ロタウイルスによる感染性胃腸炎
概要
ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、ロタウイルスを病原体とする感染症である。主な感染経路は糞口感染である。嘔吐や水様性下痢、発熱などの症状を呈し、けいれん、脳炎・脳症などの重篤な合併症がみられることがある。
病原体
ロタウイルスはセドレオウイルス科ロタウイルス属に属する2本鎖RNAウイルスである。AからL(Eを除く)の11群に分類され、ヒトで最も問題となるのはA群ロタウイルス(RVA)である。
疫学
RVAは世界中で報告があり、おおむね5歳までにほとんどの小児が感染する。一度の感染では十分な防御免疫ができず、成人を含め生涯に複数回発症することもある。
感染経路
主な感染経路は糞口感染である。
臨床像
潜伏期間は1から2日程度。主な症状は下痢、嘔吐、発熱、腹痛である。通常は 1週間程度で自然治癒するが、栄養不良や免疫不全の場合は長引く傾向がある。また、胃腸炎に関連したけいれん等の合併症で死亡に至る、あるいは、後遺症を残すこともある。
病原体診断
便検体からの迅速診断キットによる抗原検出、ウイルス遺伝子の検出、ウイルスの分離・同定による。
治療
特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。
予防法・ワクチン
吐物や糞便に汚染されたおむつなどの適切な処理、手洗いの徹底、汚染された衣類等の次亜塩素酸ナトリウム消毒などの処置が有効である。ロタウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、流水とせっけんを用いてしっかり手洗いする必要がある。
経口弱毒生ワクチンが有効である。定期接種として、5価のワクチンは生後6週から32週までに3回、1価のワクチンは生後6週から24週までに2回の接種が行われている。
法的取り扱い
感染症法における、五類感染症の定点把握対象疾患に定められている。
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