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感染症サーベイランスシステムの病原体検出情報システムに報告された新型コロナウイルス感染症に関する症例について

公開日:2023年7月27日

(IASR Vol.44 p105-106:2023年7月号

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が2020年2月1日に指定感染症に定められて以降、全国の地方衛生研究所等で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査が実施されてきた。これらの検査結果は、感染症サーベイランスシステムの病原体検出情報システム(IASS)へ報告および蓄積され、病原微生物検出情報(IASR)にてデータの還元を行ってきた(515s01.gif)。

本稿ではIASSに登録されている診断名が、1.新型コロナウイルス感染症、または2.新型コロナウイルス感染症疑いの症例、から検出された病原体(検体採取日:2020年1月~2022年12月、病原体検出情報2023年5月29日現在)について報告する。

当該期間に報告された1.と2.の合計(症例数)は352,025例、そのうちSARS-CoV-2陽性例は80,629例であった。SARS-CoV-2以外にも、ライノウイルスやヒトメタニューモウイルスなどが報告されていた。

症例数と陽性数および陽性率(陽性数/症例数)には月ごとに増減がみられ、症例数、陽性数、陽性率のすべての増加が、2020年4月、2020年7月、2020年11月~2021年1月、2021年4月、2021年8月、2021年12月~2022年1月、2022年7~8月、2022年12月にみられた()。この時期は、厚生労働省(厚労省)より公表されてきた検査陽性者数(厚労省のオープンデータ)が、高いレベルへと大きく増加した時期と一致した(514tf01.gif)。症例数、陽性数、陽性率の3つの指標が増加するパターンは、罹患率が増加した際に想定される傾向である(感染を疑ったために実施するSARS-CoV-2の検査数も増え、検査を行った場合、結果が陽性である確率も増加する)。一方、2020年6月〔陽性例(%):126例(2.5%)〕と、2021年11月〔41例(6.7%)〕は、症例数、陽性数、陽性率がすべて低いレベルに減少した()。このパターンは、罹患率が減少した際に想定される傾向(感染が疑われる症例が減少したため実施する検査数も減り、検査を行った場合、結果が陽性である確率も減少する)であり、この期間は厚労省のオープンデータにおいても検査陽性者数が大きく減少した。IASSで把握してきた症例数、陽性数、陽性率の3つの指標と、厚労省のオープンデータにより報告された検査陽性者数のトレンド(傾向)とレベル(水準)が経時的に一致していたことが分かる。2つ以上の情報源を用いた状況把握の評価は、より信頼性が高いと考えられ、IASSからのこのような情報は、検査数を考慮したうえでの陽性数の解釈を可能にする。

2023年5月8日以降、COVID-19は5類感染症の定点把握疾患に移行したことから、季節性インフルエンザのように複数の指標を用いた継続的な監視が必要と考えられる1,2)。また、COVID-19が疑われた症例の中には、ライノウイルス等の一般的な呼吸器感染症ウイルスの関与が認められたことからも、病原体の検査が重要な感染症対策の1つであると改めて確認できた。複数の情報源を取り入れることにより、より確信を持った発生動向の解釈が可能になり、IASSからの補完的な情報3)はこれまでと同様に、国の強固なサーベイランス体制に重要と考える。

参考文献

  1. IASR 43: 246-247, 2022
  2. IASR 43: 271-272, 2022
  3. IASR 速報グラフ, 診断名: インフルエンザ様疾患由来ウイルス
    https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data123j.pdf(外部サイトにリンクします)(PDF:10.5 KB)

国立感染症研究所感染症疫学センター第四室

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