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JANISにおけるMRSA分離状況

公開日:2024年3月26日

(IASR Vol.45 p37-38:2024年3月号

厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(Japan Nosocomial Infections Surveillance:JANIS)には、検査部門、全入院患者部門、手術部位感染部門、集中治療室部門、および新生児集中治療室部門の5部門があり、検査部門と全入院患者部門は薬剤耐性菌のサーベイランスである。

2022年の公開情報JANIS検査部門年報1)によると、入院患者における黄色ブドウ球菌分離患者数に占めるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)分離割合(以下、MRSA分離割合)は45.6%であった(図1)。2008年以降、JANIS参加医療機関数増加に付随した検体提出患者数の増加にともない、MRSA分離患者数も増加傾向を示したが、2019年をピークにやや減少している2)。それに対して、MRSA分離割合は2008年の60.0%から減少傾向を示しており、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行期以降も減少が続いている(図1)。

2014年には、診療報酬の改定とともに病床数200床未満の医療機関もJANISへの参加が可能となった。その影響で、2015年以降には参加医療機関数の増加がみられ、MRSA分離患者数も増加している。しかし、200床以上と200床未満の医療機関に分けて集計すると、MRSA分離割合は200床以上の医療機関においては減少傾向を示し、2022年は43.6%であった。一方、200床未満の医療機関においては56%強で推移し、施設特性の違いが顕著に認められた(図2)。

また、都道府県別に2022年のMRSA分離割合をみてみると、全国平均の45.6%を超えた都道府県数は、東日本が8県であったのに対して西日本は19府県(p<0.05)であった。さらにMRSA分離割合の高かった上位5県のうち、4県が西日本であった(図3)。

JANIS検査部門では、耐性菌の遺伝子情報(耐性遺伝子、病原関連遺伝子やMLST等)ならびにゲノム情報が取り扱われていない。今後のMRSAサーベイランスにおいては、菌の病原性情報を包含したゲノムサーベイランスが必須となる。薬剤耐性研究センターでは、医療施設から菌株を収集してゲノム情報を薬剤感受性データ等の菌株情報と連結させたサーベイランスJARBS(Japan Antimicrobial Resistant Bacterial Surveillance)を立ち上げた3)。JARBSは薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(NAP)2023-20274)の取り組みにも掲げられている。今後、MRSAについても同様の取り組みが継続的に実施されることが重要と考えられる。

参考文献

  1. 公開情報 JANIS検査部門 2022年年報 病床数別公開情報(全集計対象)
    https://janis.mhlw.go.jp/report/open_report/2022/3/1/ken_Open_Report_202200.pdf(外部サイトにリンクします)(PDF:3.5 MB)
  2. JANIS, 資料
    https://janis.mhlw.go.jp/material/index.html(外部サイトにリンクします)
  3. Kayama S, et al., Nat Commun 14: 8046, 2023
  4. 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2023-2027
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/ap_honbun.pdf(外部サイトにリンクします)(PDF:1,669 KB)
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/ap_gaiyou.pdf(外部サイトにリンクします)(PDF:678 KB)

国立感染症研究所薬剤耐性研究センター
久恒順三 川上小夜子 保阪由美子 菅井基行

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