マールブルグ病
概要
マールブルグ病は、マールブルグウイルスを病原体とする感染症である。ウイルス性出血熱のひとつで、エボラ出血熱と同様に致命率が高い。主な感染経路は接触感染である。1967年に初めて確認され、近年もアフリカで散発的な流行が報告されている。
病原体
原因ウイルスは、マールブルグウイルスである。マールブルグウイルスはフィロウイルス科の1本鎖マイナス鎖RNAウイルスで、エボラウイルスに近縁である。
疫学
サハラ以南のアフリカでのみ発生しているが、欧州などで実験室での曝露による感染も報告されている。2020年以降、ギニア、ガーナ、赤道ギニア、タンザニア、ルワンダで報告されているが、日本においては患者の報告はない。動物由来感染症であり、自然宿主はオオコウモリと考えられている。
感染経路
主な感染経路は、接触感染である。自然宿主のオオコウモリや患者の血液、体液、排泄物との接触を通じて感染する。
臨床像
潜伏期間は2から21日間である。主な症状は発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛であり、嘔吐、下痢、腹痛、けいれん、皮疹が出現することもある。症状が進行すると出血症状や中枢神経障害が現れる。重症化するとショックを伴うことがあり、さらには死亡に至ることがある。致命率は約50%である。
病原体診断
血液、咽頭ぬぐい液、尿、精液等を検体として、ウイルス分離・同定、遺伝子検出、抗体検出が行われる。
治療
特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。
予防法・ワクチン
流行地に渡航する場合は、コウモリとの接触に注意する。患者に接触する際は個人防護具の使用などの接触感染対策が必要である。承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法では一類感染症に定められている。
学校保健安全法では第一種感染症に定められている。
病原体検出マニュアル
無し
より詳細な情報
関連情報
- 一類感染症に含まれるウイルス性出血熱(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱)に対する積極的疫学調査実施要領~地方自治体向け(2018年1月25日版)
- 一類感染症に含まれるウイルス性出血熱(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱)に対する積極的疫学調査実施要領~地方自治体向け(2017年12月12日版)
- 一類感染症に含まれるウイルス性出血熱(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱)に対する積極的疫学調査実施要領 ~地方自治体向け(2016年06月10日版)
IASR関連情報
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- 海外感染症情報・ウガンダでマールブルグ病が発生していますIDWR2012年46号(PDF:1,174KB)
更新日(last updated):2025年4月28日
最終確認日(last reviewed):2025年4月28日