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百日咳

概要

百日咳はBordetella pertussisを原因菌とする、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする感染症である。主な感染経路は飛沫感染および接触感染である。乳児では重症化しやすい。予防には百日咳含有ワクチンが有効である。

病原体

主な原因菌は百日咳菌(B. pertussis)である。類縁菌であるパラ百日咳菌(B. parapertussis)が原因となることもある。その他、B. holmesiiも百日咳と同様の症状を引き起こすことが知られている。

疫学

日本では1950年から予防接種が開始され、年間10万例以上あった報告数は激減した。しかし、近年はワクチン接種後年数が経過したことにより免疫が減衰した青年・成人に感染が拡大している。

感染経路

主な感染経路は飛沫感染や接触感染である。

臨床像

潜伏期間は7から10日間程度である。風邪症状を呈するカタル期ののち、特徴的な咳嗽発作が出現する痙咳期を経て、回復期に至る。乳児では咳がなく、無呼吸発作からけいれんなどを呈することがあるほか、肺炎や脳症を合併することがある。成人は咳が長く続くが、軽症で経過するために見逃されることがある。

病原体診断

菌の分離・同定、血清学的検査、抗原検査、遺伝子検査による。

治療

発症から5日以内の抗菌薬投与が有効であり、主にマクロライド系抗菌薬による治療が行われる。

予防法・ワクチン

飛沫予防策、接触予防策を行い、患者との濃厚接触を避けることが重要である。手洗いや咳エチケットが有効である。
百日咳含有ワクチンが有効であり、現在はDPT-IPV-Hib(百日咳含有ワクチンを含めた五種混合)ワクチンによる定期接種が行われている。
濃厚接触者に対して抗菌薬の予防投薬も検討される。

法的取り扱い

感染症法では五類感染症の全数把握対象疾患に定められている。ただし、感染症法の届出対象は百日咳菌感染による百日咳のみとなっている。
学校保健安全法では第二種感染症に定められている。

病原体検出マニュアル

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更新日(last updated):2025年4月30日

最終確認日(last reviewed):2025年4月30日

 

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