ハンセン病
概要
ハンセン病は、らい菌(Mycobacterium leprae)を病原体とする感染症である。 主な感染経路は、未治療の患者からの頻回、濃厚な接触による飛沫感染である。菌に対する免疫応答によって様々な皮疹や神経障害を呈し、早期に適切な治療を受けないと、障害が残ることがある。
病原体
原因菌は、マイコバクテリウム属のらい菌(Mycobacterium leprae)およびマイコバクテリウム・レプロマトーシス(M. lepromatosis)である。
疫学
世界で年間約20万人の新規患者が報告され、インド、ブラジル、インドネシアなどに多い。
日本では、年に数名から10名程度の新規患者が診断されるが、そのほとんどはハンセン病流行地で感染し、来日後に発症した外国出生者である。
感染経路
主な感染経路は、未治療の患者からの飛沫感染である。感染する状況は非常に限られており、 乳幼児期に未治療の患者と長時間かつ濃厚に接触した場合などに感染することがある。
臨床像
潜伏期間は数年から数10年程度。発症することはまれであるが、免疫機能が低下することで発症するリスクが高まる。皮膚の病変(白斑や紅斑など)に一致した知覚障害を示し、脱毛や発汗低下も起こる。病態が進行すると末梢神経の肥厚や運動障害も併発する。
病原体診断
皮膚検体の塗抹検査、皮膚や神経などからのらい菌遺伝子の検出、病理組織検査による。
治療
複数の抗菌薬の併用療法が行われる。
予防法・ワクチン
免疫が低下した者や乳幼児は、未治療の患者との濃厚な接触を避ける。
承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法、学校保健安全法では定められていない。