発生動向総覧
〈第50週コメント〉 12月17日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
注意:感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核341例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢6例
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菌種:S. sonnei (D群)6例_感染地域:富山県2例、ミャンマー2例、ベトナム1例、タイ/ミャンマー1例
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腸管出血性大腸菌感染症44例(有症者22例、うちHUS 2例) |
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感染地域:国内44例 国内の感染地域:山口県11例*、滋賀県10例、静岡県3例、福岡県3例、東京都2例、愛知県2例、宮城県1例、千葉県1例、大阪府1例、兵庫県1例、広島県1例、宮崎県1例、鹿児島県1例、不明6例 * 第46週に報告された保育所における集団感染例を含む(O26 VT1) 年齢群:1歳(6例)、2歳(3例)、3歳(2例)、4歳(2例)、5歳(2例)、6歳(3例)、7歳(3例)、8歳(1例)、10代(5例)、20代(3例)、30代(4例)、40代(5例)、50代(3例)、70代(1例)、80代(1例) 血清型・毒素型:O26 VT1(15例)、O145 VT2( 9例)、O157 VT1・VT2(4例)、O121 VT2(3例)、O157 VT2(2例)、O86a VT2(1例)、O91 VT1(1例)、O111 VT1(1例)、O121 VT不明(1例)、O145 VT1(1例)、O145 VT不明(1例)、O157 VT不明(1例)、その他・不明(4例) 累積報告数:4,073例(有症者2,798例、うちHUS 99例.死亡2例)
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4類感染症: |
E型肝炎3例
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感染地域(感染源):宮城県1例(不明)、兵庫県1例(不明)、福岡県1例(豚肉/馬刺し)
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A型肝炎1例(感染地域:東京都)
重症熱性血小板減少症候群1例
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感染地域:高知県 年齢群:60代
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つつが虫病18例
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感染地域:千葉県4例、宮崎県2例、鹿児島県2例、東京都1例、岐阜県1例、静岡県1例、和歌山県1例、岡山県1例、広島県1例、高知県1例、長崎県1例、国内(都道府県不明)2例
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デング熱3例
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感染地域:タイ1例、フィリピン1例、マレーシア1例 累積報告数:335例(感染地域:国内161例*、国外173例、国内/国外1例) * 届出時期等により、厚生労働省公表分と異なる可能性があります。
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日本紅斑熱2例(感染地域:熊本県1例、宮崎県1例) マラリア1例(熱帯熱_感染地域:コスタリカ/コートジボワール)
レジオネラ症28例(肺炎型28例)
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感染地域:神奈川県4例、千葉県2例、愛知県2例、京都府2例、熊本県2例、茨城県1例、埼玉県1例、新潟県1例、富山県1例、石川県1例、岐阜県1例、三重県1例、大阪府1例、和歌山県1例、岡山県1例、山口県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)1例、中国1例、ブラジル1例、国外(国不明)1例 年齢群:30代(1例)、40代(3例)、50代(4例)、60代(6例)、70代(5例)、80代(8例)、90代(1例) 累積報告数:1,174例
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5類感染症: |
アメーバ赤痢12例(腸管アメーバ症10例、腸管外アメーバ症1例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:神奈川県2例、岐阜県1例、山口県1例、国内(都道府県不明)6例、インド1例、インドネシア/マレーシア/カナダ1例 感染経路:性的接触4例(異性間1例、同性間3例)、経口感染4例、不明4例
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ウイルス性肝炎1例〔B型_感染経路:性的接触(異性間・同性間不明)〕
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症9例 |
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菌検出検体:喀痰3例、血液2例、尿2例、膿1例、骨組織1例 菌種:E. coli 3例、K. pneumoniae 2例、その他・不明4例 感染経路:以前からの保菌4例、医療器具関連2例、手術部位1例、その他・不明2例
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急性脳炎9例 |
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インフルエンザウイルスA型5例_年齢群:3歳(2例)、5歳(1例)、8歳(2例) 病原体不明4例_年齢群:1歳(1例)、10代(3例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病2例 |
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孤発性プリオン病古典型2例
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症5例 |
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年齢群:40代(1例)、50代(1例.死亡)、60代(2例.ともに死亡)、70代(1例.死亡)
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後天性免疫不全症候群23例(AIDS 4例、無症候18例、その他1例) |
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感染地域:国内20例、タイ1例、ベトナム1例、国内・国外不明1例 感染経路:性的接触21例(異性間7例、同性間13例、異性/同性間1例)、不明2例
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ジアルジア症1例(感染地域:インド)
侵襲性インフルエンザ菌感染症3例(菌検出検体:血液3例) |
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年齢群:2歳(1例)、9歳(1例)、90代(1例)
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侵襲性髄膜炎菌感染症1例(菌検出検体:血液) |
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感染地域:沖縄県 年齢群:1歳
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侵襲性肺炎球菌感染症27例(菌検出検体:血液21例、血液/髄液4例、髄液2例)
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年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)、4歳(2例.うち1例死亡)、8歳(1例)、10代(1例)、40代(1例)、50代(2例)、60代(1例)、70代(9例)、80代(6例.うち1例死亡)、90代(2例)
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水痘(入院例に限る)3例(検査診断例1例、臨床診断例2例)
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年齢群:0歳(1例)、9歳(1例)、20代(1例)
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梅毒17例(早期顕症I期6例、早期顕症II期4例、無症候7例)
播種性クリプトコックス症2例
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菌検出検体:組織1例、血液/組織1例 感染地域:群馬県1例、埼玉県1例 年齢群:80代(2例)
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風しん2例(臨床診断例2例)
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感染地域:青森県1例、大阪府1例 年齢群:25~29歳(2例) 累積報告数:316例(検査診断例198例、臨床診断例118例)
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麻しん2例〔麻しん(検査診断例1例)、修飾麻しん1例〕
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感染地域:国内(都道府県不明)2例 年齢群:1歳(1例)、25~29歳(1例) 累積報告数:461例〔麻しん(検査診断例352例、臨床診断例38例)、修飾麻しん71例〕
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(補)2013年第50週から2014年第49週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎3例〔感染地域(感染源):北海道1例(不明)、岡山県1例(不明)、国内(都道府県不明)1例(不明)〕、日本紅斑熱2例(感染地域:三重県2例)、ライム病1例(感染地域:ドイツ)、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症7例(感染経路:以前からの保菌2例、手術部位1例、院内感染1例、不明3例)、急性脳炎14例〔単純ヘルペスウイルス3例_年齢群:6歳(1例)、50代(1例)、60代(1例).インフルエンザウイルスAH3 1例_年齢群:8歳.RSウイルス1例_年齢群:1歳.病原体不明9例_年齢群:1歳(1例)、5歳(1例)、8歳(1例)、10代(2例)、20代(2例)、30代(1例)、60代(1例)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例〔70代(1例)、80代(1例.死亡)、90代(1例)〕、侵襲性髄膜炎菌感染症3例〔感染地域(年齢群):大阪府1例(50代)、沖縄県1例(90代)、国内(都道府県不明)1例(40代.死亡)〕、水痘(入院例に限る)4例〔0歳(1例)、1歳(1例)、80代(2例)〕、播種性クリプトコックス症3例〔感染地域:東京都1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)1例.年齢群:60代(2例)、80代(1例)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanB _菌検出検体:喀痰)、薬剤耐性アシネトバクター感染症1例(菌検出検体:血液_感染経路:不明)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です(増減の目安は小数点第3位以下を含む)。

インフルエンザ:定点当たり報告数は第43週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は埼玉県(18.80)、岩手県(15.78)、北海道(14.26)である。基幹定点からのインフルエンザ入院サーベイランスにおける報告数は172例と前週と比較して増加した。都道府県別では40都道府県から報告があり、年齢別では0歳(11例)、1~9歳(60例)、10代(19例)、20代(1例)、30代(3例)、40代(6例)、50代(5例)、60代(14例)、70代(19例)、80歳以上(34例)であった。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は8,180例と第46週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約66%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第43週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は北海道(2.94)、新潟県(1.89)、山形県(1.63)である。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別の上位3位は福岡県(6.48)、北海道(5.26)、鳥取県(5.11)である。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第46週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は大分県(23.19)、鹿児島県(19.76)、宮崎県(19.08)である。水痘の定点当たり報告数は第39週以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は山形県(3.27)、山口県(2.67)、鹿児島県(2.18)である。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別の上位3位は沖縄県(4.38)、高知県(3.80)、愛媛県(3.62)である。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別の上位3位は沖縄県(0.15)、大分県(0.08)、島根県(0.04)である。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別の上位3位は新潟県(0.69)、香川県(0.31)、宮崎県(0.31)、佐賀県(0.22)である。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別の上位3位は富山県(2.20)、秋田県(1.13)、長野県(1.09)である。感染性胃腸炎(ロタウイルスに限る)の定点当たり報告数は第47週以降増加が続いている。14府県から38例報告があり、年齢別では0歳(3例)、1~4歳(22例)、5~9歳(6例)、10代(1例)、30代(2例)、40代(2例)、60代(1例)、70歳以上(1例)であった。
〈11月コメント〉
◆性感染症について(12月11日集計分、20~23ページ「グラフ総覧」参照) 4つの性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症)は性感染症定点医療機関(全国約1,000カ所)から毎月報告される。2014年11月分の報告を行った性感染症定点医療機関数は974(産婦人科・産科・婦人科:470、泌尿器科:406、皮膚科:86、性病科:12)であった。
●発生動向の概要
2014年11月は、対象4疾患の中では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多く、男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。以下疾患毎に、定点当たり報告数、過去5年間の同時期との比較(図2)、男女別・年齢群(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)別患者報告数又は定点当たり報告(図3:PDF参照)の概要を示す。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(11月) |
 性器クラミジア感染症:定点当たり報告数1.98(男性0.92、女性1.06) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でやや少なかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、女性では10~14歳の年齢群の報告を認めた。
性器ヘルペスウイルス感染症:定点当たり報告数0.71(男性0.26、女性0.45) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では40~44歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男性では5~9歳の年齢群、女性では5~9歳の年齢群の報告を認めた。男女ともに50代以降の報告が少なくないが、これらの報告の中には再発例が含まれている可能性がある。
尖圭コンジローマ:定点当たり報告数0.47(男性0.28、女性0.18) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。
淋菌感染症:定点当たり報告数0.70(男性0.54、女性0.16) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でかなり少なかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では20~24歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男性では10~14歳の年齢群、女性では5~9歳の年齢群の報告を認めた。
●若年層における定点当たり報告数推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向であり、2009~2010年から減少が鈍化していたが、男性では2013年以降増加に転じている。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年から減少傾向だが、2010年以降はほぼ横ばいであり、女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2009年以降は増減を繰り返し、ほぼ横ばいであった。尖圭コンジローマは男女ともに2006年以降減少傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいであった。淋菌感染症は男女ともに2003~2004年以降減少傾向であり、2007年以降はほぼ横ばいであったが、男性では2013年以降増加に転じている。
◆薬剤耐性菌について (12月11日集計分、24ページ「グラフ総覧」参照) 薬剤耐性菌感染症〔メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症、薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症〕は、2次医療圏毎に1カ所以上定められた病床数300以上の基幹定点医療機関(全国約500カ所)から毎月報告される。2014年11月分の報告を行った基幹定点医療機関数は474であった。なお、薬剤耐性アシネトバクター感染症は9月19日より全数把握対象疾患に変更となった。
●発生動向の概要 MRSA:定点当たり報告数2.89 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の63%を占めていた(図1:PDF参照)。
PRSP:定点当たり報告数0.38 定点当たり報告数は、2012年以降、以前の冬から初夏に多い傾向は認められていない。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は小児と高齢者に多く、5歳未満が全体の36%を占める一方、70歳以上が全体の43%を占めていた(図2:PDF参照)。
MDRP:定点当たり報告数0.03 定点当たり報告数は、例年夏から秋にかけて多い。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の63%を占めていた(図3:PDF参照)。
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