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溶血性レンサ球菌レファレンスセンター

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溶血性レンサ球菌レファレンスセンター

(IASR Vol. 46 p179-180: 2025年9月号)

溶血性レンサ球菌レファレンスセンターは, 8つのセンター〔福島県衛生研究所, 神奈川県衛生研究所, 東京都健康安全研究センター, 富山県衛生研究所, 大阪健康安全基盤研究所, 山口県環境保健センター, 大分県衛生環境研究センター, 国立感染症研究所(現:国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所)〕()が中心となって, 国内で発生した溶血性レンサ球菌感染症から分離された菌株にかかわるサーベイランス活動およびレファレンス活動を行っている。主な検査として, 咽頭炎を中心とした非侵襲性感染由来株および劇症型溶血性レンサ球菌感染症由来株の血清型別, 遺伝子型別である。

血清型別:T血清型別

A群溶血性レンサ球菌の菌体表層には, Tタンパクが存在しており, 血清型別に利用されている。Tタンパクは安定性があり, さらに, 継代に耐えうることから, 疫学調査の手段として用いられ, 市販の抗血清があることから, 多くの施設で実施されている。

遺伝子型別:A群溶血性レンサ球菌の多型性あるいは毒素遺伝子の保有を知る方法として, emm遺伝子型別と発赤毒素遺伝子型別がある。

(1)emm遺伝子型別

emm遺伝子型別は, Mタンパクをコードする遺伝子の領域を明らかにし, 型別する方法である。Mタンパクはemm遺伝子によってコードされていることから, このemm遺伝子をPCRで増幅後, その増幅産物の塩基配列を決定することで, emm遺伝子型を同定することができる。現在までに, 200以上の型が同定されている(https://www.cdc.gov/strep-lab/php/group-a-strep/emm-typing.html)。また, このemm遺伝子はStreptococcus pyogenesばかりでなく, S. dysgalactiae subsp. equisimilisでも保有している。

(2)発赤毒素遺伝子型

発赤毒素(streptococcal pyrogenic exotoxin: SPE, あるいは, erythrogenic toxin:ET, Dick toxin)は, 猩紅熱患者から分離されたA群溶血性レンサ球菌株の培養濾液中に存在する病原因子として, 1924年Dickにより発見された。主なSPEとしては, SPE-A, SPE-B, SPE-Cがあり, それぞれの遺伝子(speA, speB, speC)に特異的なプライマーを準備することにより, PCR法で簡便に遺伝子保有の有無を調べることができる。

 溶血性レンサ球菌レファレンスセンター 
  福島県衛生研究所微生物課      
  神奈川県衛生研究所微生物部     
  東京都健康安全研究センター微生物部 
  富山県衛生研究所細菌部       
  大阪健康安全基盤研究所微生物部   
  山口県環境保健センター保健科学部  
  大分県衛生環境研究センター微生物担当
  国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所細菌第一部 

           

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