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南米出血熱

更新日 (last updated):2025年7月24日

概要

南米出血熱は、アレナウイルス科のウイルスを病原体とする出血熱の総称で、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ベネズエラ出血熱、ブラジル出血熱、チャパレ出血熱がある。主な感染経路は、ウイルスを保有するネズミや、患者との接触である。発熱や消化器症状を呈し、出血傾向やショックなどの重篤な症状を伴い死亡することがある。

病原体

原因ウイルスはフニンウイルス(アルゼンチン出血熱)、マチュポウイルス(ボリビア出血熱)、 ガナリトウイルス(ベネズエラ出血熱)、 サビアウイルス(ブラジル出血熱)、チャパレウイルス(チャパレ出血熱)で、いずれもアレナウイルス科に属する1本鎖RNAウイルスである。自然宿主は南米に生息するげっ歯類とされる。

疫学

アルゼンチン出血熱はアルゼンチン、ベネズエラ出血熱はベネズエラ、ブラジル出血熱はブラジル、ボリビア出血熱およびチャパレ出血熱はボリビアで患者が報告されている。アルゼンチン出血熱は現地でのワクチンの普及により報告数が減少した。日本においてはいずれも患者の報告はない。

感染経路

主な感染経路は、ウイルスを保有しているネズミとの接触や、ネズミの糞尿によって汚染された食品の摂取、食器の使用、塵や埃の吸入である。患者との接触によって感染することもある。

臨床像

潜伏期間は7から14日。発熱や消化器症状を呈し、出血傾向やショックなどの重篤な症状を伴い死亡することがある。

病原体診断

血液などからのウイルスの分離・同定、ウイルス遺伝子検出、血清学的検査による。

治療

特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。

予防法・ワクチン

流行地域でのネズミ(ネズミの糞や尿の付着物を含む)や患者との接触を避ける。医療現場では個人防護具などの接触感染対策が必要である。

国内で承認されたワクチンはない。

法的取り扱い

感染症法における一類感染症に定められている。

学校保健安全法における第一種感染症に定められている。

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