IDWR 2012年第15号 注目すべき感染症-麻しん・風しん2012年第1~15週-
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![]() ◆ 麻しん・風しん2012年第1~15週 2012年第1~15週(2012年1月2日~4月15日診断のもの)に報告された麻しんは104例であり、昨年同時期よりもやや減少した(図1)。また、速報グラフ第15週(以下速報)http://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/2012pdf/meas12-15.pdf で示しているように、都道府県別の報告数は愛知県29例、東京都17例、千葉県11例、神奈川県8例、埼玉県6例の順であり(速報図3、4)、人口100万人当たり報告数でみると、愛知県3.91、岡山県2.57、栃木県2.49、岐阜県2.40、山梨県2.32の順であった(速報図8)。一方、29道府県で報告がなかった。年齢群別の発生は昨年と同様の傾向で、0~1歳の症例が最も多いが、20歳以上の成人も全体の43%(45例)を占め、そのなかでは20代(20例)と30代(18例)が中心であった(速報図5、図6)。ワクチン接種歴別報告数では、接種歴のない症例が41例(39%)で最も多くを占めた(速報図5)。感染地域は国内が96例(92%)と大半を占め、国外(タイ3例、フィリピン1例、パキスタン1例)が5例、国内または国外(ベトナム1例、英国1例、インド1例)が3例であった。今年の発生動向で特記すべきこととして、2009年以降報告のなかった麻しん脳炎の合併例が2例報告された。2008年および2012年に報告された麻しん脳炎症例は計11例で、そのうち10例では接種歴が無いまたは不明であった(表1)。年齢は1歳1例、10代2例、20代3例、30代3例、40代2例であり、20代以上の成人の症例が73%(8例/11例)であった(表1)。
風しんは2011年、全数報告疾患となった2008年以降では最も多い年間報告数(374例.2012年4月18日現在)となった。さらに2012年第1~15週の累積報告数は122例であり、これは2011年の同時期の累積報告数(67例)と比較して約2倍となった(図2)。都道府県別の報告数は兵庫県31例、大阪府28例、東京都15例、千葉県7例、京都府6例、神奈川県5例、福岡県4例の順であり、人口100万人当たり報告数でみると、兵庫県5.55、大阪府3.16、京都府2.28、山形県1.71、滋賀県1.42、東京都1.14、千葉県1.13の順であった(図3)。男女別にみた年齢群別ワクチン接種歴別報告数では、男性94例(77%)、女性28例で男性が女性の3倍以上報告されており(図4)、年齢については男性の年齢中央値33.0歳(Q1-Q3*:22.5-39.0)、女性の年齢中央値24.5歳(Q1-Q3:15.8-32.0)であった。20歳以上の男性(76例)だけで報告数全体の62%を占めた(図4)。また、ワクチン接種歴については男女とも接種歴の無い症例が約30%であった。感染地域は全例が国内感染であった。
麻しんは、かつてのようないわゆる子どもの感染症ではなく、年齢にかかわらず命に関わる重篤な疾患である。また、風しんは一般的には数日で治癒する予後良好な疾患ではあるが、麻しんと同様、成人での流行が発生しうる感染症であり、さらに風しんウイルス感染に生じる大きな問題として、先天性風しん症候群(congenital rubella syndrome:CRS)がある〔参照:表2 感染症法施行(1999年4月)以降の報告例〕。これは妊娠前半期の妊婦の感染により、風しんウイルスが胎児に感染し、先天異常を含む様々な症状を呈する症候群である。2011年には夫から感染したと思われる妊婦の風しん症例が複数報告されたが、今年は昨年を上回る発生状況であり引き続きCRSの発生するリスクが高い状態であることに注意が必要である。 麻しん・風しんは、ともに特異的な治療法はないものの、予防接種で予防可能な感染症である。定期接種対象者である小児や中学1年相当・高校3年相当の年代(2008~2012年の5年間のみ)の者に加え、麻しん・風しんの患者に接する機会がある医療従事者・教育福祉関係者をはじめ、海外渡航を予定している者、今後妊娠を希望する女性などの成人の方も、麻しん・風しんの罹患歴や接種歴がない、または不明な場合には積極的に予防接種を受けることを検討していただきたい。 麻しんと風しん(先天性風しん症候群を含む)のこれまでの発生状況や疾患の説明は、それぞれ http://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html、 http://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella.html をご参照ください。 |