IDWR 2014年第43号＜発生動向総覧＞2014年第43週（2014年10月20日～10月26日）

注意：PDF版よりピックアップして掲載しています。

　発生動向総覧

〈第43週コメント〉　10月29日集計分

◆全数報告の感染症

注意：これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。

注意：感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。

1類感染症：

報告なし

2類感染症：

結核392例

3類感染症：

細菌性赤痢7例
	菌種：S. flexneri （B群）1例＿感染地域：マダガスカル S. sonnei （D群）6例＿感染地域：福岡県5例、国内（都道府県不明）1例

腸管出血性大腸菌感染症45例（有症者30例、うちHUS なし）

感染地域：国内43例、タイ1例、国内・国外不明1例
国内の感染地域：福岡県12例、長野県4例、愛知県4例、北海道2例、宮城県2例、三重県2例、佐賀県2例、長崎県2例、鹿児島県2例、茨城県1例、東京都1例、静岡県1例、滋賀県1例、京都府1例、山口県1例、大分県1例、不明4例
年齢群：0歳（1例）、1歳（6例）、2歳（4例）、3歳（3例）、4歳（2例）、5歳（2例）、7歳（1例）、8歳（1例）、9歳（1例）、10代（5例）、20代（6例）、30代（7例）、40代（1例）、50代（3例）、60代（2例）
血清型・毒素型：O26 VT1（14例）、O157 VT1・VT2（8例）、O157 VT2（7例）、O103 VT1（3例）、O157 VT不明（3例）、O165 VT2（2例）、O91 VT1（1例）、O111 VT1・VT2（1例）、O157 VT1（1例）、その他・不明（5例）
累積報告数：3,691例（有症者2,592例、うちHUS 91例．死亡2例）

腸チフス1例（感染地域：東京都）

4類感染症：

E型肝炎3例
	感染地域（感染源）：千葉県1例（不明）、富山県1例（不明）、インド1例（不明）

A型肝炎5例
	感染地域：愛知県1例、大阪府1例、インド1例、スリランカ1例、タイ1例

重症熱性血小板減少症候群1例
	感染地域：高知県年齢群：80代（死亡）

チクングニア熱1例（感染地域：ガイアナ）

つつが虫病6例
	感染地域：宮城県1例、栃木県1例、東京都1例、石川県1例、宮崎県1例、インド1例

デング熱2例
	感染地域：インド1例、タイ1例累積報告数：317例（感染地域：国内159例、国外157例、国内/国外1例）届出時期等により、厚生労働省公表分と異なる可能性があります。

日本紅斑熱4例
	感染地域：和歌山県1例、広島県1例、愛媛県1例、熊本県1例

ライム病1例（感染地域：インド）

レジオネラ症17例（肺炎型17例）
	感染地域：京都府3例、茨城県1例、群馬県1例、東京都1例、神奈川県1例、愛知県1例、兵庫県1例、広島県1例、国内（都道府県不明）4例、埼玉県/国外（国不明）1例、国内・国外不明2例年齢群：40代（1例）、50代（3例）、60代（8例）、70代（4例）、90代（1例）累積報告数：1,005例

レプトスピラ症2例
	感染地域（感染源）：沖縄県1例（不明）、パラオ1例（台風後の滝）

5類感染症：

アメーバ赤痢18例（腸管アメーバ症16例、腸管外アメーバ症2例）
	感染地域：東京都1例、神奈川県1例、福井県1例、京都府1例、大阪府1例、福岡県1例、鹿児島県1例、国内（都道府県不明）7例、マレーシア2例、米国1例、ベトナム1例感染経路：性的接触7例（異性間2例、同性間2例、異性間・同性間不明3例）、経口感染4例、不明7例

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症13例
	菌検出検体：血液4例、尿3例、膿2例、喀痰1例、創部浸出液1例、胆汁1例、腸液1例菌種：E. aerogenes 5例、E. cloacae 4例、その他・不明4例感染経路：以前からの保菌4例、手術部位3例、不明6例

急性脳炎5例
	インフルエンザウイルスA型1例＿年齢群：0歳 RSウイルス1例＿年齢群：5歳病原体不明3例＿年齢群：0歳（1例）、1歳（1例）、6歳（1例）

クロイツフェルト・ヤコブ病2例（孤発性プリオン病古典型2例）
劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例（年齢群：70代）

後天性免疫不全症候群15例（AIDS 8例、無症候7例）
	感染地域：国内12例、タイ1例、中国1例、国内・国外不明1例感染経路：性的接触12例（異性間2例、同性間9例、異性/同性間1例）、性的接触（同性間）/静注薬物使用1例、母子感染1例、不明1例

侵襲性インフルエンザ菌感染症2例（菌検出検体：血液2例）
	年齢群：70代（1例）、80代（1例．死亡）

侵襲性肺炎球菌感染症16例（菌検出検体：血液12例、血液/髄液2例、髄液2例）
	年齢群：1歳（4例）、2歳（1例）、4歳（1例）、5歳（1例）、50代（3例）、60代（2例）、70代（2例）、80代（2例）

水痘（入院例に限る）6例（検査診断例2例、臨床診断例4例）
	年齢群：1歳（1例）、2歳（1例）、20代（1例）、30代（1例）、60代（2例）

梅毒20例（早期顕症I期8例、早期顕症II期7例、無症候5例）

播種性クリプトコックス症1例
	菌検出検体：血液感染地域：埼玉県年齢群：60代（死亡）

破傷風3例〔年齢群：70代（3例）〕

バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例
	遺伝子型：不明2例＿菌検出検体：血液1例、尿1例

風しん2例（検査診断例1例、臨床診断例1例）
	感染地域：東京都1例、石川県1例年齢群：25～29歳（1例）、40代（1例）累積報告数：298例（検査診断例187例、臨床診断例111例）

（補）2013年第43週から2014年第42週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例〔菌種：S. flexneri （B群）＿感染地域：タイ〕、E型肝炎3例〔感染地域（感染源）：北海道3例（ホルモン1例、焼肉1例、不明1例）〕、日本紅斑熱1例（感染地域：熊本県）、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症13例〔感染経路：医療器具関連4例、以前からの保菌3例（うち1例死亡）、手術部位1例、以前からの保菌/その他1例、その他2例、不明2例〕、急性脳炎1例（病原体不明＿年齢群：70代）、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例（70代）、水痘（入院例に限る）9例〔1歳（2例）、4歳（1例）、10代（1例）、30代（2例）、40代（1例）、60代（1例）、80代（1例）〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例（遺伝子型：不明＿菌検出検体：腹腔内ドレーン）、薬剤耐性アシネトバクター感染症1例（菌検出検体：喀痰＿感染経路：以前からの保菌）などの報告があった。

◆定点把握の対象となる5類感染症（週報対象のもの）

全国の指定された医療機関（定点）から報告され、疾患により小児科定点（約3,000 カ所）、インフルエンザ（小児科・内科）定点（約5,000 カ所）、眼科定点（約600 カ所）、基幹定点（約500 カ所）に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です（増減の目安は小数点第3位以下を含む）。
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インフルエンザ：定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は沖縄県（0.60）、千葉県（0.30）、長崎県（0.23）である。基幹定点からのインフルエンザ入院サーベイランスにおける報告数は9例と前週と比較して増加し、5県から報告があった。

小児科定点報告疾患：RSウイルス感染症の報告数は2,697例と増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約75%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期（前週、当該週、後週）と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は北海道（0.94）、群馬県（0.80）、福井県（0.73）である。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別の上位3位は山口県（3.23）、北海道（3.09）、岩手県（2.85）である。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は大分県（6.08）、徳島県（5.43）、岡山県（5.41）である。水痘の定点当たり報告数は第39週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は佐賀県（1.65）、長野県（1.61）、山形県（1.57）である。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は山形県（2.27）、佐賀県（2.26）、沖縄県（1.94）である。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は沖縄県（0.26）、山形県（0.13）、香川県（0.10）である。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第36週以降減少が続いている。都道府県別の上位3位は新潟県（0.82）、福島県（0.58）、宮崎県（0.50）である。

基幹定点報告疾患：マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別の上位3位は長崎県（2.00）、福島県（1.14）、富山県（1.00）、高知県（1.00）である。感染性胃腸炎（ロタウイルスに限る）の定点当たり報告数は減少した。群馬県から1例報告があり、年齢別では1～4歳であった。