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日本脳炎

更新日 (last updated):2025年10月23日

概要

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを病原体とする感染症である。主な感染経路は蚊の刺咬である。高熱や頭痛、嘔吐などの症状を呈し、重症化すると痙攣や麻痺などの神経障害を伴い死亡することがある。

病原体

日本脳炎ウイルスはオルソフラビウイルス科フラビウイルス属に属する1本鎖RNAウイルスである。

疫学

東アジアから東南アジアや南アジアにかけて広く分布し、オセアニアの一部地域でも報告されている。世界では毎年10万の臨床例があると推定されている。

日本国内では1966年の流行後、ワクチン接種により報告数は減少した。1992年以降は年10例前後の報告で、患者の多くは高齢者である。

感染経路

主な感染経路は、ウイルスを保有するコガタアカイエカやオーストラリアイエカなどの蚊に刺されることによる。ヒトからヒトへの直接的な感染はない。

臨床像

潜伏期間は6から16日(通常7から10日)。高熱や頭痛、嘔吐、めまいなどの症状で始まり、続いて項部硬直や意識障害、筋強直、不随意運動、麻痺、昏睡などが現れる。

致命率は20から40%と高い。生存者の約半数に麻痺、精神発達遅延、精神障害等の重度の精神神経学的後遺症が残る。

病原体診断

血液、髄液検体からのウイルス分離・同定、ウイルス遺伝子の検出、血清学的検査による。

治療

特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。

予防法・ワクチン

蚊に刺されないことが重要である。忌避剤の使用や肌の露出を避けるといった対策が推奨される。

日本脳炎ワクチンが有効であり、定期接種として用いられている。 

法的取り扱い

感染症法における四類感染症に定められている。

学校保健安全法における第二種感染症に定められている。

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