疾患の中では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。以下疾患毎に、定点当たり報告数、過去5年間の同時期との比較(図2)、男女別・年齢群(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)別患者報告数又は定点当たり報告数(図3:PDF参照)の概要を示す。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(8月) |

性器クラミジア感染症:定点当たり報告数2.10(男性1.03、女性1.07) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でやや少なく、女性でかなり少なかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では20~24歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、女性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
性器ヘルペスウイルス感染症:定点当たり報告数0.78(男性0.31、女性0.47) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では30~34歳の年齢群、女性では30~34歳の年齢群であった。また、男女ともに10~14歳の年齢群の報告を認めた。男女ともに50代以降の報告が少なくないが、これらの報告の中には再発例が含まれている可能性がある。
尖圭コンジローマ:定点当たり報告数0.54(男性0.33、女性0.21) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でかなり多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では30~34歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。
淋菌感染症:定点当たり報告数0.93(男性0.76、女性0.17) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では20~24歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男女ともに10~14歳の年齢群の報告を認めた。
●若年層における定点当たり報告数推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられた後、男性では2009年以降、女性では2010年以降は減少が鈍化していた。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年から減少傾向だが、2010年以降はほぼ横ばいであり、女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2009年以降は増減を繰り返し、ほぼ横ばいであった。尖圭コンジローマは男女ともに2006年以降減少傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいであった。淋菌感染症は男性では2003年以降、女性では2004年以降減少傾向がみられた後、男女ともに2007年以降はほぼ横ばいであった。
◆薬剤耐性菌について (9月11日集計分、23~24ページ「グラフ総覧」参照) 4つの薬剤耐性菌感染症〔メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症、薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症、薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症〕は、2次医療圏毎に1カ所以上定められた病床数300以上の基幹定点医療機関(全国約500カ所)から毎月報告される。2014年8月分の報告を行った基幹定点医療機関数は473であった。
●発生動向の概要 MRSA:定点当たり報告数3.07 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の61%を占めていた(図1:PDF参照)。
PRSP:定点当たり報告数0.33 定点当たり報告数は、2012年以降、以前の冬から初夏に多い傾向は認められていない。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は小児と高齢者に多く、5歳未満が全体の37%を占める一方、70歳以上が全体の37%を占めていた(図2:PDF参照)。
MDRP:定点当たり報告数0.08 定点当たり報告数は、例年夏から秋にかけて多い。過去10年間の同月との比較では2013年、2012年に次いで少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の81%を占めていた(図3:PDF参照)。
MDRA:定点当たり報告数0.00 定点当たり報告数は、報告数が極めて少ないため傾向の把握が困難である。今月の報告は女性が1例であった(図4:PDF参照)。
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