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狂犬病

更新日 (last updated):2025年6月26日

概要

狂犬病は狂犬病ウイルスを病原体とする感染症である。主な感染経路は病原体を保有するイヌ、ネコおよびコウモリなどの動物による咬傷や引っかき傷から病原体が侵入することによる。発熱等のかぜ症状から始まり、不安感、恐水症、麻痺、および幻覚などの神経症状を呈し、昏睡から呼吸障害により死にいたる。発症した場合の致命率はほぼ100%であるが、適切なワクチンの接種により発症予防が可能である。

病原体

狂犬病ウイルスはラブドウイルス科リッサウイルス属に属する1本鎖RNAウイルスである。

疫学

アジア・アフリカ地域を中心に世界に広く分布しており、年間5万人以上が死亡している。日本国内での感染例は1956年を最後に報告されていないが、海外でイヌに咬まれたことによる輸入症例が数例報告されている。

感染経路

主な感染経路は病原体を保有するイヌ、ネコおよびコウモリなどの動物による咬傷や引っかき傷が唾液に汚染され、傷口からウイルスが侵入することによる。

臨床像

潜伏期間は通常1から3か月だが、数年に及ぶ症例もある。発熱等のかぜ症状から始まり、不安感、恐水症、麻痺、および幻覚などの神経症状を呈し、昏睡から呼吸障害により死にいたる。発症した場合の致命率はほぼ100%である。

病原体診断

唾液、髄液を用いたウイルス遺伝子検出およびウイルスの分離・同定、うなじ毛根部を用いたウイルス抗原検出による。死後の診断では脳組織が用いられる。

治療

発症後の有効な治療法はない。

予防法・ワクチン

流行地域での動物との接触を避ける。また、流行地域への渡航前には狂犬病ワクチンの接種(曝露前予防接種)が推奨される。

流行地域で狂犬病が疑われる動物に咬まれたり、引っかかれた場合は、まず傷口を石鹸と水でよく洗い流し、できるだけ早期に狂犬病ワクチンの接種(曝露後予防接種)を受ける。感染動物との接触状況によっては、さらに狂犬病免疫グロブリンやモノクローナル抗体の投与を行うこともある。

適切なワクチン接種が行われている犬に咬まれた場合、曝露後予防接種の必要はない。

法的取り扱い

感染症法では四類感染症に定められている。

関連情報

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