アメーバ赤痢
更新日 (last updated):2025年10月23日
概要
アメーバ赤痢は、赤痢アメーバを病原体とする感染症である。主な感染経路は病原体に汚染された飲食物の摂取や糞口感染であり、性的接触の際の糞口感染も報告されている。粘血便や下痢などの症状を呈し、時に肝膿瘍などの腸管外病変を形成する。
病原体
アメーバ赤痢の病原体は、Entamoeba 属の原虫である赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)である。
疫学
中・低所得国を中心に全世界で報告されている。
日本国内では2016年に1200例近くが報告されていたが、2017年に国内で使用されていた血清診断キットの製造中止に伴い、300例まで報告数が低下している。
感染経路
主な感染経路は、赤痢アメーバのシスト(嚢子)に汚染された飲食物の摂取、感染者からの糞口感染である。性的接触の際の糞口感染も報告されている。
臨床像
潜伏期間は通常2から3週間程度だが、数年に及ぶこともある。下痢、腹痛、粘血便、しぶり腹が出現する。発熱することは少ない。肝膿瘍を形成した場合は、発熱や腹痛などを起こすことがある。無症候性キャリアも多く、長期にわたってシストを排出し続けることがある。
病原体診断
糞便や大腸粘膜、膿瘍穿刺液からの原虫の検出、抗原検出、血清からの抗体検出による。
治療
抗原虫薬による治療が行われる。
予防法・ワクチン
手洗いの励行が重要である。また、流行地域での水や生の食品の喫食を避ける。
承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法における、五類感染症の全数把握対象疾患に定められている。
