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コンゴ民主共和国およびウガンダにおけるエボラ出血熱の流行について

本文書では、国内外の保健機関や研究機関が発表した公式文書に基づいた情報が記載されています。そのため、報道機関向け会見等での発表情報は含まれていません。
国内外の保健機関や研究者が調査中のため、本文書の公開日から情報が大きく更新されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。


国立健康危機管理研究機構

2026年5月18日時点

状況の概要

2026年5月15日、コンゴ民主共和国(DRC)イツリ州におけるエボラ出血熱アウトブレイクがアフリカCDCにより公表された。5月17日にはWHOが公衆衛生上の緊急事態(PHEIC: Public Health Emergency of International Concern)に該当する旨を宣言した。一方で、パンデミック緊急事態には該当しないとしている。

WHOによると、5月16日時点でブニア、ルワンパラ、モンワルの3つの保健区域で、確定例8例、疑い例246例(うち死亡80例)が報告されている。DRCの国立生物医学研究所(INRB)によるPCR検査で20検体中13検体からオルソエボラウイルスが検出され、遺伝子解析によりブンディブギョウイルスと確定した。また、隣国ウガンダの首都カンパラでDRCから渡航してきた症例2例(うち死亡1例)が確認されているが、現時点でウガンダ国内での感染伝播は確認されていない。

 

本事例はDRCにおける17回目のエボラ出血熱アウトブレイクである。前回のアウトブレイクは2025年9月にカサイ州で発生したザイールウイルスによるもので2025年12月に終息が宣言された。DRC北東部では2018年8月から2020年6月にかけてイツリ州に隣接する北キブ州で発生した。このアウトブレイクでは、南キブ州、ウガンダでも症例が確認され、2019年7月にWHOがPEHICを宣言している。

ブンディブギョウイルスによるエボラ出血熱のアウトブレイクは、2007年から2008年のウガンダ、2012年のDRCでの発生に続き、3回目である。

 

エボラ出血熱は、感染者または遺体の血液・体液、汚染物品への直接接触により伝播することから、患者隔離、接触者追跡、医療機関での感染予防・管理、地域住民へのリスクコミュニケーション、安全で尊厳ある埋葬の徹底が重要である。

本事例に対するDRC政府、WHO、アフリカCDCなどによる公衆衛生介入は始まっているものの、不安定な治安状況や人流が多い都市部であることなどの要因により追跡調査は不十分な状態にあることが指摘されている。

ブンディブギョウイルスについて

ブンディブギョウイルスは、フィロウイルス科オルソエボラウイルス属に属する非分節型マイナス鎖1本鎖RNAウイルスの一種である。オルソエボラウイルス属には、ほかにザイール、スーダン、タイフォレスト、レストン、ボンバリの5種があり、計6種に分類されている。

 

注:これらのオルソエボラウイルス属による感染症は、国際的にはウイルス名+病(例:スーダンウイルス病、ブンディブギョウイルス病)という表記がされるようになっているが、感染症法では「エボラ出血熱」と総称されていることから、本文書では「~ウイルスによるエボラ出血熱」という表記とした。

 

ブンディブギョウイルスに対する特異的なワクチン、抗体医薬は実用化されていない。また、ザイールウイルスに対するワクチン、抗体医薬が実用化されているが、ブンディブギョウイルスに対しては効果が低いことが知られている。 

リスク評価

  • 当該地域はウガンダおよび南スーダンとの国境に近く、鉱業関連の人口移動、治安上の制約や、症例探索、接触者把握、感染管理における課題が指摘されており、検査に至っていない疑い例の報告も多い。実際の感染者数や地理的な広がりについては、まだ明らかではない部分が多いことから、状況を注視する必要がある。
  • 現在ウガンダから報告された症例はDRCで曝露した輸入例と考えられ、ウガンダ国内での感染伝播は確認されていないが、接触者の追跡が困難である一方、国境を越えた往来は活発であり、今後国境を接した周辺国へも感染が拡大するリスクは高いと考えられる。
  • 現在主に発生が確認されているイツリ州はDRC内でも首都からは遠隔地であり、紛争地域であることから、日本との直接往来は限定的である。現時点で得られる情報からは、日本での輸入症例の発生や、日本国内での伝播の可能性は低く、日本の一般市民が感染する蓋然性は低いと考えられる。

関連項目

参考文献

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