マラリア
概要
マラリアは、マラリア原虫を病原体とする感染症である。主な感染経路は、病原体を保有するハマダラカによる刺咬である。発熱や悪寒、頭痛などの症状を呈し、重症化すると脳症や腎障害を起こし、死亡することがある。
病原体
マラリアの病原体はPlasmodium属の原虫(マラリア原虫)である。熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、卵形マラリア原虫(P. ovale)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、二日熱マラリア原虫 (P. knowlesi)や各種のサルマラリア原虫 (P. cynomolgi など)がヒトに感染する。ハマダラカ属の蚊が媒介する。
疫学
世界では年間2億人以上が罹患し、多くは熱帯地域で発生するが、三日熱マラリアは温帯地域でも報告されている。
日本では現在定着していないが、海外からの輸入例が毎年報告されている。
感染経路
主な感染経路は、感染したハマダラカに刺されることによる。ヒトからヒトへの直接的な感染はない。
臨床像
潜伏期間は1から4週間であるが、原虫種によって異なり、休眠期を有する三日熱マラリアや卵形マラリアでは1年以上という報告もある。主な症状は発熱、倦怠感、頭痛、嘔吐である。重症化すると脳症、腎障害、重症貧血や出血傾向を生じ、死に至ることがある。特に熱帯熱マラリアは重症化しやすい。
病原体診断
血液塗抹標本を染色し光学顕微鏡で原虫を検出する形態学的検査、遺伝子検出、フローサイトメトリー法による。
治療
抗マラリア薬による治療が行われる。三日熱マラリアや卵形マラリアは再発予防のため、急性期治療の後、根治治療が必要となる。
予防法・ワクチン
ハマダラカに刺されないことが重要である。忌避剤の使用や肌の露出を避けるといった対策が推奨される。
国内で承認されたワクチンはないが、抗マラリア薬による予防内服が承認されている。
法的取り扱い
感染症法における四類感染症に定められている。