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重症急性呼吸器症候群(SARS)

更新日 (last updated):2025年10月23日

概要

感染症法上の重症急性呼吸器症候群(SARS : Severe Acute Respiratory Syndrome)は、SARSコロナウイルスを病原体とする重症呼吸器感染症である。主な感染経路は飛沫および接触感染である。発熱や呼吸器症状を呈し、重症化すると肺炎や急性呼吸窮迫症候群を起こし、死亡することがある。

病原体

SARSコロナウイルスは、コロナウイルス科ベータコロナウイルス属の1本鎖RNAウイルスである。 

疫学

2002年11月に中国広東省で発生し、アジアや北米など32の地域と国へ拡大し、報告症例は約8000例、死亡者は約700例にのぼった。2003年7月に世界保健機関(WHO)によって終息宣言が出され、以降、報告はない。

日本国内では報告された可能性例は全て否定され、国内流行はなかった。

感染経路

主な感染経路は、飛沫および接触感染である。

臨床像

潜伏期間は2から10日程度(通常5日程度)。発熱、悪寒、筋肉痛などのインフルエンザ様症状で始まり、2週目に非定型肺炎へ進行し咳嗽や呼吸困難、下痢がみられる。重症化すると急性呼吸窮迫症候群に進行し、死亡することがある。

病原体診断

喀痰、鼻咽腔ぬぐい液、尿、便からのウイルスの分離・同定、ウイルス遺伝子検出、血液からの抗体検出による。

治療

特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。

予防法・ワクチン

手洗いや咳エチケットなどの飛沫予防策、接触予防策が有効である。患者に接触する際は個人防護具の使用などの接触感染対策が必要である。

国内で承認されたワクチンはない。

法的取り扱い

重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)は、感染症法における二類感染症に定められている。

学校保健安全法における第一種感染症に定められている。

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