COVID-19サーベイランスの定点化以降の週報での情報還元について
公開日:2023年7月27日
(IASR Vol.44 p102-103:2023年7月号)
新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)および自治体公表情報を用いて、これまで国立感染症研究所は新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報(以下、週報)1)として2021年第41週~2023年第18週まで還元してきた。2022年9月26日より全国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全数届出が見直されたのを経て2)、2023年5月8日に感染症法上の位置付けが5類感染症へ変更され、全国約5,000カ所のインフルエンザ/COVID-19定点において発生動向を把握している。5類感染症へ変更後も流行動態の把握、新規入院患者や重症者の発生動向、変異株の発生動向など、継続して評価すべき項目は変わらないと考えられ、感染症発生動向調査週報(IDWR)に加えて週報を発行している(新型コロナウイルス感染症サーベイランス速報・週報:発生動向の状況把握)。定点移行後の週報では、発生動向を把握するためにHER-SYSに代わって感染症サーベイランスシステムおよび医療機関等情報支援システム(G-MIS)のデータを、ゲノムサーベイランスデータとともに用いている。G-MISとは、病院や診療所が医療資源の確保状況や施設の稼働状況を登録して一元的・リアルタイムにモニタリングするシステムであり、2023年5月9日現在、約53,000の医療機関が登録されている3)。
新たな週報では、定点から報告されたCOVID-19の年齢群別あるいは都道府県別の週当たり報告数に加えて、G-MISから週ごとの新規入院患者数、ICU(intensive care unit)入院中の患者数およびECMO(extracorporeal membrane oxygenation)または人工呼吸器管理中の患者数、入院患者数および中等症1または2の入院患者数を用いている。新規入院患者数は週ごとに集計して用いているが、その他の指標は新規入院ではなく在院中の患者の数であるために7日間平均値を用いている。
G-MISおよびHER-SYSにおける2022年第1週~2023年第18週までの新規入院患者数を図1に示す。全数届出の見直し以降にHER-SYSの方が報告数が多くなった一因として、入院を要する患者についてはG-MISで登録されている医療機関でもHER-SYSには届け出られていたことが考えられる。オミクロンとその亜系統による流行波のトレンドとレベルは、G-MISにおける新規入院患者数においても把握されていた。
重症に関する指標の1つとしてECMOまたは人工呼吸器管理中の患者数(実績数)を用いている。重症化までの時間経過を反影して新規入院者数とピークの時期がずれているが、第7波と第8波ではほぼ同じ稼働数であったことが観察された(図2)。
COVID-19が5類感染症に移行した後も社会的なインパクトを考慮すると定期的なアセスメントが必要な状況であると考えられる。そのために、提供する週報を今後も有効に活用していただければ幸いである。本稿では用いている指標と、特にG-MISについて紹介した。
参考文献
- 新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報:発生動向の状況把握
- IASR 43: 271-272, 2022
- 厚生労働省, 医療機関等情報支援システム(G-MIS)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00130.html(外部サイトにリンクします)
国立感染症研究所感染症疫学センター第六室
閻 芳域 滝沢木綿 北村則子 大谷可菜子
木村哲也 神垣太郎