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ジフテリア

概要

ジフテリアは、ジフテリア毒素を産生するCorynebacterium diphtheriaeを病原体とする感染症である。呼吸器ジフテリアは発熱、咽頭痛、偽膜形成、嗄声などを呈する疾患である。皮膚ジフテリアでは、発疹や潰瘍などを呈する。心筋炎や神経麻痺などの合併症を起こすことがある。

病原体

原因菌は、ジフテリア毒素産生性のC. diphtheriaeである。C. diphtheriaeは毒素遺伝子を持つバクテリオファージの感染により毒素産生能を獲得する。一方で、毒素を産生せず、ジフテリアの原因にはならない株も存在する。C. ulceransC. pseudotuberculosisにもジフテリア毒素を産生する菌株が存在し、類似した症状を起こす。

疫学

日本では定期予防接種により患者数が減少し、2000年以降報告はない。海外では現在も一部地域で集団発生がみられる。

感染経路

感染経路は、主に飛沫感染や接触感染である。

臨床像

潜伏期間は1から10日(通常2から5日)間である。呼吸器ジフテリアでは発熱、咽頭痛、偽膜形成、嗄声などを呈し、重症例では気道閉塞や特徴的な首のふくらみがみられる。皮膚ジフテリアでは鱗状発疹や潰瘍病変が認められる。毒素により心筋炎や神経障害などの全身合併症を起こすことがある。

病原体診断

鼻汁や咽頭拭い液、皮膚病変から毒素産生性C. diphtheriaeを分離・同定する。PCRによるジフテリア毒素遺伝子の検出、培養細胞を用いたジフテリア毒素の検出などが行われる。

治療

マクロライド系、ペニシリン系抗菌薬、抗毒素による治療が行われる。

予防法・ワクチン

5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)などのジフテリアトキソイド含有ワクチンによる予防が極めて有効である。濃厚接触者に対しては予防的抗菌薬投与が検討される。

法的取り扱い(感染症法、学校保健安全法など)

ジフテリア毒素産生性C. diphtheriaeによるジフテリアは、感染症法で二類感染症に定められている。学校保健安全法では第一種感染症に定められている。なお、ジフテリア毒素産生性 C. ulcerans, C. pseudotuberculosisによる感染症は対象外である。

病原体検出マニュアル

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更新日 (last updated):2025年4月30日

最終確認日(last reviewed):2025年4月30日

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