疥癬
概要
疥癬は、ヒゼンダニを病原体とする感染症であり、通常疥癬と角化型疥癬に分かれる。主な感染経路は感染者の皮膚との接触であり、強い痒みや疥癬トンネルと呼ばれる特徴的な皮疹が見られる。
病原体
疥癬の原因寄生虫は、ヒゼンダニ科に属するヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)である。雌成虫は角質層にトンネルを掘り進みながら卵を産み、増殖する。寄生するダニの数は通常疥癬では数十匹であり感染力は弱いが、角化型では100万から200万匹が寄生し非常に感染力が強い。
疫学
世界中で発生し、特に発展途上国や熱帯地域に多い。
日本国内では年間8万から15万人の患者が発生していると推定されており、医療機関、高齢者施設や養護施設などでの集団発生事例が散発している。
感染経路
主な感染経路は、疥癬患者との直接的な皮膚の接触である。性的接触でも感染する。角化型疥癬では患者が使用した寝具や衣類を介して感染することもある。
臨床像
潜伏期間は4から6週間程度である。通常疥癬では、夜間に悪化する激しい痒みや、指の間、手首の内側、手のひら、足の裏などに疥癬トンネルと呼ばれる特徴的な皮疹が見られる。
角化型疥癬では、灰白色の角質が増加し、痂皮に覆われた状態となり、痒みを感じないこともある。
病原体診断
皮疹部からの虫体や卵等の検出による。
治療
駆虫薬の内服や外用薬による治療が行われる。
予防法・ワクチン
患者に接触する際は個人防護具の使用などの接触感染対策が必要である。
角化型疥癬患者の使用した寝具類等は50℃以上の湯や乾燥機でダニを駆除する。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法、学校保健安全法では定められていない。
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