IDWR 2017年第14号<注目すべき感染症>麻しん 2017年第1~14週
麻しんは高熱、全身の発疹、カタル症状を特徴とし、空気感染を主たる感染経路とする感染力の非常に強いウイルス感染症である。肺炎、脳炎等を合併して死亡することもあり、事前に予防接種を受けることで予防が可能である。日本は現在、2015年3月に国際的な認定を受けた国内における麻しんの排除状態を維持すること(麻しんに関する特定感染症予防指針、2007年12月28日告示:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000112477.pdf)を麻しん対策の目標にしている。しかし、インドネシア等の東南アジア(http://www.searo.who.int/entity/immunization/data/en/、
2017年第1~14週に診断された麻しん症例数(2017年4月12日現在)は114例であり(前年同時期は6例)、うち、検査診断例が109例(96%)であった(麻しん:58例、修飾麻しん:51例)。男性77例、女性37例であり、年齢中央値は27歳(範囲0~63歳)であった。この間の都道府県別の報告数は山形県35例、三重県20例、東京都13例、広島県11例、香川県5例、神奈川県と福岡県各4例、長野県、兵庫県、大分県各3例、埼玉県と京都府各2例、北海道、宮城県、茨城県、山梨県、愛知県、滋賀県、大阪府、奈良県、島根県各1例であった。推定感染地域は国内が93例、国外が21例(インドネシア11例、タイ、タイ/カンボジア、タイ/マレーシア、ガボン、シンガポール、ニュージーランド、ネパール、ベトナム、マレーシア、ミャンマー各1例)と報告されていた。ワクチン接種歴については、接種歴無しが21例(18%)、不明が45例(39%)、1回が34例(30%)、2回が14例(12%)であった。2回接種歴有りの14例のうち7例は軽症で非典型的な麻しん(修飾麻しん)であった。接種歴無しの21例は、20例が検査診断例で、そのうち16例は、より重篤で典型的な麻しんであった。麻しんウイルスの遺伝子型は46例で報告されており、その内 訳はD8型42例(91%)、B3型3例(7%)、H1型1例(2%)であった。渡航歴がある場合の渡航先は、D8型はインドネシア、タイ、タイ/カンボジア、ニュージーランド、B3型はガボンとシンガポール、H1型はミャンマーであった〔麻疹ウイルス分離・検出状況(2017年3月30日現在)、3例はNot Typed:http://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-measles.html〕。
麻しんは、年齢にかかわらず命に関わる重篤な疾患である。また、その感染拡大防止のためには、集団免疫を維持するための麻しん風しん混合ワクチンの2回の定期接種の徹底に加えて、感染者の早期探知と迅速な対応も欠かせない。発熱・発疹等、麻しんが疑われる症状が見られた場合には医療機関に早急に連絡し、受診することが重要である(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/
さらに、日本国内に海外から麻しんウイルスが輸入されないために、海外への渡航者に対しては、ワクチン接種歴等を確認の上、必要に応じて渡航前にワクチン接種が行われることが推奨される(http://www.forth.go.jp/news/2017/04101553.html、
麻しんの感染症発生動向調査に関する背景・詳細な情報と最新の状況については、以下を参照いただきたい:
●麻疹
国立感染症研究所 感染症疫学センター |