流行性角結膜炎
更新日 (last updated):2025年7月24日
概要
流行性角結膜炎はアデノウイルスを病原体とする感染症で、主な感染経路は接触感染である。瞼の浮腫や流涙などの症状を呈し、新生児や乳幼児では偽膜性結膜炎や角膜穿孔を起こすことがある。
病原体
アデノウイルスはアデノウイルス科に属する2本鎖DNAウイルスで、 51種類の血清型および52型以降の遺伝型があり、A~Gの7種に分類される。流行性角結膜炎の原因となるのは主にD種の8型、19型、37型、53型、54型および56型などである。
疫学
アデノウイルス感染症自体は年間を通じてみられるが、流行性角結膜炎としては特に夏期に多い。発症は5歳以下の小児に多くみられるが、成人を含む幅広い年齢層から報告がある。
感染経路
主な感染経路は、ウイルスに汚染された手指や、タオルなどの共用物を介した接触感染である。
臨床像
潜伏期間は8から14日程度。瞼の浮腫や流涙などを主症状とする。新生児や乳幼児では偽膜性結膜炎を起こし、細菌の混合感染で角膜穿孔を起こすことがある。
病原体診断
ウイルスの分離・同定、ウイルス遺伝子検出、血清学的検査による。
治療
特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。
予防法・ワクチン
患者の分泌物で汚染された器具類等は、滅菌または消毒を行う。また、手洗いを徹底し、タオルや点眼液など目に触れるものは個人用とするといった接触予防策が有効である。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法における、五類感染症の定点把握対象疾患に定められている。
学校保健安全法における第三種感染症に定められている。
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