新型コロナウイルス感染症の罹患後症状実態調査
公開日:2024年6月28日
(IASR Vol. 45 p91-93: 2024年6月号)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、急性期から持続する症状と急性期から回復した後に新たに出現する症状があり、感染者の心身の健康や社会経済生活に中・長期的に影響を及ぼす可能性が指摘されている1)。しかし、その実態については、流行株による相違や非感染者との比較も含めて不明な点が多い。本研究は、異なる感染時期のCOVID-19罹患者の感染3カ月~3年後における罹患後症状の実態を把握し、COVID-19罹患にともなう健康や生活への中・長期的影響について明らかにすることを目的として、以下の調査研究を行った2)。
入院患者を対象とした調査として、国内の共同研究機関にCOVID-19治療のために入院し、生存退院した者を対象とした4つの追跡調査(20歳以上の男女約2,500人を調査)、および国内の3自治体の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)に登録された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者ならびに性・年齢等をマッチさせた非感染者を対象とした住民調査(5~79歳の男女約6.1万人を調査)を実施した(表1)。
入院患者調査における罹患後症状の頻度は、感染後3カ月時点で53%(調査1: 第6波)、1年後45%(調査2: 第4~5波)、2年後26%、48%(調査3: 第1~3波、調査4: 第2~5波)であった。これらの調査結果より、入院患者では感染1年後まで半数近くが何らかの罹患後症状を有していること、さらに、2年経過後も4分の1から半数の者が罹患後症状を有することが明らかとなった(表2)。
軽症者を中心とした成人の住民調査における罹患後症状(非感染者においては2カ月以上遷延する症状)の頻度は、八尾市調査で感染者15%(非感染者: 4%、第4~6波)、品川区調査で感染者12%(非感染者: 6%、第7波)、札幌市調査で感染者23%(非感染者: 9%、第1~6波)と、調査間でばらつきを認めたものの、いずれの調査においても非感染者に比べて2-3倍高かった(表3-1)。5~17歳の小児における罹患後症状の頻度は八尾市調査、札幌市調査ともに6%であり、非感染者における2カ月以上続く症状の頻度(2-3%)と比べて2-3倍高いことが示された(表3-2)。
今後、罹患後症状にともなう生活への影響について詳細な分析を行っていくとともに、さらなる追跡調査を行いSARS-CoV-2感染による長期的な影響を検討していく。
謝辞:本調査にご協力いただいた研究参加者の皆様および研究協力機関の皆様に心より御礼申し上げます。本研究は、厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業JPMH21HA2011の助成を受けたものです2)。
参考文献
- Crook H, et al., BMJ 374: n1648, 2021
- 厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)分担研究報告書, 新型コロナウイルス感染症による他疾患を含めた医療・医学に与えた影響の解明に向けた研究-今後の新興感染症発生時の対策の観点から-(21HA2011)社会医学部門に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202119042A-buntan5_1.pdf
国立研究開発法人国立国際医療研究センター
国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター
磯 博康