性器ヘルペスウイルス感染症
概要
性器ヘルペスウイルス感染症は、単純ヘルペスウイルス(HSV : Herpes Simplex Virus)による感染症である。主な感染経路は性行為であり、感染すると性器やその周辺に疼痛を伴う水疱・潰瘍を呈する。妊婦が性器ヘルペスを発症し、出産時に新生児がHSVに感染した場合、新生児ヘルペスとなることがある。
病原体
原因ウイルスはヘルペスウイルス科に属する単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)および2型(HSV-2)である。
疫学
世界中で報告がある。
日本国内では20代から30代に報告が多い。
感染経路
主な感染経路は、性行為による感染である。無症状でも性器粘膜や、唾液を含む分泌液中にウイルスが存在する場合、感染源となる。 また、妊婦が性器ヘルペスに罹患し、出産時にウイルスを排出していた場合には、新生児がHSVに感染することがある。
臨床像
潜伏期間は2から21日程度(通常3から7日)。HSVの初感染によって起こる初発では、外陰部の不快感や搔痒感の後、発熱や、痛みを伴う小水疱・潰瘍が外陰部に出現する。初発の後、HSVは潜伏感染し、繰り返し再発する。再発では症状は軽く、1週間以内に治癒する。
病原体診断
病変部からのウイルスの分離・同定、ウイルス抗原検出、ウイルス遺伝子検出など による。
治療
抗ウイルス薬による治療が行われる。
予防法・ワクチン
性行為の際にはコンドームを使用する。母子感染については、妊婦の早期診断と母子感染対策が有効である。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法における、五類感染症の定点把握対象疾患に定められている。
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