発生動向総覧
〈第42週コメント〉 10月22日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核309例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢6例
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菌種:S. flexneri (B群)2例_感染地域:宮城県1例、インド1例 S. sonnei (D群)4例_感染地域:福岡県2例、国内(都道府県不明)1例、インド1例
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腸管出血性大腸菌感染症51例(有症者22例、うちHUS 1例) |
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感染地域:国内49例、ペルー/ブラジル1例、国内・国外不明1例 国内の感染地域:滋賀県16例、岩手県3例、千葉県3例、東京都3例、鹿児島県3例、神奈川県2例、山梨県2例、静岡県2例、兵庫県2例、福岡県2例、長崎県2例、青森県1例、茨城県1例、大阪府1例、広島県1例、山口県1例、愛媛県1例、不明3例 年齢群:0歳(1例)、2歳(1例)、3歳(1例)、4歳(1例)、5歳(2例)、6歳(4例)、7歳(1例)、8歳(2例)、10代(4例)、20代(7例)、30代(11例)、40代(5例)、50代(7例)、60代(2例)、70代(1例)、90代(1例) 血清型・毒素型:O145 VT2(14例)、O157 VT1・VT2(10例)、O157 VT2(4例)、O91 VT1(3例)、O157 VT1(3例)、O157 VT不明(3例)、O26 VT1(2例)、O146 VT1(2例)、O25 VT1(1例)、O26 VT不明(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、O111 VT1(1例)、O121 VT1(1例)、O128 VT1・VT2(1例)、その他・不明(4例) 累積報告数:3,641例(有症者2,558例、うちHUS 90例.死亡2例)
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腸チフス5例
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感染地域:奈良県1例、ミャンマー2例、インド1例、インドネシア1例
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4類感染症: |
つつが虫病2例(感染地域:青森県1例、群馬県1例)
デング熱3例〔デング熱2例、デング出血熱1例(感染地域:国外)〕
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感染地域:東京都1例、スリランカ1例、フィリピン1例 累積報告数:315例(感染地域:国内159例*、国外155例、国内/国外1例) * 届出時期等により、厚生労働省公表分と異なる可能性があります。
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日本紅斑熱7例
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感染地域:広島県3例、鹿児島県2例、福井県1例、和歌山県1例
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マラリア1例(熱帯熱_感染地域:タンザニア)
レジオネラ症25例(肺炎型24例、ポンティアック型1例)
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感染地域:東京都4例、千葉県2例、富山県2例、石川県2例、茨城県1例、栃木県1例、埼玉県1例、神奈川県1例、福井県1例、長野県1例、愛知県1例、奈良県1例、広島県1例、愛媛県1例、鹿児島県1例、国内(都道府県不明)4例 年齢群:40代(1例)、50代(1例)、60代(9例)、70代(6例)、80代(8例.うち2例死亡) 累積報告数:985例
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5類感染症: |
アメーバ赤痢18例(腸管アメーバ症15例、腸管外アメーバ症2例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:埼玉県2例、神奈川県2例、長野県2例、兵庫県2例、東京都1例、広島県1例、国内(都道府県不明)7例、国内・国外不明1例 感染経路:性的接触4例(異性間2例、同性間2例)、経口感染1例、不明13例
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ウイルス性肝炎3例 |
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B型3例_感染経路:性的接触2例(異性間1例、同性間1例)、不明1例
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カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症8例 |
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菌検出検体:尿3例、喀痰2例、胆汁2例、血液1例 菌種:E. coli 3例、E. cloacae 2例、その他・不明3例 感染経路:以前からの保菌3例、手術部位1例、不明4例
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急性脳炎4例 |
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病原体不明4例_年齢群:0歳(1例)、1歳(2例)、80代(1例)
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例 |
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年齢群:0歳(1例)、30代(1例)、60代(1例)
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後天性免疫不全症候群10例(AIDS 3例、無症候5例、その他2例) |
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感染地域:国内9例、国内・国外不明1例 感染経路:性的接触7例(異性間1例、同性間6例)、不明3例
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ジアルジア症5例
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感染地域:福岡県2例、国内(都道府県不明)1例、インド2例
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侵襲性インフルエンザ菌感染症4例(菌検出検体:血液4例) |
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年齢群:20代(1例)、30代(1例)、70代(1例)、90代(1例)
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侵襲性肺炎球菌感染症13例(菌検出検体:血液11例、髄液2例) |
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年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)、3歳(1例)、10代(1例)、30代(1例)、50代(1例)、60代(2例)、70代(2例)、90代以上(3例)
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水痘(入院例に限る)4例(検査診断例2例、臨床診断例2例)
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年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)、40代(1例)、50代(1例)
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梅毒15例(早期顕症I期3例、早期顕症II期4例、無症候8例)
播種性クリプトコックス症2例
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菌検出検体:血液1例、髄液1例 感染地域:埼玉県1例、国内(都道府県不明)1例 年齢群:40代(1例)、70代(1例)
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破傷風5例〔年齢群:20代(1例)、60代(2例)、80代(1例)、90代(1例)〕
風しん4例(検査診断例4例)
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感染地域:東京都2例、国内(都道府県不明)2例 年齢群:1歳(1例)、20~24歳(1例)、30~34歳(1例)、35~39歳(1例) 累積報告数:295例(検査診断例186例、臨床診断例109例)
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(補)2013年第42週から2014年第41週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例〔菌種:S. sonnei (D群)_感染地域:フィリピン〕、E型肝炎1例(感染地域:岩手県_感染源:不明)、日本紅斑熱4例(感染地域:和歌山県2例、広島県2例)、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症14例〔感染経路:以前からの保菌7例(うち1例死亡)、手術部位1例、院内感染1例、その他1例(死亡)、不明4例〕、急性脳炎2例(ヒトヘルペスウイルス6型1例_年齢群:1歳.病原体不明1例_年齢群:7歳)、侵襲性髄膜炎菌感染症1例(感染地域:山梨県_年齢群:50代)、水痘(入院例に限る)4例〔0歳(1例)、3歳(2例)、40代(1例)〕、播種性クリプトコックス症3例〔感染地域:東京都2例、静岡県1例_年齢群:40代(1例)、70代(2例)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:血液)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です(増減の目安は小数点第3位以下を含む)。

インフルエンザ:定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別の上位3位は沖縄県(0.43)、長崎県(0.29)、愛媛県(0.15)である。基幹定点からのインフルエンザ入院サーベイランスにおける報告数は4例と前週と比較して減少し、2道県から報告があった。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は2,590例と減少した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約76%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は北海道(0.68)、宮崎県(0.58)、徳島県(0.57)である。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は島根県(2.87)、北海道(2.34)、鳥取県(2.16)である。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別の上位3位は大分県(6.25)、宮崎県(4.72)、徳島県(4.61)である。水痘の定点当たり報告数は第39週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は宮崎県(1.58)、福井県(1.50)、山形県(1.07)である。手足口病の定点当たり報告数は減少した。都道府県別の上位3位は山形県(2.63)、鹿児島県(1.75)、沖縄県(1.68)である。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別の上位3位は沖縄県(0.21)、福島県(0.07)、福岡県(0.07)、鳥取県(0.05)である。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第36週以降減少が続いている。都道府県別の上位3位は新潟県(1.08)、福島県(0.62)、鹿児島県(0.60)である。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別の上位3位は青森県(1.50)、富山県(1.00)、石川県(1.00)、宮城県(0.92)である。感染性胃腸炎(ロタウイルスに限る)の定点当たり報告数は増加した。5県から6例報告があり、年齢別では1~4歳(5例)、20代(1例)であった。
〈9月コメント〉
◆性感染症について(10月10日集計分、19~22ページ「グラフ総覧」参照) 4つの性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症)は性感染症定点医療機関(全国約1,000カ所)から毎月報告される。2014年9月分の報告を行った性感染症定点医療機関数は972(産婦人科・産科・婦人科:467、泌尿器科:406、皮膚科:87、性病科:12)であった。
●発生動向の概要
2014年9月は、対象4疾患の中では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。以下疾患毎に、定点当たり報告数、過去5年間の同時期との比較(図2)、男女別・年齢群(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)別患者報告数又は定点当たり報告(図3:PDF参照)の概要を示す。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(9月) |
 性器クラミジア感染症:定点当たり報告数2.31(男性1.17、女性1.13) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でやや多く、女性でやや少なかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では20~24歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、女性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
性器ヘルペスウイルス感染症:定点当たり報告数0.78(男性0.28、女性0.50) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、女性でかなり多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では35~39歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。男女ともに50代以降の報告が少なくないが、これらの報告の中には再発例が含まれている可能性がある。
尖圭コンジローマ:定点当たり報告数0.50(男性0.31、女性0.20) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でやや多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では30~34歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。
淋菌感染症:定点当たり報告数0.94(男性0.71、女性0.23) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、女性でかなり多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では20~24歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、女性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
●若年層における定点当たり報告数推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向であり、2009~2010年から減少が鈍化していたが、男性では2013年以降増加に転じている。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年から減少傾向だが、2010年以降はほぼ横ばいであり、女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2009年以降は増減を繰り返し、ほぼ横ばいであった。尖圭コンジローマは男女ともに2006年以降減少傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいであった。淋菌感染症は男女ともに2003~2004年以降減少傾向であり、2007年以降はほぼ横ばいであったが、男性では2013年以降増加に転じている。
◆薬剤耐性菌について
(10月10日集計分、23~24ページ「グラフ総覧」参照) 4つの薬剤耐性菌感染症〔メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症、薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症、薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症〕は、2次医療圏毎に1カ所以上定められた病床数300以上の基幹定点医療機関(全国約500カ所)から毎月報告される。2014年9月分の報告を行った基幹定点医療機関数は476であった。
●発生動向の概要 MRSA:定点当たり報告数3.20 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の61%を占めていた(図1:PDF参照)。
PRSP:定点当たり報告数0.30 定点当たり報告数は、2012年以降、以前の冬から初夏に多い傾向は認められていない。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は小児と高齢者に多く、5歳未満が全体の35%を占める一方、70歳以上が全体の37%を占めていた(図2:PDF参照)。
MDRP:定点当たり報告数0.05 定点当たり報告数は、例年夏から秋にかけて多い。過去10年間の同月との比較では2012年、2013年に次いで少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の54%を占めていた(図3:PDF参照)。
MDRA:定点当たり報告数- * 定点当たり報告数は、報告数が極めて少ないため傾向の把握が困難である。今月の報告は無かった(図4:PDF参照)。 * 9月18日までの集計。薬剤耐性アシネトバクター感染症は9月19日より全数把握対象疾患に変更となりました。
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