リステリア症
更新日 (last updated):2025年9月25日
概要
リステリア症は、リステリア・モノサイトゲネスを病原体とする感染症である。主な感染経路は、病原体に汚染された乳製品や加工肉などの摂取による経口感染、および母子感染である。発熱や頭痛などの症状を呈し、重症化すると髄膜炎や敗血症を起こす。母子感染の場合は流産や早産の原因となる。
病原体
主な原因菌は、リステリア属のグラム陽性桿菌であるリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes) である 。
疫学
欧米では未殺菌乳やナチュラルチーズ、サラダなどの食品を介した集団発生が多数報告されている。
日本国内では集団発生は確認されておらず、散発例にとどまっている。
感染経路
主な感染経路は経口感染であり、未殺菌乳やナチュラルチーズ、生ハムなど、病原体に汚染された非加熱の食品の摂取による。
臨床像
潜伏期間は1日から1カ月程度(通常約3週間)。発熱、頭痛、嘔吐などを呈し、重症化すると意識障害や痙攣を伴う髄膜炎や敗血症を起こす。特に妊婦では胎児に垂直感染が起こり、流産や早産を引き起こす。
病原体診断
髄液や血液からの菌の分離・同定、遺伝子検出、血清学的検査による。
治療
抗菌薬による治療が行われる。
予防法・ワクチン
未殺菌乳やナチュラルチーズ、生ハム、魚介類加工品など、冷蔵庫に長期間保存され、加熱せずにそのまま食べられる食品の摂取には注意が必要である。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法、学校保健安全法では定められていない。
リステリア・モノサイトゲネスは、食品衛生法における病因物質に定められている。